この凡庸で素晴らしい世界

[IXY DIGITAL 800IS]

空があるのはあたりまえ。

陽が暮れて空の色が赤を含んだ色合いになるのはあたりまえ。
かもめが飛ぶのもあたりまえだし、
逆光になれば建物がシルエットになるのもあたりまえ。

ああ、世の中なんて、
あたりまえのことばっかりだよ。
あたりまえで、つまらないことばっかり。

でも、ほんとにそうかな？
空なんていつでもあるし、
夕焼けなんて晴れてれば毎日あるし、
海辺に行けばかもめなんてうじゃうじゃ飛んでる。

それでも、
この一瞬は、いま一度だけ。
その空の色に、
かもめのはばたきに、
心を奪われるのは間違ってるわけじゃない。

どうか、今、そばにいてくれる人の価値を、
励ましてくれる友達の言葉を、
「いつもと一緒」「わかりきったこと」
「あたりまえのこと」と流してしまわないで。

今生きているそのことだって、
ほんとは凄い奇跡なんだし、
この年まで生き長らえてきていること自体が、
たとえば、自然界の動物たちにしてみれば、
なんて優雅で素敵なことか、と、きっと思われるほどの好運で。

イライラしたり、
誰かに文句を言ったり、
諦めたり、
嘆いたり。

うん、それも時には大切。
でも、忘れないで、今はとても大切。
今を繰り返すことは二度とできないこと。

どうか、君自身を、君の夢を、大切にして。
どうか、そばにいてくれる人たちを大切にして。