ウクレレとSwing(スヰング)音盤

A Fist Full of Ukuleles (1994) / Ukulele Orchestra of Great Britain

1994年リリースのサード・アルバム。同時にSony Recordsからリリースとなった最後のアルバム。楽曲は前作アルバムがリリースされた1990年以降、93年にかけて同グループのライヴ・コンサートで演奏された数々のレパートリーから選曲された。

クラシックに幕を開けて、ロックあり、レゲエあり、ジャズあり、プリンスあり、最後はチャック・ベリーで締め(原曲歌詞にある「ギターを抱えて・・・」の部分はもちろん「ウクレレ抱えて・・・」に変えてある)。それらすべてがウクレレと唄で演奏され尽くすという、本作でもさすが!の大英帝国センスは健在である。一体大真面目なのか、やはりふざけているのか、恐らくはその両方なのだろう。

拙稿でも先に紹介済のファースト・アルバムでは12名もの大所帯メンバーがジャケットで紹介されていたが、本作の時点までには7名まで収斂されたようである。その後の同楽団はメンバーとの死別なども乗り越え、1985年の結成以来30年以上にもわたり、ウクレレ楽団としては世界に例を見ないほど息の長い活動を続けている(やはり大真面目だったのだ)。

1.Tchaikovsky's Piano Concerto No. 1, First Movement [Theme]
2.Ironing My Goldfish
3.A Case Of You
4.The Dambusters March
5.Masks and Faces
6.Kiss
7.Perfect Day
8.Wuthering Heights
9.Cancion Mixteca
10.The Timewarp
11.Berceuse, From Faure's Dolly Suite
12.Night And Day
13.Yes Sir, That's My Baby
14.I Who Have Nothing
15.Trumpet Voluntary
16.The OM Riff, Introducing Silver Machine
17.Johnny B. Goode

唄が特別うまいわけでもなく、肝心のウクレレの演奏テクニックもごく普通なレベルだと思うのだが、誰にでも出来そうでいて決して真似できない世界観があり、幅広い音楽を聴きこんできたのであろう知識の豊富さ、選曲眼のユニークさと、アレンジのアイデアの素晴らしさ、そして何より英国伝統のユーモアのセンスがこの楽団の真骨頂であろう。

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