Surfside Recordsからの三作目。タイトルは新しいサウンド作りに挑戦、といった心意気だったろうか。ジャケットのイメージそのままに、60年代(制作当時のリアルタイム)の躍動するラブ&ピースな空気感が見事にウクレレ音楽に昇華されている。プロデュースはDon McDiarmid,.Jr。
収録曲から見てみよう。
A1 By The Time I Get To Phoenix
A2 When I Look Into Your Eyes
A3 San Francisco
A4 To Sir With Love
A5 Release Me
A6 Impossible Dream
B1 It Must Be Him
B2 Summer Nights
B3a Going Out Of My Head
B3b Can't Take My Eyes Off Of You
B4 A Whiter Shade Of Pale
B5 My Cup Runneth Over
B6 Up, Up And Away
前作に引き続き、アレンジャー&コンダクターとしてSeiji Hiraokaを起用し、選曲には60年代の時代の空気を象徴するようなポップスの有名曲が並ぶ。前作では弦楽オーケストラとの共演という趣向だったが、本作はストリングスに偏らずブラス・セクションやパーカッション、ギターなどバランス良く配したオーケストラ・アレンジとなっており、アメリカの60年代スタジオ・ミュージシャンの仕事を彷彿とさせる明るい雰囲気を醸し出す中、オータサンも伸び伸びとリラックスした演奏を披露している。B3はメドレー形式かと思いきや、別個の二曲のAメロ・Bメロ・サビを分解して1曲の長さに無理なく再構成したようなアレンジで、全く違和感なく聴けてしまうが、よく聞くと凄い大胆な編曲アイデア。
その編曲を担当した、日本音楽業界の第一線で活躍したプロの仕事人である平岡精二氏は、60年代には療養を兼ね日本を離れてハワイに住んでいた時期があるとかで、この頃オータサンのアルバムに立て続けに参加していた。よほど二人は波長が合ったのか、たくさんの作品を世に送り出しており、本作もそうした一連の共同作品のひとつで、録音はハワイのCommecial Recording Studio。若き日のオータサンは、この時代に平岡氏とのスタジオワークでプロの音楽家として質の高い経験を積み、一流のノウハウを吸収したに違いない。