松井稼頭央を擁するコロラド・ロッキースの今シーズン戦力を分析する。
このチームは、テキサス・レンジャースに輪をかけて常に打高投低。
そもそもホームグラウンドのクアーズフィールドがバッター天国。
球場自体はさほど狭くないが、高所(標高約1600メートル)にあり、
気圧等の関係でボールが良く飛び、ホームランが出る出る。
そんなわけで、いい投手を連れてきてもどうせ打たれると思っているのか
どうかは不明だが、補強は常にバッター優先。
なお、こんなおっそろしい球場でノーヒットノーランを達成した
すごい人が一人だけいる。野茂英雄である。
(1996年9月17日、当時ドジャース)
そんな打者天国の中、松井はセカンドのレギュラー争いの真っ只中にいる。
メッツ時代は打てず、守れずで散々の評価で、「日本で一流でも使えない
場合もある」という悪い見本の代表格だったが、去年ロッキーズに移籍
してからは力強い成績を残している。若手の台頭次第でショートへの
再コンバートも噂されるが、試合に出てなんぼの世界なのでむしろいい噂だ。
このまま松井が遅咲きで開花する年になるか?
予想バッティングオーダー:
1番 センター ウィリー・タヴェラス
打率.280、30盗塁は狙える俊足リードオフマン。出塁率をさらに上げてほしい。
2番 セカンド 松井稼頭央
昨年メッツから移籍以降は打率.345!ジェイミー・キャロルに負けるなKAZ!!
3番 サード ギャレット・アトキンス
昨年大ブレイク。打率.329、29本はメジャー全体でみてもトップレベルのサード。
4番 ライト マット・ホリディ
彼も昨年ブレイク。打率.326、34本でアトキンスとの3、4番コンビは強力。
5番 レフト ブラッド・ハウプ
昨年は終盤怪我に泣いたが、順調にいけば彼も打率.300、25本は狙える。
6番 ファースト トッド・ヘルトン
3年前の打率.347、32本が光る。衰えは隠せないが.300、20本は狙える。
7番 キャッチャー ハビィ・ロペス
3年前の打率.316、23本はまず無理だろうが、クアーズフィールド効果に期待。
8番 ショート トロイ・トロウィッツキー
期待の若手ショート。同じく若手のクリント・バーメスとのレギュラー争いは熾烈。
アトキンス、ホリディ、ハウプ、ヘルトンが並ぶ主軸は破壊力抜群。
メジャー最低レベルの先発投手陣でもなんとか勝てそうに感じるところがすごい。
他のポジションは競争が非常に激しい。上述の二遊間だけでなく、センター
にはコーリー・サリバン、キャッチャーには期待の若手クリス・イアンネッタが
控えている。こういった競争がいい方向に働けば、さらなる大爆発が期待できる。
セカンドに関してだけいえば、残念ながら今のところキャロルの評価の方が
松井よりも若干上か。キャンプ、プレシーズン戦での松井の活躍に期待したい。
冒頭にも書いたが、ショートへの再コンバートも視野にいれると
トロウィッツキーもバーメスも敵といえる。
先発ピッチャー:
1番手 ジェフ・フランシス
2番手 アーロン・クック
3番手 ロドリゴ・ロペス
4番手 ジョシュ・フォッグ
5番手 金柄賢(キム・ビュンヒュン)/ブライアン・ローレンス
つっこみどころが満載過ぎて、逆になにもいうことはない。
エース不在?全員の防御率やWHIPがひどすぎる?
他のチームでは5番手にもなれるか怪しい投手ばかり?
期待の若手もいない?
その通り!でもしょうがないさ、ロッキーズだし。
ブルペン(抑え+中継ぎ)ピッチャー:
クローザー ブライアン・フュエンテス
メジャー最低レベルの投手陣の中、フュエンテス
(防御率3.44、WHIP1.16)は頼れる。
ここ2年の成績も安定しており、これは打者天国クアーズフィールドの
恐ろしさを鑑みると立派としかいいようがない。
中継ぎ陣も、去年成長を見せたレイモン・ラミレーズ
(防御率3.26、WHIP1.26)とクローザー経験もある新加入の
ラトロイ・ホーキンスがおり、去年よりもレベルアップしている。
このチームは、もう分析うんぬんよりも、打って打って打ち勝つしかない。
鼻から先発投手に「抑えてくれ」とか「こらえてくれ」といえるチーム作りをしていない。
幸い、打線は若く強力なバッターが揃っているし、ブルペンも去年より
充実しているので、クローザーのフュエンテスまで
なんとか繋いで勝利するパターンである程度は戦えるだろう。
ただ、ロッキースの所属するナ・リーグ西部地区は激戦区であるため、
残念ながら優勝争いとか、プレーオフ進出といった望みは捨てるしかないか。
松井に望まれているのもただ一つ、「打って」結果を残すことのみ。
仮に守備の難が克服しきれてなくとも、ショートにコンバートされようとも、
盗塁が思うようにできなくとも、打ってさえいれば活路は開ける・・・はず。
次回予告:
日本人選手在籍チームとしては今年最後か?
マイナー契約ではあるが多田野数人投手を擁するオークランド・アスレチックスを
分析予定。多田野はメジャー昇格を果たせるか?
過去ログ:
セントルイス・カージナルス戦力分析へ
テキサス・レンジャース戦力分析へ
ロサンゼルス・ドジャース戦力分析へ
シカゴ・ホワイトソックス戦力分析へ
トロント・ブルージェイズ戦力分析へ
ピッツバーグ・バイレーツ戦力分析へ
タンパベイ・デビルレイズ戦力分析へ
シアトル・マリナーズ戦力分析へ
ニューヨーク・ヤンキース戦力分析へ
ボストン・レッドソックス戦力分析へ