うか。母のお手製の布のカバンを二つ両肩からかけ、出征兵士みたい
な格好でテクテクテクテク。
一つのカバンには弁当箱と箸箱、もう一つには帰る時に先生から出席
したというハンコを押してもらう手帳とちり紙。私の弁当箱はなぜか、
赤っぽい小判型でバラの絵が書いちゃった。なんでじゃろう。
お弁当の時間に、お茶とか水でも飲んじょったんじゃろうか。そこん
とこの記憶がエデンの東に飛んで行っちょる。
行きも帰りも一人で、進駐軍道路を歩いて通った。車もほとんど走っ
ちょらん頃だから、安全じゃった。スキップでも踏みながら鼻歌でも
うたいながら、田んぼのレンゲや菜の花でも見ながら、通っちょった
んじゃろうなぁ。
そんな時代だった。