9月15日から、第3回定例会が開かれています。
私は、16日に一般質問に立ち、よりよい学童保育に改善すること、安心の介護保険制度にするため、問題点を指摘し、改善の提案を示しました。
以下は質問全文です。
私は、児童の安全を守り放課後の生活を保障する学童保育について、高齢者が安心して暮らせる介護制度について質問します。
学童保育は、共働きや1人親家庭等の小学生が放課後の時間や学校が休みの土曜日や夏休み等の長期休業中に、家庭に代わって毎日過ごす「生活の場」です。
子どもたちが、学校から学童保育に「ただいま!」と当たり前のように帰って、安全で安心して生活することで、保護者は安心して仕事ができます。共働き家庭や1人親家庭が増えているなかで、学童保育は働きながら子育てする家庭にはなくてはならないものです。
国は、学童保育を1997年に法制化(児童福祉法)しました。法制化後、学童保育数は2倍に増え、入所児童は2.4倍に増えました。
現在、全国に約2万ヶ所あり、80万人を超える子どもが学童保育に通っています。 特に、今年は全国の学童保育の入所児童が2万3千人近く増えました。1昨年が1万4千人増、昨年が3,000人増と比較しても大変多かったようです。その背景には、東日本大震災を体験したことがあるのではと見られています。 学童保育は、学校などと同様に、地震で帰宅できなかったり遅くなったりした保護者に代わって、子どもの安全・安心を守りました。
いざというときに、子どもの放課後の安全な居場所が必要なこと、学童保育がその役割を担っていることを、多くの父母が実感できたのでしょう。
大田区の今年の学童保育には、児童館内の学童保育、分室、こどもの家、「フレンドリーおおた」、「おおたっ子ひろば」に合計3,815人の子どもたちが通っています。
以前は、児童館内の学童保育の定員はほとんどのところが40名でした。希望者が増えるのに整備が追いつかず、現在は「最大受け入れ数」として60名から多いところでは90名と1.5倍へと大幅な定員増になっています。
先日、日本共産党大田区議団は小学校や児童館、グループ保育など区内施設を視察しました。区内最大の上池台児童館の学童保育は、定員90名に夏休み中だけ利用する児童10名合わせて100名です。「大変そう」というのが第1印象でした。
2003年に財団法人こども未来財団が「放課後児童クラブの適正規模についての調査研究」を行いました。子ども集団の規模としての視点から調査した結果、指導員も保護者も子どもも30人が適正な児童数との回答が最も多かったようです。
2007年、厚生労働省は、「放課後児童クラブガイドライン」を策定しました。放課後児童クラブ(学童保育)を仕事と子育ての両立支援、児童の健全育成対策と位置づけ「集団の規模についてはおおむね40人程度までとすることが望ましい。最大規模は70人までとすること、子どもが生活するスペースについては児童1人当りおおむね1・65㎡以上の面積を確保することが望ましい」としています。
大田区の学童保育は、ほとんどの施設が適正規模も、1人あたりの面積も大幅に超過しています。
厚生労働省が「放課後児童健全育成事業の推進に当たっては、本ガイドラインを参考に、常に、設備または運営の向上に努められたい。市町村は、各放課後児童クラブの運営状況を定期的または随時確認し、必要な指導・助言を行うなど、質の向上が図られるようご尽力願うとともに、待機児童の解消や適正規模の確保に努められたい」と述べているように
● 大田区は、子どもの安全をまもり生活の場を保障する本来の学童保育の役割をはたすために、国の「ガイドライン」にもとづいた適正規模、児童1人当りの面積確保を行うよう求めます。お答えください。
学童保育指導員は、学年も個性も家庭環境も違う60人以上の子どもたち一人ひとりの思いや個性を大切にしながら、その子の家庭や学校の様子にも気を配りながら「生活の場」を考え、子どもと向き合います。
遊びを通して、子どもたちの心を開放し、友達との関係や指導員との関係を育てそれらを通して生きる力や共生する力を身につけさせていきます。
特に、学童保育は異年齢の子ども集団であることが特色で、学童保育での生活は、大変貴重な育ちあいの場となっています。
保護者同士の結びつきも子育ての孤立感をなくし、地域再生の力にもなっています。最近は複雑な問題を抱えている家庭も急増しています。
このような多様な学童保育の役割を果たすためには、指導員の高い専門性が求められています。それを保障するための指導員の働く条件は、安定した身分と仕事に見合った賃金で安心して働き続けられることです。
大田区の学童指導員は現在416名で、内正規職員は211名、非常勤職員は205名です。
「おおたっ子ひろば」や「フレンドリーおおた」事業は全員非常勤職員です。そのうち、教員や保育士などの資格を要する児童育成指導員は、1日6時間から7時間45分労働で月額211,200円、資格を要しない児童育成支援員は、1日4時間労働で月額82,400円です。自立して生活するためには、他の職場でも働かなけなりません。
私も9月1日の防災シンポジュウムに参加しましたが「職員を減らしたのは失敗だった」という東松島市の市長さんのことばにもあるように、正規の職員が減らされては守れるいのちも守れません。
●子どもの生命を預かり、発達を保障するという重要な役割を果たす学童保育職員は、「フレンドリーおおた」や「おおたっ子ひろば」を含めて正規職員を配置すべきです。保育内容の向上からも、子どもたちの生命を守る防災の観点からも必要です。お答えください。
共働き家庭や1人親家庭が増えている中で保育園や学童保育はますます必要とされ、入室希望者は今後も増え続けることが予想されます。
大田区は、学童保育の定員を大幅に超過して対応してきましたが、それでも入所できない児童が増え続き、今年、学童保育に申し込んでも入れなかった子どもは138名です。
今年の4月現在、区内の認可保育園の在籍児童のうち、5歳児は1629人です。認証保育所や幼稚園で預かり保育を利用している子どもを加えると、1700人を超えると思われます。今年度学童保育に入室できた1年生1,520人を大きく上回ります。
学童保育の定員超過解消のために、学校施設等活用して「フレンドリーおおた」事業を始めましたが超過解消はできていません。
また、障害児の学童保育を4年生以上も認めて欲しいと言う陳情が議会で採択されました。
国のガイドラインでも、学童保育の対象は小学1年生から3年生までの児童のほか、健全育成上指導を要する児童として特別支援学校の小学部の児童及び小学4年生以上の児童も対象となります。特に配慮を要する児童について、利用の希望がある場合は可能な限り受けいれに努めることとなっています。
● 子どもの安全を守り、放課後の生活を保障するためにも、障害を持った子どもが4年生以上も在室できるためにも、希望する子どもが全員入室できるためにも、適正な規模と1人あたりの適正な面積を確保するためにも、学童保育施設の増設が緊急に求められています。お答えください。
● また、保育園は待機児解消のために、この間、施設整備を進め、さらに今後3年間で1,000名の定員増を計画しています。必要性や緊急性では学童保育も同じです。国は、学童保育の入所児童数を2014年までに30万人増やす計画です。大田区も今後ますます必要とされる学童保育の、実情に見合った施設整備計画を作成すべきです。お答えください。
次に介護保険について質問します。
介護保険制度は、施行後10年を経過しました。家族の介護の負担を軽減することを目的につくられた制度ですが、さまざまな課題も残されています。「保険あって介護なし」といわれているように、高すぎる保険料と利用料の負担、深刻な施設不足、介護従事者の労働条件、実態を反映しない介護認定や利用限度額によって、利用できる介護が制限されるなど、多くの問題が噴出しています。
今年の6月15日、改定介護保険法は、民主、自民、公明、みんなの党の賛成で成立しました。今回の改定は、噴出している問題の解決には手をつけず、新たな給付抑制策を盛り込むなど、利用者と家族に重大な影響を与えるものです。
医師・看護師等にしか認められないたん吸引などの医療行為を介護職員がおこなえることになりますが、「とても怖くてできない」「介護だけでもめいっぱいで、医療行為をする時間的なゆとりがない」「高齢者の安全が守れるのか」など医療関係者からも、介護職員からも懸念の声があげられています。
介護施設の整備に重点を置かず、訪問介護と訪問看護が連携し、短時間の定期巡回訪問と随時対応をおこなう「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」が新設されました。しかし、一定の基準で何回訪問しても定額の介護報酬とされることから「事業所が利益を上げようと思えば、できるだけ訪問を減らし利用者や家族に負担を強いる可能性がある」という欠陥があります。
また、今回の法「改正」では介護予防・日常生活支援総合事業が創設されました。総合事業を導入すると、要支援と認定された高齢者が、区市町村の判断で、訪問介護やデイサービスなど従来の介護保険サービスが取り上げられ、有償ボランティアなどがおこなう安上がりな総合サービスに置き換えられる危険があります。総合事業を導入するかどうかは自治体の判断とされています。
今回の法改定で大田区の役割がこれまで以上に重大になります。総合事業の実施を決めるのも、そのサービス内容を決めるのも大田区です。
● 要支援の高齢者は、生活支援を受けながら生活しています。大田区としてこれまでどおり介護保険サービスが受けることができるよう、総合事業を実施しないよう求めます。お答えください。
介護保険法の改正で、地域包括支援センターの役割はより一層重要になります。地域包括支援センター「さわやかサポート」は、高齢者人口6,000人に対して1ヶ所設置され、基本的には看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの資格を持った常勤職員それぞれ1名が配置されています。他に高齢者人口による規模加配、介護予防ケアプラン対応職員加配があります。
窓口開設時間は、日曜日、祝日を除く月曜日から土曜日ですが、緊急の場合は時間外であっても24時間対応しなければなりません。
事業内容も虐待防止や権利擁護を含む総合相談支援業務、包括的・継続的ケアマネージメント業務、介護予防ケアマネージメント業務、さらに大田区が実施する業務への協力と多岐にわたります。
区内の事業所の中には、業務充実のために人件費を持ち出しで職員を加配しているところもあり、人員の増加が求められています。
● 地域包括支援センターの役割は大変大きく、今後、急激な高齢者の増加も予想されている中で、いま地域包括支援センターを充実させておくべきと考えます。質を向上させ、職員を育てるという意味でも非常勤ではなく常勤職員の加配を求めます。お答えください。
介護保険料は、3年ごとに見直され、来年、2012年度が改定時期になります。今でも「保険料が高い」といわれている中、保険料が値上げをされたらますます生活を圧迫します。
現在の介護保険の仕組みは、介護の基盤整備や介護報酬の引き上げなどの制度改善が、保険料や利用料の値上げにつながります。この仕組みを変えるためには、国庫負担割合を引き上げることがどうしても必要です。昨年行った日本共産党国会議員団の介護調査でも「国民の介護保険料・利用料負担は限界。国庫負担の増額を」の声が事業所、自治体とも最も多い回答でした。
また、低所得者に対する介護保険料・利用料負担の軽減策を国の制度として確立すべきだとの要望が、自治体から共通して寄せられました。
区内で、脳梗塞で要介護4と認定された60代の男性は、1週間に1回の入浴サービスだけ利用しています。他にも訪問介護など利用できるのですが、利用料が払えないので入浴サービスだけで我慢しています。
ケアマネージャーさんによると、介護保険の申請をし、介護度の認定がされた高齢者が、本来であれば、介護度によってケアプランを作るのですが、低所得者が重すぎる負担のために、利用を控えるという実態があります。ケアプランは、必要な支援ではなく、いくら払えるかで決めざるを得ないのです。「これしか払えないので、この範囲でケアプランを作って欲しい。」といわれるケースが少なくないそうです。
●区民の負担をこれ以上増やさないためにも、大田区として、国に国庫負担の引き上げを求め、来年の保険料の値上げはしないことと国の制度として利用料の減免制度実施を求めるとともに、大田区独自の減免制度の充実を図ることを求めます。お答えください。
介護現場の人材不足は大きな社会問題になっていますが、特に東京は深刻です。介護調査では、訪問介護で7割の事業所が「人材不足」と回答し、「募集しても人が来ない」「サービスの以来があっても応じられない」などの声が数多く寄せられました。
区議団が行った予算要望懇談会で、訪問介護の職員は60代、70代が中心になっていることが紹介されました。今後ますます高齢者が増えます。若い人材を育成することも大きな課題です。
介護職員の給与を月額1万5千円アップさせるとして設けられた「介護職員処遇改善交付金」は、今年度で終了します。そのため関係者からは、対策の継続・強化が強く求められています。
● 区として、介護報酬の底上げとともに、公費投入による賃金引き上げなど国が責任を持って労働条件の改善をおこなうよう求めてください。また、介護現場の人材確保のためにも、「介護職員処遇改善交付金」の継続・強化を国に要望してください。継続ができなかった場合には区が独自に対応することを求めます。お答えください。
特別養護老人ホームの待機者は依然として解消されていません。全国で42万人といわれています。大田区は1500人です。
今後、戦後の高度経済成長期に人口集中が進んだ東京など首都圏では、急速に高齢化が進むことが予測されています。したがって、すでに深刻な施設不足が表面化してきている大田区でも特養ホームの待機者解消は待ったなしになっています。
おおた未来プランでは「10年間で160床以上の特養ホームを建設する目標」とし、すでに2施設、144床が達成といわれていますが、まだまだ足りません。
●「おおた未来プラン」を実態に見合った見直しをして、特養ホームの増設など介護施設の整備を求めます。お答えください。
以上で質問を終わります。