あべっちの思いをこめた雑記帳

思わぬ所でのコスモスの花

 コスモスの花が好きだった。
 好きだったというより、物心ついてからしばしの間、知っている花といったら他に朝顔、向日葵、チューリップ、桜ぐらいしかなかったので、その頃は馴染んでいたと言ったほうが正確には正しい。

 花に無頓着なあばれ坊主であったので、その頃は花を愛するなどというのは女の子のすることで、男の子は戦いや活動的な遊びをするものとまわりも私も決めこんでいた。とても花などへの心のゆとりはなかったのである。

 それが大人になった頃には次第に各地の花を見、その姿や色に感動し、と同時に花の名を覚えていき、いつの間にか気がついた時には花好きになっていたのである。仕事柄、全国各地へ行き、さまざまな花や桜や紅葉に出会ったこともその要因のひとつには違いないと思う。といっても、ただ好きなだけで詳しくはなく、まったくの素人もいいところだと自分では思っている。

 コスモスといえばすぐさま思い出す歌がある。
 そう、「結婚するって本当ですか」という歌。「ポストのそばには赤いコスモス揺れていた・・・」。この部分が全体の詞や曲からコスモスの風情を見事にとらえている。

 仕事や旅行や旅を楽しむ会などであちこちのコスモスの大群に出くわすことが多い。しかしそういうケースよりも、ふとした所に思いがけなく出会った、何気に咲いているコスモスの方がはるかに私は好きだ。
 それを最初に感じたのは千葉県の安食という所だった。群馬県の板倉町でもそういうことがあったが、栃木県の湯西川などは今でもくっきりと目に焼きついている。わずかばかりの数を風に揺らせて咲いている姿が、秋という季節にぴったりだと思う。

 コスモスの和名は秋桜(あきざくら)。
 なるほどいい名だ。秋の桜などと誰が最初に名付けたのだろうか。
 「あきざくら」という言葉の響き。外来語のコスモスよりも、この秋桜という呼び名の方がすぐれているのかなと時々思ってもみる。


            「季節の花(12)思わぬ所でのコスモスの花」

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