近未来、核兵器などの大量破壊兵器は効力を失い、それに伴い戦いの流れは近接・白兵戦へと移ったことにより開発された兵器体系が「機甲兵装」だった。
戦場で戦うことを目的に開発された「機甲兵装」であったが、暗躍するテロリストたちには格好の武器になり得た。
拡散するテロの脅威に対抗するため、各国の刑事警察もこの「機甲兵装」を装備し、警視庁もある事件をきっかけに法を改正して特捜部を創設し、その主力装備に3機の「機甲兵装」を配備するに至った。
だがこれまでの「機甲兵装」の5年先を行く先進技術で造られた謎の多い機体は「dragoon=龍機兵」と呼ばれ、あろうことかその搭乗員は金で雇われた傭兵が警察官の身分を得て選任されたのである。
迫りくるテロの脅威、警察内部の腹の探り合い、キャリアとノンキャリアの確執、他省庁との駆け引き、中国黒社会とアイルランドのテロ組織との騙し合い、地下鉄での大規模テロ、一癖も二癖もある傭兵たちが操る「龍機兵」の驚くべき能力・・・・スリル、アクション、社会問題、そしてSFテイスト満載の小説、それが「機龍警察」だ。
人が乗って操縦する2足歩行ロボットといったら「ガンダム」を思い浮かべるだろうが、この「龍機兵」は「装甲騎兵ボトムズ」や「パトレイバー」に近い。
だが世界観はリアル「パトレイバー」といった感じで、アニメのようなコミカルなところはほとんどなく、ハードでニヒルな人間ドラマが「機龍兵」を狂言回しに展開される。
そしてこれは警察小説の新たな試みであり、世界に通用する書き手の登場を告げるものである。
だがオヤジ世代はご幼少の頃、3大ロボットアニメ(鉄腕アトム=AI 鉄人28号=遠隔操縦 8マン=サイボーグロボット)に洗脳され、「アイザック・アシモフ」のロボット3原則を刷り込まれているので、車や工作機械みたいに人が乗り込むパワードスーツのでっかいヤツは余り馴染みがないのだが・・・・・、しかし、
おもしろい‼
本屋さんで何気なく手にとった本で大当たりだったのは、圧倒的力量の「ジェノサイド」に次ぐ。
間違いなく一気読みできるお話し
はっきり言って、寝不足になる。
「機龍警察」は夢中になって一晩で読んでしまえたが、謎の多くは未解決のまま次巻に持ちこされるので、この上下巻を一気に読もうとするとちょっと時間がかかる。
それでも読まずにはいられない魅力が、この物語にはある。
何より登場人物のキャラが立っているし、著者の博識ぶりに圧倒されつつ、アイルランドの歴史・ロイヤリスト・リバプリカンなどの対立の背景ををiPadで調べながら、もはや日本は島国の単一民族などとノホホンとしていられない状況にあることを教えられる。
第一巻は歴戦の傭兵で白髪の「姿俊之」が主人公で物語は展開し、次上下巻では元アイルランドのテロ組織IRFで「死神」と異名を持つ「ライザ・ラードナー」の壮絶な過去が語られながらさらに謎が深まり、以前として「敵」の正体も「龍機兵」の出自も不明のまま、第三巻「機龍警察 暗黒市場」が刊行された。
今度は元ロシアの刑事だった「ユーリ・オズノフ」警部の背景が描かれるようだが、もう条件反射のように買ってしまった。
眠れない夜がまた訪れるのだ・・・・・。
読むべし !!
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