和田正子の談話室

メモ風に書いています。お気軽にお読みください。

定例会最終日(10月15日)の本会議で討論を行いました。

2012-10-19 12:38:08 | Weblog

日本共産党区議団を代表して、ただいま上程されました第82号議案 2011年度(平成23年度)大田区一般会計歳入歳出決算、第83号議案から第 85号議案の特別会計決算の4件の議案の認定に反対の討論を行います。 

はじめに第82号議案 2011年度(平成23年度)大田区一般会計歳入歳出決算についてです。

長年要望し続けてきた住宅リフォーム助成が実現しました。党区議団が補助率や補助額の拡充を要望し、改善された結果今年度は申込者が増え、年度途中ですが、1704万円の助成で3億6千万円の経済波及効果出ていること明らかになっています。

他にも子宮頸がん・小児肺炎球菌ワクチン接種費用の助成、待機児童対策で認可保育園の増設、防災のための耐震診断・改修助成制度、耐震シェルター・ベッド設置費助成、中小企業支援の新製品・新技術開発事業の実用化・製品化助成など区民の声にこたえたものがあり評価できます。しかし、全体として厳しくなる一方の区民の暮らしや営業支援になっていません。 

反対の第1の理由は予算編成の段階から、財政が厳しいと5%のマイナスシーリングで区民の暮らしや福祉を廃止・縮小し、さらに執行する中で実質収支額47億3056万円を使い残すという2重の暮らし、福祉切り捨てで区民への痛みを押し付けたことです。 

3・11東日本大震災を経験し、防災対策の強化がもとめられながら、障害者・高齢者世帯への火災警報器給付事業の廃止、ひとり暮らし高齢者支援事業として行っていた入浴券、理容・美容補助券が縮小されました。

障害者や高齢者世帯への家具転倒防止器具の支給は執行率29%、443万円の不用額をだし、基本健康診査は執行率96%、2226万円の不用額をだしています。 

経営感覚を持った区政運営から、区民施策を費用対効果で検証するとして学識経験者などによる事務事業外部評価を行い、2011年度はその結果に基づいて事業の見直しを始めた年度であり、公衆浴場組合への補助、福祉電話貸与などが廃止・縮小され区民の痛みとなっています。

利用者している区民の声が反映されず、現場の実態を分からない委員が評価すること、事業シートの中ですでに廃止・縮小の方向付けがされていることが問題です。「福祉電話」のように「拡充」という意見があったにもかかわらず廃止されたことから廃止・縮小ありきの外部評価でありやめるべきです。 

自治体は利益が出なければやらないという営利企業とは違います。「住民の福祉の増進」のために必要であれば経費が大きくても施行するのが自治体の役割です。 

反対の第2の理由は、区民施策を縮減しながら羽田空港跡地開発や蒲田駅・大森駅周辺グランドデザイン、京急蒲田駅、糀谷駅、雑色駅の駅前再開発、新空港線蒲蒲線の整備促進事業などの大規模開発は見直しの対象になっていないことです。第2次補正予算で、新空港線整備事業のための新規積立金5億円が計上されました。

財政難だというのなら不要不急の大規模開発こそ見直しをし、保育園や特養ホームなど生活密着型施設を増設すべきです。

特に、羽田空港跡地開発は東京に多国籍企業を誘致するために金融、財政などの更なる支援を行っていく「国際戦略総合特別区域計画」に便乗するものです。 

特区認定がされても、土地取得、基盤整備、施設整備、さらに維持管理費と多額な財政支出が必要になり、将来の区民にも大きな財政負担を負わせることになります。

好循環の地域経済振興には、大企業本位、外需頼みの「国際戦略総合特別区域計画」に便乗するのではなく、医療や自然エネルギーなど新しい分野で区内中小企業の技術開発や販路拡大などの支援をもっと大規模に行って、仕事づくりをすることです。 

第3の理由は、経費削減のために大田区はアウトソーシング指針を策定し、「民間でできることは民間に」と民間委託、民営化、指定管理者制度などを導入してきたことです。

指定管理者制度を導入した施設は119カ所、民間委託や民営化の委託事業は毎年度10,000件を超えています。

学校や保育園、図書館、公園などの公共施設は、地方自治体が住民のために様々なサービスを提供する施設です。利潤追求を目的とする株式会社などに委託をすれば、「住民の福祉の増進を図る」という「公の施設」設置の目的や自治体の責任の後退につながるだけでなく、区民の財産である区民施設を企業のもうけのために使用させていることになります。

さらに、指定管理者には毎年度終了後に自治体への事業報告書の提出が義務付けられていますが、議会への報告義務がなく、チェックしにくくなっているという問題があります。

区民サービスの向上を掲げたにもかかわらず、利用者満足度が20%台、40%台の施設が出ているなど区民ニーズに応えていません。

委託先の職員が不安定雇用や低賃金などで働いているため、まじめに働いても生活が苦しい官製ワーキングプアを区が自ら生みだし、税収減の悪循環を繰り返しています。

さらに、区が委託先で働く労働者の実態を把握しておらず、法令順守の調査、指導がされていないことも明らかになりました。法令順守すべきです。

アウトソーシングのほころびが様々な形で噴出し、今回の決算審議では他会派の議員からも問題が指摘されました。

雇用の安定と拡大をはかり、税収を増やす好循環の地域経済のためにも、指定管理者制度や民間委託などのアウトソーシングはやめて、直営に戻し、区の責任で運営すべきです。 

「大田区経営改革推進プラン」では、負担の公平性、公正性を確保するため、「受益者負担」の適正化に取り組むとされていますが、そもそも公的施設は誰でも平等に使用できるものですし、区民施策も誰でも利用できるものです。問題は誰でも利用できるようになっていないところにあるのです。

胃がん健診について受診できる人は受益者負担をすべきという議論がありましたが、区の役割は区民の健康を守るために、予算を増やして希望者が全員受診できるようにすることと、従来の業務をしながら健診ができるように医療機関の支援をすることです。

 

また、今回の決算審議で党区議団は、予算の廃止、下請業者を守る施行体系の確立、区民ホールアプリコの駐輪場の無料化、いきいき高齢者入浴事業の拡充・改善、住宅リフォーム制度の拡充、区営住宅の新設・増設、放射能対策、限度額認定証をすべての国保加入者に、DV被害相談に福祉事務所の母子相談員の増員とスキルアップを、平和島駅に急行停車を、学校現場に社会保険労務士の活用を、指定管理者制度導入施設に社会保険労務士による労務監査の実施などを取り上げました。次年度の予算編成にもり込むことを求めます。

 次に第83号議案 平成23年度大田区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算についてです。2011年度は賦課方式の変更のための値上げにより、低所得世帯や多人数世帯が大幅な負担増となりました。

国民健康保険加入者の大半を占めているのが高齢者や自営業者、非正規労働者、失業者です。今、労働者の雇用破壊、中小企業の経営悪化、年金切り下げなどが国民生活を圧迫しています。このような時に大田区の国民健康保険料は毎年引き上げられています。

賦課方式変更に伴う経過措置が、今年度限りでなくなると、例えば年金収入200万円の夫婦2人世帯で、現行年約7万4千円の保険料が、10万4千円に跳ね上がるなど、このままでは更なる負担増が必至です。経過措置を引き続き継続することが求められています。

引き上げられた保険料を払えない滞納世帯が増え、必要な医療を受けられないという深刻な事態をさらに拡大する悪循環を起こしています。

国民健康保険料の負担増をおさえ、負担を軽減して区民が安心して医療を受けられるようにすべきであり反対です。 

 第84号議案 平成23年度大田区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算は、

75歳という年齢で線引きをして「高齢者を姥捨て山に捨てるような制度だ」と批判された制度です。民主党政権が差別の制度だから廃止をすると公約に掲げたにも関わらず、実現していません。

 高齢者だけの別枠の医療保険ですから、当然医療費も大きくなり、高齢者に負担が増える制度であり廃止すべきという立場からも反対です。

 党区議団は、75歳以上の高齢者の窓口負担をゼロにすることを求めています。 

 第85号議案 平成23年度大田区介護保険特別会計歳入歳出決算については、昨年度は、第4期事業の最後の年度でした。保険給付費は18億円余の不用額となっており、もっと区民が利用しやすい介護保険へと尽力されるべきでした。次年度繰越金でもある実質収支額は9億1800万円余でした。第4期事業最終の基金は15億3795万円も残しました。2012年度からの保険料引き上げをしないためにもさらに活用できたのではないでしょうか。

全労連のヘルパーアンケートによりますと、介護報酬改定で訪問介護の生活援助の時間短縮の結果「利用者と会話する時間が取れなくなった」が68・2%、「時間内に仕事が終わらない」が49・4%、ヘルパーの40%が減収になっています。利用者にも従事者にも事業所にも安心の介護保険制度に改善すべきであり反対です。

 

以上で討論を終わります。

 

 

 

 


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