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戦国武将は、なぜ茶の湯に魅せられたのか?茶室で男は、日本男児になる!
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SAMURAI・コーチング! 一期一会!

2021年04月18日 | 一期一会
一期一会

これは、幕末の大老、井伊直弼が、

「茶の湯一会集」に表した、私たちにもなじみの四文字です。


 直弼は、十一代藩主井伊直中の十四男として、誕生しましたが、
 藩主の実子でありながら、嫡子以外の庶子であったため、
 17才から、藩主になる31歳まで、埋もれ木舎(表題の写真)で、
 質実剛健な暮らしをしていました。その間、文武の修練に精進しました。

 茶道、和歌、能は達人の域で、禅、国学、陶芸、
 さらには国際情勢までの 「文」と
 居合術、柔術、武術、弓術等の「武」と文武両道の修練に励んだのです。




その直弼があらわした、茶の湯一会集の冒頭に、一期一会は記されています。


茶の湯一会集

一期一会

 一期、今日が最後と一度きりのこの出会いに心を込めよということです。

 そしてその出会いは、同じ顔ぶれ同じ内容であったとしても

 同じ状態は二度と起こりえません。

 同じように行ってもその時の環境、条件、状況は違います。

 主客の反応や対応にも違いが出るでしょう。

 一瞬たりとも変化してやまぬは世の常。

 だからこそ、今この時を大切にともに居ることに感謝しようというものです。

     

 過去に執着したり、未来の心配をせず、

 今、体感できるこの瞬間を大切にする。



 過去や未来に意識を向けず、今ここにいること。


 今・ここの感覚は、ゲシュタルト療法にも通じます。


 利休の思いを、弟子であった山上宗司が、著書「山上宗二記」の中で、

『茶湯者覚悟十躰』として、【一 期に一度の会】と記したものを

  井伊宗観、井伊大老が、「茶の湯一会集」で自身の覚えとして、

 紹介したものです。

 

井伊大老

利休居士が侘び茶を大成したのは戦乱の最中、

そして井伊大老が活躍したのも幕末の動乱期。


今日の日は、こうして共に茶を楽しんでいますが、

明日は敵味方になるやもしれません。


だからこそ、今の一瞬、共に茶を喫することに喜びを見出す、

一期一会の意味は重く、そして輝くのです。



いつも生死の境にいた武士の心構えがよくわかります。


ちなみにフリッツ・パールズは禅を学んでいますから、

今、ここを重視するゲシュタルト療法に通じるのは、当然と言えば当然です。



序の抜粋:「此書は、茶湯一会之始終、主客の心得を委敷あらはす也、

故に題号を一会集といふ、猶、一会ニ深き主意あり、抑、茶湯の交会は、

一期一会といひ て、たとへハ幾度おなじ主客交会するとも、

今日の会にふたゝひかへらさる事を思へハ、

実に我一世一度の会也、去るニより、主人ハ万事ニ心を配り、

聊も麁末 のなきよう深切実意を尽くし、客ニも此会ニまた逢ひかたき事を

弁へ、亭主の趣向、何壱つもおろかならぬを感心し、実意を以て交るへき也、

是を一期一会とい ふ・・・」。とあります。

常に一生一度の会の心構を説く。  

どんなときもこの出会いはただ一度、一会で、二度と来ないのだから


 桜田門の変で散った、井伊大老の言葉。

 そう思うと、心に響きますね。
 
  

井伊直弼が、藩主になるまで、
17歳から32歳までの十五年間
部屋住みで過ごした、埋れ木舎


埋もれ木という名の菓子
埋もれ木とは、樹木の幹が、地中に埋もれ、
長い年月をかけて圧力や熱で変化し、
炭化したもの。 



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