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4月2日 番外編「福島原発事故」No.4

2011年04月02日 12時12分27秒 | 日記
4月2日現在、東京電力の福島原発事故に対する懸命の修復作業がつづけられています。しかし、今だにいつ解決できるかのメドもたっていません。近隣の地域の土壌からは高い放射線量が検出されています。安心できる状態にまで回復するのは、まだまだ先のようです。

原子力発電所については、TVでたくさんの情報が報道されています。また、米国の MIT の物理学者である Dr Josef Oehmen が、MIT-NSE というサイトでこの原発事故に関する記事を毎日発表しています。非常に専門的な記述もありますが、一般人が知りたい情報も示されています。日本のTV画面に登場する科学者の説明を補うべく、以下にその中のいくつかを紹介したいと思います。


核分裂物質と放射線 (3 月 30 日付け記事)

重い原子 (ウランプルトニウム など) が 核分裂 を起こすと、2 種類の軽い核分裂物質に分裂します。その分裂プロセスでは、2個 以上の 中性子 が発生します(自然現象)。それによりその重い原子がさらに核分裂して、膨大な量のエネルギーとなり、それが、電力に変換されます。

核分裂で発生する2種類の原子は、いつも同じ2種類になるとは限りません(重量のある原子が核分裂すると、一方は質量数が80~100の核分裂物質(原子)に、他方は130~150の物質になるが、統計的分布で発生し、必ずしも同じにはならない)。核科学者は物理モデルを用いて核分裂物質の分布を予測し、一般的にこの分布は確度をあげるために試験により計測されます。

核分裂物質が最初に発生したときはそれらは非常に不安定ですが、何回も崩壊 (通常は ベータ崩壊)を繰り返して、そのうちに長半減期の比較的安定な 核種 になります。このような崩壊によって、ごくわずかな(この表現は、核分裂では膨大なエネルギーが産出されるが、崩壊熱というのはわずかなエネルギーであることを意味する)エネルギーを発生しますが、それを崩壊熱と呼びます。核分裂反応が完全に停止した (地震の直後に停止した) 後でも、核分裂物質は長期間にわたってエネルギーを発し続けます。燃料が冷却されなければこのエネルギーが燃料を溶融するのに十分な大きさになりますので、この燃料冷却こそが、福島原子力発電所の運転員が何日間にもわたり苦闘していたことなのです。核分裂反応が制御不能になったことはありません。崩壊熱を冷却する設備が制御不能になったにすぎません。

ほとんどの核分裂物質は廃棄物とみなされますが、その一部は原子炉の運転に非常に重要であり(運転上考慮しなければならない点で重要であって、決して大切なものではない)、特定の用途があります。キセノン135 および サマリウム149 の 2種類の核分裂物質は中性子を多く吸収し (「中性子毒物」と呼ばれる) 、通常運転中に核分裂反応の制御に多大な影響を与えます。他にも、特に、崩壊して最終的に テクネチウム99m になる モリブデン99 のように、生命を脅かすさまざまな疾患の診断テストに不可欠な「医療用アイソトープ」の生産に使用されるものもあります。毎年世界中で 4000 万人の人が、テクネチウム99m を使ったテストを受けています。核医学の治療を受けたことがある人の場合、ご自分の体内に取り込んだものは直接原子炉から出てきたものである可能性が高く、もしそれが人体内に取り込まれなかったとしたら、核廃棄物とみなされていたはずです。

通常状態では、核分裂物質は燃料の内部にとどまっています。燃料は、炉心内にあるときは、燃料が発生した総エネルギーに比例する量の核分裂物質を含んでいます。燃料は、消費された後に使用済み燃料プールに移送され、最終的に乾式キャスク貯蔵、長期保管庫、または再処理施設に移送されます。福島原子力発電所では、炉心内の燃料 (可能性としては使用済み燃料プール内の燃料も) がおそらく損傷していると考えられます。そのため、一部の核分裂物質 (特に気体状の核分裂物質) が放出されたと考えられます。どのような核分裂物質 (およびその量) が放出されたかの正確な情報は、今のところ十分にそろっていません。

すべての核分裂物質が有害とは限りません。一部はガス状であり、大気中を遠くまで拡散してゆく可能性はありますが、大半はそれほど移動性がなく、原子炉サイト近辺にとどまっていると思われます。ほぼすべての核分裂物質が放射線を出しますが、人体にとって有害となる可能性のあるものは一部のみです。

以下の表は、重要な各種の重要核分裂物質とそれぞれの発生量、つまり核分裂物質からの生成頻度を示しています。たとえば、6.3% の核分裂事象 (平均で)から、(きわめて不安定な核分裂物質が急速に崩壊した後に)キセノン135 が生まれます。半減期とは、リスト中の放射性核分裂物質が崩壊してもっと安定した核分裂物質になるまでに要する一般的な時間を言います。福島原子力発電所原発付近で検出された セシウム および ヨウ素 は、もっとも頻繁に発生する放射性核分裂物質の元素です。

発生する核分裂物質の半減期
6.8% セシウム133/134* 2 年
6.3% ヨウ素135 / キセノン135 7 時間
6.3% ジルコニウム93 150 万年
6.1% セシウム137 30 年
6.1% モリブデン99 / テクネチウム99** 20 万年
5.8% ストロンチウム90 30 年
2.8% ヨウ素131 8 日
2.3% プロメチウム147 3 年
1.1% サマリウム149 非放射性
0.7% ヨウ素129 150 万年
0.4% サマリウム151 90 年
0.4% ルテニウム106 1 年
0.3% クリプトン85 11 年
0.2% パラジウム107 700 万年

*セシウム133 は安定していますが、核分裂で多く発生します。その後、原子炉内で中性子を吸収してセシウム134 になります。セシウム134は、半減期が 2 年の放射性物質です。

**表中に書かれている半減期はテクネチウム99 のものです。
モリブデン99 は、半減期が66 時間ですが、これはその後崩壊して、半減期が 6 時間のテクネチウム99m (準安定状態のテクネチウム99) になります。テクネチウム99m はその後崩壊して、表に示されている 20 万年の半減期でテクネチウム99 になります。

(クリックして拡大表示)
半減期が長いほど危険性が高くなるとは限らないことに注意してください。きわめて長い半減期をもっていても、常時非常に少量の放射線しか出さないので、危険ではない核分裂物質もあれば、膨大な量の放射線を出しているが、非常に短時間なので、危険ではない核分裂物質もあります。それぞれの核分裂物質が人体にとってどのくらい有害であるかは、半減期、放射線の強さ、および人体の様々な生物学的要因(臓器や皮膚、目や頭皮など、人体の場所で受ける影響度が変わってくる)が複雑にからみあって決まります。

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