(1150字)
兄が実家に帰ってきた。すでにこちらで仕事を見つけたようだった。私とは大違いの行動力だなとしきりに感心する。
母は兄と色々と話しをしていたが、それが済むと妹に今度は突然怒り始めた。ものすごい剣幕で随分ヒステリックな感じに眉を顰めながらのもので、自分にもしもそれがと想像して身を震わせ、火の粉が散ってこないようにと願った。
家の前の道、正面十数メートル向かいに母がいることが分かる。手には携帯電話の料金明細書が二通握られている。それをこちらに渡すつもりらしいがなぜか封が切られた状態になっていたのだった。勘弁してくれ早く渡してくれないかといくらかヤキモキしていると、用紙を持っている手元からはみ出した部分に料金の詳細が印刷されているのが目に入ってきて、やや遠目から確認すると16000円となっていた。信じられない、普段の五倍以上の料金じゃないか……?
先月先々月と支払いを忘れてしまったのか、いやそれにしても高すぎる。
いつまでもあちらの手の内にあっては、ふと何の気なしにでも見られてしまい金額がバレることになると非常にまずい。不審に思われないよう軽い調子で貰っていいかなと声を掛けつつも、母の手から勢いその紙をもぎ取る。ついでにもう一枚の明細を見せてもらえば、果たして3000円という適正価格だった。
一体どうなっているんだろうとよく調べてみるに、単なる見間違いで実は1600円と表記されていた。私はああ良かったなどと安堵し、そういえば携帯電話の料金の請求の仕方が変わるんだってね云々、少しばかりわざとらしい世話話を振る。
帰ってきた兄は早速仕事に向かうそうだ。普段は無愛想で共通する話題もなくほとんど話をすることはせず、何を思ったか今回は母に向かって出発の挨拶をした後こちらにも同様のものをしてきたのだった。少し面食らったがあまり間を開けずに、何の含むところもなく返事をする。
私は自室の扉を隔てて兄に言葉を返したのだったが、扉の形状は、というかその姿は現実世界の押入れのドアと全く同じだったのだ。それの開け閉めの際には簡単な木製の留め具を鍵の代わりにしていたので、これでは戸締りとしての機能は果たせないなと、兄に向かって声をかけている時についでにいじり回しながら考えていた。
夢を振り返って:押入れの位置まで現実の部屋と配置は一緒で、つまり内部の作りはリアルなくせに、押し入れを開けると廊下に通じていることは違和感なく受け入れているのだ
夢とはそんなものだが、となってくると普段現実の部屋に存在し、実際に使っている方の出入口である扉はどうなっていたのだろうか。夢の中では確認しなかったので分からないままだ
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兄が実家に帰ってきた。すでにこちらで仕事を見つけたようだった。私とは大違いの行動力だなとしきりに感心する。
母は兄と色々と話しをしていたが、それが済むと妹に今度は突然怒り始めた。ものすごい剣幕で随分ヒステリックな感じに眉を顰めながらのもので、自分にもしもそれがと想像して身を震わせ、火の粉が散ってこないようにと願った。
家の前の道、正面十数メートル向かいに母がいることが分かる。手には携帯電話の料金明細書が二通握られている。それをこちらに渡すつもりらしいがなぜか封が切られた状態になっていたのだった。勘弁してくれ早く渡してくれないかといくらかヤキモキしていると、用紙を持っている手元からはみ出した部分に料金の詳細が印刷されているのが目に入ってきて、やや遠目から確認すると16000円となっていた。信じられない、普段の五倍以上の料金じゃないか……?
先月先々月と支払いを忘れてしまったのか、いやそれにしても高すぎる。
いつまでもあちらの手の内にあっては、ふと何の気なしにでも見られてしまい金額がバレることになると非常にまずい。不審に思われないよう軽い調子で貰っていいかなと声を掛けつつも、母の手から勢いその紙をもぎ取る。ついでにもう一枚の明細を見せてもらえば、果たして3000円という適正価格だった。
一体どうなっているんだろうとよく調べてみるに、単なる見間違いで実は1600円と表記されていた。私はああ良かったなどと安堵し、そういえば携帯電話の料金の請求の仕方が変わるんだってね云々、少しばかりわざとらしい世話話を振る。
帰ってきた兄は早速仕事に向かうそうだ。普段は無愛想で共通する話題もなくほとんど話をすることはせず、何を思ったか今回は母に向かって出発の挨拶をした後こちらにも同様のものをしてきたのだった。少し面食らったがあまり間を開けずに、何の含むところもなく返事をする。
私は自室の扉を隔てて兄に言葉を返したのだったが、扉の形状は、というかその姿は現実世界の押入れのドアと全く同じだったのだ。それの開け閉めの際には簡単な木製の留め具を鍵の代わりにしていたので、これでは戸締りとしての機能は果たせないなと、兄に向かって声をかけている時についでにいじり回しながら考えていた。
夢を振り返って:押入れの位置まで現実の部屋と配置は一緒で、つまり内部の作りはリアルなくせに、押し入れを開けると廊下に通じていることは違和感なく受け入れているのだ
夢とはそんなものだが、となってくると普段現実の部屋に存在し、実際に使っている方の出入口である扉はどうなっていたのだろうか。夢の中では確認しなかったので分からないままだ
