Sky Symphony  ~空の交響曲~

誰かの心に届いて響くような、そんな物語をお届けします。
誰でも、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

ヒイロ

2007-11-06 | 変わらないもの




















世界は 白だった



何にも汚されない 純白だった



それがいつしか 汚し汚され



今ではもう 何色なのかさえ分からない



それが




私のいる世界





















幸福の形を、知らなかった私。







機械的な毎日を繰り返し、時の流れに逆らうことなく、生きていた。



だから、楽しみなんて必要なかった。


今日が終われば、明日が来る。


明日が終われば、また明日が来る。


それだけで良かった。








それが、総てだった。
















「幸せって、なんだろう」
















だから、君がそう呟いた言葉に、


私の心は不思議と動かされていたんだ。











幸福って、幸せって、何ですか?






















愛の意味を、知らなかった私。














気付いた頃から、私の周りに愛はなかった。








あったのは、







悲鳴

















泣き声

















何かが 壊れる音











それだけ。















それだけだった。














だから、愛なんて不確かなもの、



私は知らなかったし、興味もなかった。







そんなものなくても、生きていける。



今までも生きてきた。これからも、そうして生きていく。


















それなのに
























「人間の一番底にあるのは、やっぱり愛なんじゃないかな」

















そう言った君の言葉が、今も耳から離れない。

















愛って、確かなものですか?





















笑うことが出来なかった。



泣くことが出来なかった。






ただ、生きることしか出来なかった。




不器用な私。












そんな私を、人は欠陥と、呼んだ。






それは事実で、確かなことで、当たり前なことだった。













私は欠けている。













人間としての、何かが。














幸福の形を知らない












愛の意味を知らない












生きるだけの私。














まるで機械のようだと 思った













これはまるで 生きる機械(アンドロイド)のようだと



























それを違うと 否定してくれた 最初で最後の人
















それが       君だった


























君の隣は 温かかった











君の言葉は 優しかった




















君の笑顔が 好きだった













生まれて初めて知った  不思議な感情








胸が高鳴る 不思議な気持ち
















それが「恋」だと気付いたとき

















私は 真実を 知った



























どうして 幸福の形を知らなかったのか







どうして 愛の意味を知らなかったのか













どうして 人間としての何かが欠けているのか。




















答えは簡単だった














答えはいつだって シンプルだった















どうしての答えは
























私が 人間ではないから
















決して 同じ速度で生きることは出来ない











機械だから


























君の隣にいることが、幸福だと言うのなら、













私はずっと君の隣にいたい。





















君を想うこの気持ちが、愛だと言うのなら、





















私は変わらない愛が欲しい。
















叶わないから欲しくなる


















私は こんなにも 人間を好いているのに













決して同じには なれない

























世界は 白だった


それがいつしか 汚れ汚され


私の知らない色になった











けれど それは 優しくて 温かくて




私の愛した色だった
















だから 名付けよう















この色を




















緋色、と…。

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