シニアなシステム屋の身辺事情

そろそろ現役引退してもいいようなトシなのに生涯現役をめざすシステム屋の身の回りの出来事・・

「何でもできる」は赤信号

2006-03-01 21:32:38 | Weblog
システム開発は多くのひとが携わってすすめられてゆく。開発の内容や規模に
よって必要なスキルや経験、そして人数や期間は変わってくる。したがって
多くの場合、ひとつの会社だけで開発がすすめられてゆくことは稀だ。これ
と似た業界に建設業界があるが、どうもあちらは会社ごとに役割が決まって
いるそうだが、我が業界はそれほど明確に決まっていない。

ひとつのプロジェクトをすすめるとき、自分がどこかの会社から仕事をもら
うカタチで参画することがあるし、仕事の一部を他の会社のひとにお願いする
こともある。会社によって得意分野があるのだが、結局は「ひと」の能力に
依存することになるから、一緒に仕事をする(かも知れない)ひとと面談する
ことは必須だ。(かも知れない)と書いたのは、面談の結果、一緒に仕事でき
ないと判断することがあるからだ。

先日、受注予定プロジェクトに参加していただけそうなひとと面談した。通常、
面談は、対象となるひとの年齢や、過去にどんな仕事をどんな役割でどのくら
いの期間したのか、そのひとの特長があればそれは何か、そんなことを書き連
ねた「経歴書」という文書を貰ってすすめる。そして一緒に営業担当者が同席
する。

ところで、面談でそのひとのことが全部判るなんて、不可能だ。
「コイツは××業の○○システムを3年経験しました。△△システムは2年で、
そのときの環境はVBとオラクル、これはリーダーでした。それから・・」
営業担当者が経歴書を前に延々と説明するのを私はフムフムと聞くフリして、
実は次のことだけが知りたいのである。


   そのひとの目線やふるまいはどうか
   きちんと日本語が話せるか
   困ったことや問題に気がつくかどうか

ひとつめは礼儀、ふたつめはコミュニケーション、みっつめは問題発見力。
それだけ判ればいい。技術については経歴書みればだいたいわかるし、だい
いち実際にやってみないと判らないから、面談で技術力を見抜こうなんて、
思わない。共通の話題は経歴書になるから、そこから質問してみる。私の
質問の意図にあった返答が的確に返ってくる。むむっ、なかなかいい感じ。
会話になっているぞ。

私はとっておきの質問を出してみた。

  「いちばん得意にしていること、これは負けないぞ、と思うことって何?」
  「何でもできることです」
  (営業担当者)「ええ、コイツはどんな技術も業種も何でも来い!です」

それはないだろう。なんでもできるなんて、実は何もできないぞ。そんな
万能なひとが居たためしない。私はこの

   何でもできる

というのと

   いままで失敗したことがない

という技術者はハナから信頼していない(この自説には賛否両論があるか
も知れないが・・)。または圧倒的に経験不足のどちらかだ。残念ながら
お引き取り願った。ああ、会話ができるひとだったのになぁ。

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