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『特集』大補強から2年、ブルージェイズの展望

2014-11-15 09:47:05 | MLB
2012年のシーズンオフの大型トレードには誰もが驚きました。
マーリンズからはレイエス、バーリー、ジョシュ・ジョンソン、ボニファシオの4人が移籍してきました。
メッツとは捕手のトラビス・ダーノー、投手のノア・シンダーガードらとの交換でサイヤング賞を受賞したディッキーを獲得しました。
さらに、FAのメルキー・カブレラと2年契約を結びました。
これだけの大型補強をしたわけですから、ブルージェイズの地区優勝を予想する声が多かったのは事実です。

しかし、2013年シーズンは期待を大きく裏切って最下位となってしまいました。
原因としては、レイエスの故障や投手陣の不調です。
かつて最優秀防御率のタイトルを獲得したジョンソンは防御率が6点台と全く結果を出すことができませんでした。
ディッキーはサイヤング賞を受賞した翌年ということもあって大きく期待されていましたが、成績を大きく悪化させてしまいました。
救いとしては、故障することなく先発投手としてローテーションを守ったことぐらいでしょうか。
224.2回投げたわけなので、東地区ということを考えれば、この安定感は評価されるべきだと思います。
とはいえ、やはり寂しい印象は拭えません。
バーリーですが、前半は絶不調でしたが、その後は持ち直して200イニングと二桁勝利達成という相変わらずの安定感でした。
結局、レイエスのシーズン序盤での故障とバーリーの絶不調でチームが勢いに乗れなかったのが大きかったのではないでしょうか。

大補強をしながら最下位という結果に終わったため、シーズンオフの動きが注目されました。
先発投手が良くなかったことから、アービン・サンタナやヒメネスを獲得するのではという予想もありましたが、捕手のナバーロを獲得したくらいで大きな動きはありませんでした。

不安視されたまま迎えた2014年シーズンですが、6月には一時首位になるほど前年とは対照的なスタートなりました。
これは、バーリーが絶好調だったことと、打線の調子が全体的に良かったことなどが理由に挙げられます。
しかし、その後は失速して83勝79敗で3位に終わってしまいました。
シーズン中にトレードで先発投手の獲得に動くのではないかという声もありましたが、結局動きませんでした。
最終的に失速したため、動きがなかったことに対する不満の声が多かったのが事実です。

各選手の成績ですが、野手はバティスタとエンカーナシオンの2人が30本塁打95打点を超え、カブレラは打率3割となり、レイエスは大きな故障をすることなく2年ぶりに30盗塁を達成(失敗は2回のみ)して打率は.287と安定した成績でした。
この4人の頑張りが一時的とはいえ、首位に立った原動力であるのは間違いありません。
しかし、リンドとロウリーは故障で100試合以下の出場となり、ラスムスはシーズン通して不調となってしまいました。


投手陣は、バーリーが前半絶好調で10勝に一番乗りするほどだったものの、後半は全く勝てずに13勝止まりとなってしまいました。
前半の勢いから確実と言われていた通算200勝にはあと1勝届きませんでしたが、それでも14年連続で200イニングと二桁勝利を達成しました。
ディッキーは前年と変わらない安定感で防御率が良くなりました。
2年続けて14勝13敗というのも凄い安定感ですが。そして、2012年全体22位のストローマンがデビューして、防御率3.65・11勝6敗1セーブという成績を残しました。
先発投手は前年よりも改善されましたが、クローザーのジャンセンが後半になって調子を落としてしまいました。
結果的に、バーリーとジャンセンの調子がチームの状態に直結してしまいました。

2014年シーズンが後半になって失速してしまったのは残念なことですが、2013年より良くなっているのは明らかであり、来シーズンに向けての希望があるのは間違いありません。

そして、シーズンオフに突入して早速動きがありました。ブルワーズとのトレードでリンドを放出してマルコ・エストラーダ投手を獲得しました。エストラーダは先発としてシーズンをスタートしましたが、不調のため途中からリリーフに回っています。リンドは故障が多いうえに左投手に弱いという状況だったため、年俸総額の削減という意味も含めて放出されたものと思われます。これにより、ファーストはエンカーナシオンが守るものと思われますが、DHをどうするのかについては現時点では分かりません。ローテーションして回すという声もありますが、年俸を抑えることが出来るベテランを獲得するかもしれません。

来年の野手の状況についてですが、メルキー・カブレラにクオリファイング・オファーを出したものの、断られました。カブレラと再契約する可能性も含めて、バティスタに続く外野手の補強に動くのは間違いありません。
内野手はロウリーが結果を出すことが出来れば、今年以上の打線の強さが期待できます。
また、外野手のアンソニー・ゴースを放出してセカンドのプロスペクトであるデボン・トラヴィスを獲得しました。
早ければ来シーズンの早い時期にもメジャーデビューするかもしれません。
そうなれば、内野の層が厚くなり、打線がさらに強化されることになるでしょう。

投手陣についてですが、先発投手は現時点でディッキー、バーリー、ハップ、ストローマンは確定しています。
5人目をハッチソンやエストラーダらで争うものと思われます。
トッププロスペクトの左腕ノリスもローテーションに入ってくるかもしれません。
リリーフ投手についてですが、クローザーのジャンセンはFAとなりましたが、後半になって不調となったこともあり、再契約は厳しいものと思われます。
そのため、2015年は配置転換か補強によって新たなクローザーが誕生することになるでしょう。
また、リリーフ投手はセシルに続く信頼のできる右腕が欲しいところです。

契約についてですが、先発投手のバーリーとハップは来シーズンで契約満了となります。
来年も打線の中心となるバティスタとエンカーナシオン、投手のディッキーの3人の契約はオプションを含めて2016年までとなっています。
バティスタとエンカーナシオンのオプション行使は余程のことがない限りは確実と思われますが、ディッキーの1200万ドルのオプションについては、41歳になるということもあり、サイヤング賞を受賞した当時に近い成績を残さない限り行使はしないものと思われます。
また、ディッキーを含めた先発投手3人については、誰かを開幕前にトレードで放出する可能性もあります。
年俸総額削減のためにもバーリーを出してリリーフ投手か野手を獲得したいところですが、来年の年俸は1900万ドルであり、これがネックとなりそうです。
いずれにせよ、何か動きがあるのは間違いありません。

大補強から2シーズンが経過しましたが、現在のところ、結果を出すことはできていません。
移籍してきた顔ぶれのうち、レイエスとは2017年まで契約がありますが、バーリーとディッキーはトレードせずにチームに残留したとしても、来年までとなる可能性が濃厚となっています。
現状でもプレーオフを狙える戦力は整っています。
そのため、来シーズンは何としても目に見える成果がほしいところです。

『特集』シールズがいた2年間

2014-11-02 09:51:24 | MLB
2014年のロイヤルズは、29年ぶりにリーグチャンピオンとなり、あと1勝でワールドチャンピオンというところまでいきました。
ここまで躍進すると予想できた人は少なかったのではないでしょうか。
ヘレーラ、デービス、ホランドの3人のリリーフ投手の活躍は言うまでもありませんが、先発投手であるジェームズ・シールズの存在抜きに語ることはできません。

話は2012年のシーズンオフに遡ります。
デービスと共に当時のトッププロスペクトであったウィル・マイヤーズらとのトレードでレイズからトレード移籍してきました。
この時点でシールズとは2014年の契約オプション(1350万ドル)があるという状況でした。
財政的な問題から2年間しか保有できない投手のために野手のトッププロスペクトを放出したことに批判の声も数多くありました。
実際、マイヤーズは2013年にメジャーデビューして新人王に輝き、期待通りの活躍をみせました。
一方のシールズは13勝9敗、防御率3.15、リーグ最多の228.1イニングを投げるなど、こちらも期待通りの活躍となりました。
シールズが結果を出し、チームの成績が10年ぶりに勝率が5割を超えたことから、トレード直後のような批判はなくなりました。
忘れてはいけないデービスは、先発としてシーズンをスタートしましたが、結果を残すことが出来ず、シーズン終盤にリリーフに回るという苦しいシーズンでした。
このリリーフへの配置転換が翌年の素晴らしい成績につながったのは言うまでもありません。

そして、迎えた2014年シーズン。
シールズは14勝8敗、防御率3.28、227イニングを投げ、前年とほぼ変わらない安定した素晴らしい成績を残しました。
ちなみに、完投完封した唯一の登板がありましたが、これは地元でのジャイアンツ戦でした。
しかし、ポストシーズンでは5試合の登板で防御率が6.12と絶不調でした。
6回2失点という内容が2試合あり、それ以外の3試合は炎上という厳しいものでした。
それでもチームはワールドシリーズ第7戦の最終回まで緊張感のある試合を繰り広げ、最後まで多くのファンを魅了しました。

シールズがロイヤルズに移籍してきてチームが大きく変わったのは結果が物語っています。
2年間の集大成ともいえるポストシーズンで結果を出せなかったのは残念なことですが、ワールドシリーズ進出という結果をもたらした最大の功労者であるのは、彼自身の成績だけではなく、チームリーダーとしての役割を果たしたことも大きかったのではないでしょうか。
若手の多いロイヤルズにとって今年は素晴らしい経験になったのは間違いなく、「シールズがいた2年間」が貴重な経験になったのは言うまでもありません。

そして、FAとなったシールズはクオリファイングオファーを拒否したうえで移籍する見込みです。
トレード成立時には多くの批判がありましたが、今では胸を張って「トレードは大成功だった」と言えます。
「シールズがいた2年間」は、チームや多くのファン、シールズ本人にとって絶対に忘れることのできない時間となりました。
この2年間があったからこそという思いで、次のステップに移ってもらいたいと思います。

最後に、シールズの新天地での活躍と、来年のロイヤルズの好成績を祈ります。