なんだかなぁ、世間では十代の子が殺されちゃったり、爆弾低気圧だとか、TPPがどうのシリア難民がどうのとか、どこかのアホ首相が息をするように嘘をつくだとか、なにかと世知辛い。
とかく生きるということは切なく厳しいのだが、「エレン・リプリー」中尉ほど生きることは切ない戦いだと知らしめた人物も珍しい。
なんせ、257年間も宇宙を彷徨い、人間のエゴに振り回され、漆黒の怪物から逃れたあげく蘇り、愛娘「アマンダ」の母ですらなくなった果てに故郷地球に戻ってくるのだから。
エイリアンという物語は、宇宙時代の「八百比丘尼」のごとき「エレン・リプリー」の物語でもある。
36年前に公開されたエポックメーキングな映画を発端として、これまでに正統なシリーズが4本、プレデターとの戦いを描いたスピンオフとも取れる作品が2本、そして前日談を彷彿させる「リドリー・スコット」の作品が1本と計7本の映画が存在し、その他にアメコミ、ゲームなどなど、エイリアンを題材にしたものは数多い。
そんな中、先日本屋さんで発見したのが、
エイリアン虚空の影。
これは謎の信号を受信して惑星LV-426に立ち寄った宇宙貨物船ノストロモ号の事件「エイリアン」第1作から37年後、「リプリー」が命からがらストロモ号を爆破して脱出艇ナルキッソス号 ( 文中ではナーシサス号 )で漂流中に遭遇したという設定で、「エイリアン2」の前という位置付けのお話しだ。
んんん?ってことは何かい? 「リプリー」はハイパースリープから一時目覚めて怪物どもと戦うってことですかい ?
すると「エイリアン2」と辻褄が合わなくなりはしないのか?
という当然の疑問を持つわけだが、それは小説と映画の違い、心配無用のニクいプロットでグイグイ読ませます。
「エイリアン」では強力な武器を持たない民間人のパイロットがひとり、またひとりと血祭りにあげられていき、会社の秘密指令を遵守する非情なアンドロイド「アッシュ」の企みで「リプリー」は孤立する。
「エイリアン2」では海兵隊と無数のエイリアンとの総力戦に「クイーン」というラスボスが登場し、「リプリー」は地球に残してきた愛娘「アマンダ」の面影を持つ「ニュート」を救出するために母性の戦いを挑む。
という予備知識を持ちこの「エイリアン虚空の影」を読むと、う~んそうかぁと唸ること請け合い。
機能停止して「ノストロモ号」とともに爆破されたはずの「アッシュ」が再び暗躍し、寄生した宿主の特徴を受け継いだ複数のエイリアンとの兵器なしの戦い、そして「クイーン」の存在、おっと、あんまりネタばらししない。
でも、そんな経験をしたら「エイリアン2」のお話しが成り立たないであろうというご指摘は杞憂、うまいことやっちゃってくれます、いいとこに目をつけたなと感心します。
そして読み終えてからあらためて、「エイリアン」シリーズを1~4まで、「AVP」も「プロメテウス」も一気に観直してしまった。
それにしてもこのシリーズに出てくる宇宙船も世界もどこかレトロで汚れていて、鎖が必ず垂れ下がっているのがいい。
もう鎖とか鋲とか大好きだもんね、鉄人28号やジャイアントロボみたいでさ😊
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