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日々雑感。

平等キャンペーン

2007-07-12 | 思考
お客様は神様、とよく言われる。
言われるけど、
そんなの嘘だ!!!、と、私は、そろそろ、声を大にして言いたい。

お客様もヒトなら、
売り手もヒトだ。

どちらも、切られれば痛いし、
罵声を浴びせられたら消耗するし、
威張られたら腹が立つ。

当たり前じゃないか、と思う。

いったい、誰が「お客様は神様」なんて言い出したんだろう。
タイムマシンがあったら、逆行してその人を生まれなかったことにしたいくらい、
その概念は、よくない、と、私は思う。

ショップスタッフだった経験もあるし、
デザフェスでは売り手側に立つし、
今だって派遣の仕事で営業部門にいることを考えれば、
私は、始終、「神様」にへーこーらへーこらしなくちゃならない立場にある。

逆に、私はHMVではゴールドカードお得意様だし(笑)、
特定のパン屋やレストランにとっても常連だったりして、
そういう意味では「神様」のひとり、という立場でもある。

でも私は、
神様扱いされることも別段嬉しくないし、
そのことを威張りちらしたくもないし、
「こっちは客なんだぜ」とすごみたくもない。

同時に、必要以上に、買い手を崇め奉るのは嫌いだし、
お金を出す人に跪こうとも思わないし、
そこまでして、相手を「図に乗らせる」なんて御免だ。

もちろん、
たとえ、小さな作品ひとつでも、
自分の作品を気に入ってくれた人がいる、
ということは、とても嬉しいし、ありがたいと思う。
思うけど、
私が感謝するその人は、あくまで、神様ではなく、人だ。

非礼や過失があったら謝る。
異議申し立てをしたい時はきちんとする。

でもなんにせよ、
「それを『欲しい』と思って、交換できる対価(お金とか?)を持った人」と
「『欲しい』と思われるものを提供できる立場にある人」とのイーブンな
関わりなんだと思うんだよね。

お客様に対して謙虚な気持ちを!っていうのは、
まぁ、わかるんだけどさ。
謙虚、ってそんなにいいこと?
謙虚すぎるってのは、相手のつけあがりを助長するだけだと思うんですけど。
それに、謙虚と卑屈は紙一重だ。
威張りんぼと、卑屈な人の組み合わせほど、アンハッピーなことはない。

せっかくの「買う人」と「売る人」の関わりなんだもの、
お互い幸福、っていうのが一番いいじゃないスか。

  他者に頭を下げさせて、それで己の地位を確認しなければ安心できない者
  のことなど、わたしは知らない。
  そんな者の矜持など知ったことではない。
  ---それよりも、人に頭を下げるたび、壊れていくもののほうが問題だと、
  私は思う。
  人は、真実、相手に感謝し、心から尊敬の念を感じたときには、
  しぜんに頭が下がるものだ。
  礼とは心の中にあるものを表すためのもので、形によって心を量るための
  ものではないだろう。(中略)
  人は誰の奴隷でもない。そんなことのために生まれるのじゃない。

以上、長く引用したのは、小野不由美の「風の万里 黎明の空」からの一節。
これは、王様が、その国の民に対して言っている事なのだけれど。

魅力的なモノやサービスがあって、
それを提供してくれる人(団体)があるのなら、
感謝の気持ちを持つのは、むしろ客のほうなんじゃないのか?

同時に、自分の作ったもの、できることに対し、
評価をしてくれ、その力や作品を欲してくれる人がいるのなら
提供する側だって、幸福に感謝の気持ちを抱けるんじゃないだろうか?

そんなの理想論?絵空事?

でもさ、なにはともあれ、お客様は神様なんて嘘っぱちだし、
「私は客なんだから」と威張る客に、素敵な人はいないのだ。
それはほんとうのことだと思わない?