結論から言えば読むに値する。
但し、ロジックツリーの何たるか、それが何故必要か、を理解出来るだけで、実際に同書内で例示されているロジックツリーのレベルは酷い。Amazonの書評を読んでみると、どうも色々と大層な仕事をされてきたっぽいのだが、このレベルのロジックツリーで2000億円もコストを削減出来るのかな、と不思議。。そうなると、この程度のロジックツリーが実務的に役に立ったと言えないとなってしまうので問題なのであるが…。結局導き出す手法に付いてはほぼ言及がないし、同書を読んだところで多分一人称単数では出来ない。つまり、理解は出来ても自分で作業は出来ない。この辺りは若干コズルイ気もする。しっかり手法を教えられないのであればそう言及しないと。。。それでも読むべき、としたのは、何故このようなアプローチが必要なのか、に関しては100%アグリーだからだ。絶対必要。何故このようなアプローチが必要なのか、それがないとどのような悲劇をもたらすのか、きっちり書かれている。
ある意味反面教師として書かれている内容の差し替えのワークショップをしても良いかも知れない。
一方で、このFunctional approachと言うものの帰結としてFunctional benefitと言うものをきっちり捉えるべきだと思う。同書にも書かれていたが、結局顧客はなんであれFunctionが充足されていなければサービスや物を買わない。これは全く正しい。しかしながら、エンドユーザーにとっての本質的なBenefitはFunctionからもたらされるものと、どう繋がっていて、どのような括りで考えるべきか、もっと言及があると良かったかな。結局ロジックツリーを構成していくのに際しては、「最大公約数」を探していく旅である。この辺り、きっちりその見出し方が書かれていないと分かった気になってしまう。これは不味い。本を読んで分かった気になってしまう、と言うのは悪いことではないのだが、結局仕事をする上で使えなければ意味がないので。
それと、この本には全く書かれていないことなのだが、思ったのは、単純にFunctionだけで考えるのではなく、同列のものとしてEmotionalな側面もあって然るべきではないかと。この包装紙は綺麗、可愛い、と言うのはFunctional approachだけでは考えられない。何かパッケージを包む、と言うFunctionだけで考えれば包装紙等何でも良い筈だ。このFunctional approachで行けば、伊勢丹もマルイもダイエーも変わらない筈だ。しかし人は伊勢丹の包装紙で包まれたお土産にはとても喜ぶかも知れないが、セブン-イレブンやイオンの包装紙ではそこまで喜ばない。公務員的な発想、非サービス業だけに従事しているとこの手のことには気付けないんだよね。
この辺りもロジカルに分析出来る本があれば良いんだが、データベースマイニングとのコラボレーションで一冊書いてみたいなぁ…。データ、リサーチ、アンケート等の定量的な分析だけでは限界が来ることを実務的に知るべきだと思うのでね。そんな数値だけの話では仕事は出来ませんぜ。心の内を探るなんて言ったって、定量化出来ることには限界がある。ただ確率論的に上がるだけ。勿論この確率論的に上げると言うのは非常に、とても、物凄く重要なことではあるからこそ昨今ビッグデータ、なんて言葉が流行っているのだが。
ま、先ずはご一読を。1時間もあれば読めます。
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