every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

ILLA J 『Yancey Boys』

2009-03-04 | HIP HOP
 ヤンシー・ボーイズ鼓膜に突き刺さるハイハット、五臓六腑に染み渡り蠢くベースライン。 このビート生み出したJ Dillaが既に故人である事を忘れさせる程に『Yancey Boys』のトラックは"Def"で"Fresh"だ。 実際、まるでJ Dillaは生きているかのように未発表のビートが発掘されている。 病床にまでMPCを持ち込んでいたほどのビートジャンキーであったDillaの仕事量からすれば当然なのかもしれないが、それらの殆どがATCQやCOMMONに提供したクラシカルなビートと比べても遜色の無いほどの強度を保っていることには改めて感嘆せずにはいられない。 『Yancey Boys』は実弟のMCデビュー作となる。 兄弟のファミリーネーム(でありL.A.に構えたスタジオの名前でもある)を冠したタイトルからも分かるとおり、ここには兄弟愛が溢れている。 PharcydeのアルバムからATCQのラスト・アルバムの間に制作されたビートの数々は未だに数多のPost J Dillaを寄せ付けず、Delicious Vinylの倉庫の埃を跳ね除け、ピカピカに煌いている。 ……とJ Dillaのビートにばかり焦点を合わせてしまったが、タイトにライムを固めながらも時にファルセットで流麗な歌声を聞かせるIlla JのMCとしての力量もなかなかだ。 『Yancey Boys』はこの点でも抜かりなく、ヒップホップの黄金時代へと聴き手を連れ戻してくれる。ヤンシー・ボーイズ クチコミを見る

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