栃の実を2kgほど採取(収拾)してきたので、縄文人に戻って悪名高いあく抜きに挑戦した。業務用あく抜き方法は概略記載があるが、趣味でやる極少量のあく抜き方法については参考になる記載がない。従って、縄文人のできることを想像しながら作業を進めた。但し、灰の代わりに重曹、石斧、竹べらの代わりに肥後守(ナイフ)を使用。
基礎知識:苦味成分はサポニン(水溶性発泡成分)、タンニン(柿に多量に含まれる)、アロイン(アロエ苦味成分)。水に浸けサポニンを水に溶かして取り去ると共に、重曹を使って苦味・渋味・えぐ味をとる。
①採取してきた栃の実(黄褐色の外皮を取り除いた栗状の実-黒と白の斑)を3日水に浸けておいた。(サポニンが結構溶け出し泡立った。②作業で虫食いが選別し易かった)
②表皮(黒白の斑)を肥後守(ナイフ)で削り取った。同時に渋皮をこそぎ落とした。この作業1個当たり処理時間5分。えらく時間を要する。丸くて白い剥き実ができた。結局、皮剥き渋皮剥きは3日がかりの作業となった。石斧と竹べらがあればできるねえ。
③表皮と渋皮を剥いた実(以後剥き実という)を四つ切にし、およそ6百g(1日の皮剥き作業分)をバケツに入れ水に漬けた。朝昼晩水を交換しては撹拌し、この作業を3日行う。
④プラスチック容器に剥き実と熱湯1.5ℓと小スプーン3杯ほどの重曹を入れて蓋をし、発泡スチロール箱に収容。保温用に熱湯を入れたビニール袋をその上に置き、発泡スチロールの蓋をした。
6時間後に抜き実を入れた容器を見ると水が黄色く濁っていたので、剥き実を水道水で3,4回 洗い流す。泡立ちがあった。齧ってみると未だ苦い。④の作業を再度行う。
6時間後に水道水で洗い流し再再度④の作業を行い半日ほど経過。
⑤齧ってみるとやや苦味は残っているが、食えないことはない。これ以上やると栃の実の旨み成分がなくなってしまうと考え、あく抜きを終了することにし、水道水できれいに洗ったのち、プラスチック容器に水道水と剥き実だけを入れ冷蔵庫に入れる。半日後水洗いしたのち同様のやり方で冷蔵庫に保管。(特に理由のない作業)
⑥目減りもあまりなく、風味も損なうことなく、色も薄黄色で、形状も崩れずきれいなものである。ここまでのところ成功したと自画自賛。剥き実の水を切って冷凍庫に保存。
⑦餅米3、栃の実1(やや少なめ)の割合で蒸して搗く(つき)と自家製栃餅の完成。ほんのりとした渋みと栃の実風味いっぱいの極上栃餅となる筈。さて誰に毒味させようかなあ。
なお、感想として一言。栃の実の皮剥き・あく抜きは今回が最初で最後です。摂取エネルギーの数倍多くエネルギーを消耗した。この意味においては作る人にとっては究極の健康食品と言える。縄文人に肥満なし。
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