お好み夜話-Ver2

甘っちょろいヤツラ

ここ3、4日甘いものが食べたくて仕方がない。

何かないかとマルイやルミネの売り場を何度かウロウロしてみたが、洋菓子にはぜんぜん心が動かず、和菓子はイマイチよくわからないので、けっきょくウロウロしただけで終わってしまった。

意識的に炭水化物やタンパク質の量を制限しているから、エネルギー不足で甘いものを身体が欲しているのだろう。

「投げちゃん」からちょくちょく甘いものを頂いて餌付けされていたので、自分でも何か選べるかと思ったが、まったくどういうものが食べたいのか思いつかない。

銀座や新宿あたりへ出かけていって、このあたりではお目にかかれないような珍しいものでもあれば即買いするかもしれないが、どうも電車に乗ってまで甘いもの探しに行く気にはなれなくて今日に至っている。


「チチ」にその話しをすると、彼もまた意識的に炭水化物を抑えていてエネルギー切れな感じで、やっぱり甘いものを欲っしているとのこと。

そんな話しをしていて、なぜかたい焼きの話しになった。

「チチ」曰く、たい焼きには天然モノと養殖モノがあるんだそうな。

一匹づつ手焼きするのが天然モノで、一度に五匹とか二連、三連の焼き機でたくさん焼いているのが養殖モノなんだそうな。

ふ~ん、そんなことは全く知らなかった。

以前、鉄板屋の社長からたい焼きをやらないかとけしかけられたことがあったが、諸処の事情でやらなかった。

今のメニューにあるお好み焼きのモグ焼きでなく、たい焼きのような甘いもののモグ焼きを考え、焼き台の見積もりを取る手前でやめたのだ。

だからまったくの素人さんよりはたい焼きについて知っているつもりではいたが、天然モノなんてぜんぜん知らなかった。

つねにバッグの中に甘いものを忍ばせている「投げちゃん」なら天然モノを知っているだろう。

ちなみにかあちゃんは、一匹づつ焼く美味いのがあるのは知っていたが、天然モノという言い方は知らなかった。


たい焼き談義がエスカレートして、第2ラウンドは「碧夢」に場所を移した。

カウンターで話しの続きをしていると、髪の毛を笑っちゃうほどのリーゼントに決めたロックンローラーがやって来た。

ヤツはお勤め人時代の後輩で、学生時代柔道をやっていたので今より身体がゴツくて、おデブだったオヤジと連れたって営業に行くと、そのスジの人かアコギな地上げ屋みたいで、まともなお勤め人に思われなかったものだ。

そんなロックンローラーに天然モノの話を振ると、そんなモンはロックじゃないから知らないといい、日本酒を煽るのだった。

「碧夢」のマスターも天然モノは知らず、午前2時になろうというのに、いい歳をしたおっさんたちが酒を飲みながらたい焼きの話しで盛り上がっちゃうのだった。

嗚呼、またしてもおバカな夜が明ける・・・・。

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