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CANTUS OMNIBUS UNUS

Cantus popli,cantus mundi.
Cantus omnibus unus.

夢みたものは…―No.100

2009年09月05日 21時54分18秒 | 曲語り

祝100回!

というわけで今回は名曲中の名曲をセレクトしてみました。
特に、最近、混声曲とご無沙汰だったのでこの2曲!

「夢みたものは」、「鴎」。

考えてみれば木下牧子さんの作品も今回がお初ですね。
おそらく国内で最も多くの合唱作品を出版している作曲家。
「地平線のかなた」「方舟」「ティオ」などなど、
邦人合唱曲を代表する作品を数多く、世に送り出しています。
今回の2曲はそのなかでも“超”有名な作品ですよね。

どちらも「演奏会のアンコールや合唱曲の愛唱歌として作曲された小品集」(パナムジカより)である
混声合唱曲集「夢みたものは」におさめられています。
「鴎」はのちに木下牧子アカペラコーラスセレクションにも収録されています。
「夢みたものは」も自分の高校の音楽の教科書にまで載っています。
よく混声合唱団同士での交流会なんかでも歌われてますよね。
まさに愛唱歌、といえる作品だと思います。


<夢みたものは>
詩:立原道造

夢みたものは ひとつの幸福
ねがったものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しずかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある

(中略)

夢みたものは ひとつの愛
ねがったものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と―

この抜粋だと内容がないようなものですが(はい、スルー
まずこの立原道造のみずみずしい詩が素敵すぎる。
また木下作品独特のナイーブなハーモニーと旋律が言葉と溶け合って、
冒頭の「夢みたものは」のワンフレーズで泣けます。。

ぱっとみ、それほど難しくなさそうですが、
意外と骨のある曲でなかなか歌いがいもあって、
何だか非の打ち所がないですね。

のちに女声版のほか、男声版もできまして、
願ったりかなったり。
入学式での我が部の演奏に持っていこうかとも思っているのですが、
どうだろう、少し違うかな?

ちなみに有名な話ですが、
作曲家の担当の編集者の結婚式のために書き下ろされた作品。
式での初演は故関谷先生指揮の松原混声合唱団。
どんだけ豪華なウェディングだよw
ゼクシィもびっくり

やっぱり個人的な感情の入った曲ってのは、
より作品としての強度が増している感じがするよね。


<鴎>
詩:三好達治

―つひに自由は 彼らのものだ
彼ら空で 恋をして
雲を彼らの臥所とする
つひに自由は 彼らのものだ

(中略)

つひに自由は 彼らのものだ
一つの星を住みかとし
一つの言葉で事足りる
つひに自由は 彼らのものだ

朝焼けを明日(朝)の歌とし
夕焼けを夕べの歌とす
つひに自由は彼らのものだ―

またこれがいい曲なんだよね、、、
三好達治も結構好きな詩人だね。
詩は戦争の直後に書かれたということですが
繰り返される「つひに自由は 彼らのものだ」には、
理屈ぬきにぐっとくるものがあるです。

「夢みたものは」にしろ「鴎」にしろ、
聴くとホントに心のそこから歌いたくなるよね、
残念ながら実はまだ歌ったことがないという事実(ぉぃ


ま、とりあえずはこれを聴いて我慢しましょ
「鴎」がすごい。