3日前から読んでいる樹木希林さんの著書「120の遺言」がやっと読み終わった。ほんとうは一日ちょっとで読み干すつもりだったが、途中のらりくらりで、結局今日になってしまった。サブタイトルが「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という、いかにも彼女らしいといったら語弊がありそうな文字が付いているその本。
75歳といえば今の時代としては若くして逝ったといってもいいのだろう。彼女にはもっともっと生きて、人生のすっぱさや苦さや甘さを語ってもらいたかったなと思う。もちろんすばらしさもである。
21歳の時に「七人の孫」というドラマでレギュラー出演してからたちまち売れっ子になったが、その頃は悠木千帆という名であったものの、34歳の時にテレビ朝日に局名変更された記念番組中のオークションで「売るものがない」という理由から芸名を出品し、2万200円で落札されたのはまだ記憶に新しい。その時から樹木希林と名乗ったこともだ。
亡くなる2年前の6月にインタビューで、自分の思う「幸せ」について語っている。
「お金や地位や名声もなくて、傍からは地味でつまらない人生に見えたとしても、本人が本当に好きなことができていて『ああ、幸せだなあ』と思っていれば、その人の人生はキラキラ輝いていますよ」
おそらく彼女はちやほやされる女優より、自分で描いたふりまわされない女優道をしっかり歩んだのだと思う。
そういう生き方もあっていい。
「つれづれ(130)樹木希林さん著120の遺言を読み終えて」