いのちの煌めき

誰にだって唯一無二の物語がある。私の心に残る人々と猫の覚え書き。

和子さん

2023-04-02 01:28:00 | 日記
和子さんは70代後半、女性。内縁の夫はずいぶん前に亡くなったそうで、子どもはいない。近くに住んでいる甥御さんが、時々、訪ねて来る。仕事はスナックを経営していたことがあるらしい。
腰痛で伏せったりする事はあるが、身体に麻痺などはない。認知症は少し始まっている。繰り返しの言葉が多い。先に記したけい子さんのお友達でもある。そうそう、あの他人の悪口が大好きな和子さん。いつも近くにいる人の会話や行動に、悪口のツッコミを入れている。

別に、私も悪口が大嫌いという訳ではない(苦笑)。時々、気の許せる友達と機密性の高い場所で、愚痴や悪口を発散させることはある。溜まったストレスを解放させるために、そういうことも時には必要だとも思ってる。
ただ、和子さんの場合はオープンスペースで、四六時中それをしてしまうから、ちょっと大変。

それともう一つ気になることは、和子さんには盗癖がある。認知症の進行に伴って起こる症状とは少し違うと感じる、たぶん和子さんの元からの悪癖だろう。和子さんの部屋のタンスの中には、盗んできたティシュペーパーやトイレットペーパー、プラスチックのコップなどが、びっしり詰まっている。始めてそれを目の当たりにした時、私には和子さんが何か…自分の満たされない心の隙間を埋めようとしているように思えた。

そう、満たされない気持ち。

心にポッカリ空いたその空洞を埋めるため、和子さんは悪口と盗みという方法を用いているのかもしれない。でもそれでは、いつまで経っても心の空洞は埋まらないだろう。

埋められるのは愛とか、思いやりとか、信頼とか、そういう暖かいものだと私は思う。







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