吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

ストーブ3

2006年10月10日 | 思うこと
ストーブの話はまだ続きます。

焚き火を囲んでのキャンプというのは最高ですが、実際はなかなか出来るものではありません。
環境の制約は大きいですし、薪の確保も大変です。旅の途中ではさらに難しいです。
なので、キャンプの時の火はほとんどがストーブということになります。
小さな青い炎は、ろうそくの火よりも暗いのですが、勇ましい燃焼音がその存在を主張します。ゴオーとかボボボボボなど、機種によって音は様々です。

火があると、何となくそれを見つめてしまいますね。
人間はずっとそうして来たのでしょう。不思議な安心感をおぼえます。
特に自然の中では、この自らが人工物であることを主張する道具が、人恋しさを紛らわせていたように思います。
少しでも荷物を減らしたい自転車や徒歩の時でさえ、わざわざ火を眺めたいがために、ちょっと余分に燃料を持っていったものです。

キャンプや旅先で、仲間と語り合うとき、ひとりで物思いに耽るとき。
それは日常ではなく、特別に楽しかったり、苦しかったり、心細かったりと、非日常の時間で、そんな時はたいていこの青い炎と燃焼音が共にありました。
いつしかそれは、あたかも条件反射のようになり、あの炎と音を感知すると自動的に物思いモードに入ってしまうのです。
実際、奴と二人でテストと称して点火した時、二人ともすーっと心が体から半分抜けてました。
ええ、見えました。

つまり、愛好者にとって、この旧式で不便だがタフな道具は、日常から非日常、思い出の世界への瞬間移動装置となるのです。

実は僕自身も久しくこの感覚は忘れていました。
というわけで、外で湯を沸かしてコーヒーでも飲んできます。真夜中です。

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2 コメント

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ストーブが好き (ひぐちあきお)
2006-10-11 21:52:58
ぼくはたまたま先日、知人からやたら年季の入ったオプティマス8Rをいただきました。最近のコンパクトストーブに比べると「道具」というイメージが強くて、大変好感を持てます。

でも、ぼくは実はピーク1世代。

ことに「ミニ」をよく山に持って上がります。

おっしゃるとおり、ポンピングは儀式。あれがないと寂しい気がします。登頂が目的なら荷物を軽くするために泣く泣くガスストーブを選びますが、水平思考のバックパッキングなどでは、間違いなくピーク1がお供です。つーか、相棒です(笑)。

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僕の1号機 (ひろなん@風琴屋)
2006-10-11 23:05:33
ひぐちさんようこそ!



ピーク1というのは当時画期的でしたね。ポンピング回数が多いものの最大のハードルのプレヒートがほとんど不要というのにはあこがれたものです。



僕の1号機は中学生のころに買ったマナスル300というヤツで、コールマンの軍用モデルM1950のコピーです。

これはプレヒートが必要なものの、実に使い易く、ずっとそれだけで通してきたので、ストーブについては意外と道具遍歴をしていないのです。

もちろん今も健在です。



8Rのような箱形も根強い人気がありますね。

僕もあえてオプティマスは外してソ連製コピーなんかを狙ってみようかと(笑)。



車にストーブとお茶セットを装備して、いつでも楽しめるようにしておこうかな、水場は結構あることですし。

う~ん、ちょっと優雅な貧乏人!

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