どうやらARTとなるには、最先端の表現であることが重要なポイントになってきそうです。
それは最先端であるということが学術的価値を生むからです。
美術史を振り返ってみると、これまでの表現に変化をもたらしたその瞬間にARTは誕生しています。
中でも特に有名なのがマルセル・デュシャンの〝泉〟です。
・自分の手でつくっていないものをアートとした
・〝美〟術品として美しくないものを置いた
・これはARTなのかを問いかけた(コンセプチュアルアートの始まり)
このようにデュシャン前、デュシャン後と言われるくらいART界に影響をもたらしました。
一般的によくわからないとされる現代アートですが、実はこういった歴史の積み重ねがあって、最先端の表現を目指した結果生まれる芸術なのです。
ですので現代アートを理解するには美術史を知る必要があります。
そしてARTを生み出すのにも美術史を知っていることが大切になってくるのです。
なぜなら〝新しい〟を生み出すには過去にどんな表現がされてきたのかを知る必要があるからです。
過去に一度されてしまった表現はすでにARTではありません。
それは学術的価値を生みださないからです。
このことからもわかるようにイラストレーターなどのクリエーターの生み出す作品はARTとは違います。
ですので、いくら素晴らしい作品をつくったとしても、ARTの世界で勝負をしようとすると残念ながら評価されません。
スペースのトークでは〝自分に合った畑〟を知ることの大切さについても話していました。
間違った畑でいくら勝負し続けても成功を掴むことはできないからです。
ここまで芸術について書いてきたわけですが、私自身は漆を使って作品づくりをしているわけで…じゃあ〝工芸〟はどうなんだろう?と思いますよね。
〝工芸〟の立ち位置は正直難しいところにあるんだそうです。
最初にもお話しましたが、芸術という言葉が生まれたのは明治時代です。
でも工芸はそれ以前から日本にあります。
一応分類としては視覚芸術、造形芸術などに含まれるそうなので、芸術のひとつであると考えられます。
ですが工芸は元々は〝くらしの道具〟
鑑賞用作品は美術品に分類されても道具は美術品とはなりません。
英語に翻訳される時にも〝Crafts〟となり、やはりARTではない。
なんともややこしいですね。
ただ先ほども述べたように、自分の畑を知ることが大切であるというのは工芸の世界でも同じように思います。
工芸にもいろいろジャンルがあり、自分がどういった作品づくりをしていくのか、そしてどういった場所で発表していくのか。
今後はそんなこともちゃんと考えていかないとなと思うきっかけになりました。
今回はスペースで話されていたことを私なりに解釈して書いてきました。
中には認識が間違っている部分もあるかと思いますが、そのような場合は優しくご指摘いただけると助かります。
そんなこんなで、来年度は美術史の勉強をすることからまずは始めてみようかな!と思った年度末でありました。