「メディア裏支配」田中良紹 から抜粋
NHKの委員会中継は予算委員会しか放送しない。
それがなぜかはわからない。
NHKは「慣例だ」としか答えない。
ともかくそのテレビ中継は各党の最初の質問者一人だけと慣例で決まっている。
すると野党はその一人にスキャンダル追求のベテランを配置する。
野党には「爆弾男」と呼ばれる議員がいて、テレビ中継のときに激しくスキャンダル追及を行い、
政府側が答えられないとそれを理由に審議を止める。
NHKの予算委員会中継はせいぜい二、三日だが、その中継が終わると国会では一斉に審議が止まり、
その後は与野党国対族の裏取引政治に移る。
空転期間は二月初旬から四月までのおよそ二ヶ月間、新年度が近づいてくると寝ていた野党が起きあがってくる。
裏取引の最終局面は竹下氏が言っていたように、与党と野党の幹部が一対一でボス交渉を行う。
取引の材料は法案だけではない。ストライキの処分問題から賃上げに至るまでさまざまな問題が取引材料となる。
そのうえ与党から野党に裏金が流れる。それが常態となっていた。
予算が通ると、会期末までに残された期間は衆議院で二ヶ月程度、参議院では一ヶ月しかない。
その短期間に百本余りの法案が次々に成立する。審議にかける時間はほとんどない。
まるでベルトコンベアーに載せられたように形式的な審議で法案が成立していく。
それが国権の最高機関と言われる国会の姿であった。
金丸氏が「このままでは日本の政治はもたん」と言っていた国対政治の実像である。
ところがこの国のメディアは、国会が空転して裏取引が行われ、最後には強行採決される状態を
「与野党激突」と報道してきた。
与野党がいかにも「必死に」「命がけ」でやっていると言わんばかりの報道である。
そして国会の審議を通じて明らかにされるはずの法案の内容がまるでわからないままにものごとが
決まっていくのである。NHKの国会中継が国対政治に組み込まれてきたように、
新聞もテレビも国対政治の一翼を担ってきた。
リクルート疑惑の追及と消費税法案の審議は本来別々の委員会で同時並行で行われるべきである。
それが常識的な考えだと思うのだが、この国の国会はそうはならない。
リクルート疑惑も消費税審議も同じ委員会で議論される。
野党にとっては廃案に追い込むために都合のよいやり方だが、野党だけでなくどうも与党も
暗黙のうちにそれを認めている。
表で激しく対立していると見せながら裏側で取引をするためには、与党にとってもそのほうが
都合がよいのかもしれない。
そうした奇妙な国会運営がまかり通っていた。
田中角栄氏が言う「日本には野党がない。あるのは労働組合だ」
という日本政治の実態がここにあった。
・敗戦し近代国家の枠組みを与えられたが、それを結局理解できず、形骸化させてきたのが戦前世代。
・コマの向きをクルっと変えて、ほくそ笑んでいる官僚機構。
政治家もマスコミもそれに乗ってみんな仲良し。政官業のもたれあい。
煙に巻かれ騙され、悪法案の痛みを負うのはいつも庶民。
・厚生労働委員会や農林水産委員会など他の委員会で、熱心に頑張っている議員もいる。
それに比べて予算委員会ときたら、劇場そのもの。
国民は言うなれば、劇場に強制的に入れられ、後でその入場料を税金という形で
払わされてるようなものではないだろうか。
NHKの委員会中継は予算委員会しか放送しない。
それがなぜかはわからない。
NHKは「慣例だ」としか答えない。
ともかくそのテレビ中継は各党の最初の質問者一人だけと慣例で決まっている。
すると野党はその一人にスキャンダル追求のベテランを配置する。
野党には「爆弾男」と呼ばれる議員がいて、テレビ中継のときに激しくスキャンダル追及を行い、
政府側が答えられないとそれを理由に審議を止める。
NHKの予算委員会中継はせいぜい二、三日だが、その中継が終わると国会では一斉に審議が止まり、
その後は与野党国対族の裏取引政治に移る。
空転期間は二月初旬から四月までのおよそ二ヶ月間、新年度が近づいてくると寝ていた野党が起きあがってくる。
裏取引の最終局面は竹下氏が言っていたように、与党と野党の幹部が一対一でボス交渉を行う。
取引の材料は法案だけではない。ストライキの処分問題から賃上げに至るまでさまざまな問題が取引材料となる。
そのうえ与党から野党に裏金が流れる。それが常態となっていた。
予算が通ると、会期末までに残された期間は衆議院で二ヶ月程度、参議院では一ヶ月しかない。
その短期間に百本余りの法案が次々に成立する。審議にかける時間はほとんどない。
まるでベルトコンベアーに載せられたように形式的な審議で法案が成立していく。
それが国権の最高機関と言われる国会の姿であった。
金丸氏が「このままでは日本の政治はもたん」と言っていた国対政治の実像である。
ところがこの国のメディアは、国会が空転して裏取引が行われ、最後には強行採決される状態を
「与野党激突」と報道してきた。
与野党がいかにも「必死に」「命がけ」でやっていると言わんばかりの報道である。
そして国会の審議を通じて明らかにされるはずの法案の内容がまるでわからないままにものごとが
決まっていくのである。NHKの国会中継が国対政治に組み込まれてきたように、
新聞もテレビも国対政治の一翼を担ってきた。
リクルート疑惑の追及と消費税法案の審議は本来別々の委員会で同時並行で行われるべきである。
それが常識的な考えだと思うのだが、この国の国会はそうはならない。
リクルート疑惑も消費税審議も同じ委員会で議論される。
野党にとっては廃案に追い込むために都合のよいやり方だが、野党だけでなくどうも与党も
暗黙のうちにそれを認めている。
表で激しく対立していると見せながら裏側で取引をするためには、与党にとってもそのほうが
都合がよいのかもしれない。
そうした奇妙な国会運営がまかり通っていた。
田中角栄氏が言う「日本には野党がない。あるのは労働組合だ」
という日本政治の実態がここにあった。
・敗戦し近代国家の枠組みを与えられたが、それを結局理解できず、形骸化させてきたのが戦前世代。
・コマの向きをクルっと変えて、ほくそ笑んでいる官僚機構。
政治家もマスコミもそれに乗ってみんな仲良し。政官業のもたれあい。
煙に巻かれ騙され、悪法案の痛みを負うのはいつも庶民。
・厚生労働委員会や農林水産委員会など他の委員会で、熱心に頑張っている議員もいる。
それに比べて予算委員会ときたら、劇場そのもの。
国民は言うなれば、劇場に強制的に入れられ、後でその入場料を税金という形で
払わされてるようなものではないだろうか。