超高機動銀河恋愛黙示録モロッソスギャラクシー

美少年刑務所の名物所長チャキオと
小悪魔ボディの見習い天使アヴダビが激突する
モロッソスみそっみそっ創作宇宙

妖精大百科フェアリー・マンダーラ84(チャキオ@キンカン)

2012-05-29 01:25:42 | 妖精大百科フェアリー・マンダーラ
 84匹目「チコニール」

「ぎゃひーっ!! もういい加減にしてよっ! お前も、キモいよ!!」
 洋一郎之介は、現れたクリーチャーに怒鳴りつけます。
「オイラがキモいだなんて、失礼しちゃうな!」
 その謎の生命体は、予想以上に可愛い口調でした。頭がチーターなので、一瞬だと騙されそうになります。
 しかし、全体像を見ると腹立たしさも倍でした。だって、頭以下がニョロニョロでしたから……。
「オイラ、チコニールってんだ。呼び出してくれてありがとな!」
 チコニールは、ウフフと笑いました。ちょっと可愛い、確かにちょっと可愛いのですが、ウネウネした体が目に入ると、無性に罵倒したくなります。
「おめえ、何しにこんなトコにやってきたんだよ! 俺は、おめえみてえなキモい奴は、お断りなんだよ!」
「バカヤロウ!」
 洋一郎之介は腹に、ヌメッとした感触の頭突きを食らいました。そうです、オクパンハの頭突きでした。
「チコニールが君に何をしたってんだ! コイツは……君とカードゲームをしにやってきたってのに……」
「え!?」
 チコニールは、クスンクスンと鼻をすすって泣いていました。洋一郎之介の心にも罪悪感というものは少なからずあります。
「チコニール……。ゴメ……」
 しかし、その少ない罪悪感では拭いきれないチコニールの気持ち悪さに、謝る気は失せました。
「まあさあ、そう気を落とすなよ、チコニール。せっかくカードゲームをしにきたんなら、いっちょやってみようぜ!」
 洋一郎之介は、チコニールの体部分には触れないように近寄り、モフモフの頭を撫でました。オクパンハの頭だけは撫でる気にはなりませんでしたが。
「うん! やろうやろう!」
 チコニールは、嬉しそうに笑いました。とても可愛いのです。顔だけは。
 チコニールも、どこかから勝手に座布団を持ってきて、その上にトグロを巻いて座りました。
 そして、オクパンハが配ったカードを、チコニールは上手に口を使って揃えています。
「さあ! ゲームの始まりだで!」
 チコニールは変な言葉を使いました。こんな口調の奴になら勝てる! そう、洋一郎之介はほくそ笑みましたが、蓋を開けてみれば、オクパンハもチコニールも次々と簡単そうにクリーチャーを作り上げ、勝負をガンガン挑んできました。
 案の定、洋一郎之介は、いっこうにクリーチャーを作り上げることができません。防御もできない始末。またしても、ぶちぎれます。
「なんだよ! お前ら! グルかよ! 陰謀かよ! もうやめやめ!! はい、おしまい!」
 拗ねる洋一郎之介に、オクパンハもチコニールもあらら……という渋い表情です。その実、オクパンハの表情は余り変わっていませんが……。
 そして、またしてもオクパンハが洋一郎之介のカードをのぞき込みます。そして、
「ああ、ほら! ちゃんと揃ってるじゃないか! こんな良いカードが。これと、これと、これを場に出してみなよ。僕たち勝てないぜぇ~」
 言われるがままに、洋一郎之介は、場にカードを出します。
 それは、頭がシュモクザメ、体はチーター、お尻は鳥?のカードでした。
 そして、またしても座布団が光り、ムムム……と何かが現れたのです。
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マシュマロ☆ラブファイターしょうぎ

2012-05-27 20:33:35 | オリジナルグッズ
なんと!
あの「マシュマロ☆ラブファイター」がしょうぎになったとな!
ひやああーー!!

それでは早速見ていきましょう!
イラストはご存じ、ルチャ先生です!
どうぞ!


不破ふわり(ふわ・ふわり)
河合井中学の1年生。伊香須カゲキ君に夢中。
意気地がない。


ふわふわラブファイター・マシュマロン
トキメキカロリーが満タンになったふわりが乙女チック変化した姿。
メルヘンリンチ博士が送り込んでくるラブファントムを粉砕する力を持つ。


伊香須カゲキ(いかす・かげき)
ふわりの想い人。超イケメン男子。


ファーファ
ソフトタッチ星の革命運動家の娘。ふわりにマシュマロスーツを授ける。
トランペットが得意。


金剛丸華麗(こんごうまる・かれい)
ふわりの恋のライバル。
いつもクリームコロネのような髪型の少女と、クロワッサンのような髪型の少女を引き連れている。



これがしょうぎ盤だーー!
小松太陽(こまつ・たいよう)先生
国語教師で、ふわりの担任。
ホットパンツを好んで穿く。



スーパークールなゲームでヒートしようぜ!

ルールはどうぶつしょうぎと同じです。



盤は折り畳めるよ。
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妖精大百科フェアリー・マンダーラ83(チャキオ@キンカン)

2012-05-25 01:47:14 | 妖精大百科フェアリー・マンダーラ
 83匹目「オクパンハ」

 洋一郎之介は、今日も学校も行かずに、お婆ちゃんから買ってもらった謎のカードゲームを一人でプレイしていました。
「これでコンボだ! くらえぃ!」
 ビシッと場に捨てたカードは、動物の頭?と思われる不思議なものでした。

 それは巷では「クリーチャーズ」と呼ばれる、ちょっと変わり者が好んで遊びそうな楽しいカードゲームで、頭、胴、足の三枚のカードを組み合わせて珍妙な怪物を作ります。そして、出来上がったソイツを使って他のプレーヤーに勝負を挑み、他のプレーヤーは手持ちのカードの中からどうにか怪物を作り上げて防御します。誰もが防御できなければ、その怪物がナンバー1という、なかなか単純でありながら面白いゲームでした。

 しかし、洋一郎之介はルールを読まずに遊んでいたので、やり方が分かりません。適当に見よう見まねのカードバトル風に遊んでいたのです。
「はあ……。一人で遊んだって、何も面白くねえや。ババアの奴、なんでまた、こんなもん買ってきやがったんだよ。ちきしょう!」
 すっかり飽きてしまった洋一郎之介が、手持ちのカードをポイッと投げ散らかした時です。
 謎のカードの頭、胴、足が見事に並びました。すると、どうでしょう。
 カードの捨て場として用意していた座布団を魔界のゲートのようにして、何かがムムム……と現れたのです。

 頭はタコ、胴は獣、足は魚。あまりの気持ち悪さに、洋一郎之介は目を剥きました。
「ぎゃひーっ! なんだお前はーっ!」
「僕かい? 僕の名前はオクパンハってんだ。よろしくな!」
 オクパンハと自分を言い放った、その謎の生命体は小粋にウインクしました。よけいに気持ち悪く見えました。
 オクパンハは、何もしていないのに、ピチピチと体から奇妙な音をたてます。それも、ますます洋一郎之介をビビらすのでした。

「君さあ、このゲームの遊び方、間違ってるぜ。こんなんじゃ、僕たち出来上がらないよ」
 そう言ってオクパンハは、上手に両足でカードを切りました。カードの捨て場にしている座布団とは別のクッションを持ってきて、そこに腰を下ろします。すると、オクパンハの尾ひれが微妙に曲がってしまいました。洋一郎之介は気にしましたが、当の本人は全く気にするそぶりもなく、パッパッと手裏剣のようにカードを配りました。
「いいかい? こうやって、こうやって、こういう風に遊ぶのさ。どうだい? 分かったかい?」
 オクパンハは、バカでも分かるほど上手に洋一郎之介に説明しましたが、彼は分からないを表現するように顔の全パーツを3にしました。
 それを見て、まさにトホホ……という表情になったオクパンハ。とはいえ、その実、表情はあまり変わっていなく、終始憎たらしいほど間抜けな顔でした。

「とにかく、一度やってみれば分かるよ。さあ、ゲームのはじまりだ!」
 オクパンハは、どんどん洋一郎之介相手に自作のクリーチャー達を揃えて勝負を挑んできます。
「ちょっと、ちょっともう! もう少し手加減してくれよな! 俺は初めてやるんだぞ! こういうの!」
 すると、オクパンハはニヤリと笑いました。
「じゃあさ、例えばね、僕がこれとこれとこれでクリーチャーを作って君に勝負をかける。そしたら、君は……」
 言いながら、堂々とオクパンハは洋一郎之介のカードをのぞき込みました。そして、
「これと、これと、これで防御してごらんよ! ほら、出来上がってるじゃないか!」
「ホントだ! できてる! いざ、勝負!」
 洋一郎之介がオクパンハに言われるままに、捨て場にカードを揃えて出します。
 すると、どうでしょう。
 頭がチーター、胴が蛇、足が魚の気持ち悪い生き物が、またしてもムムム……と現れたのでした。
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妖精大百科フェアリー・マンダーラ82(チャキオ)

2012-05-17 01:41:43 | 妖精大百科フェアリー・マンダーラ
 82匹目「煙突掃除をしてくれる妖精 四四茶男(ししちゃお)」

 洋一郎之介は、今日も借りてきたDVDで子供のための名作劇場をシャカリキで見ていました。もちろん夏休みでも休日でもありません。その理由はと言いますと、お小遣いを浮かすために1週間レンタルにせず、1泊2日で5本もレンタルしてしまったからです。
 まるでノルマのようになってしまった名作劇場を頭に叩きつけていると、徐々に脳内がボーッとなってきました。目がロンパってることに気付いていません。昔のアニメなら、一人くらいはそんなキャラクターがいたものです。
 それはさておき、視界がグルグルとしてきた洋一郎之介は、アニメの中の煙突に吸い込まれてしまいました。(多分、そんな気になっただけですが……)

 真っ暗な中。
「おい! おい!」
 洋一郎之介を呼ぶ声がします。
「ぎゃひー! お助けあれ~」
 洋一郎之介は、お化けにはめっぽう弱かったので、暗い中の声と言ったら、もはやソレにしか思えなかったのです。
「お助けってさぁ、こっちが助けてもらいたいもんだね、まったく」
 その声は、思った以上に若々しく、子供のようでした。
 暗闇に目が慣れてきた洋一郎之介は、初めてその声の主を見ると、口元にマスクを着けて、掃除用具を手にした薄汚い子供がそこにいました。見るからに貧相で、弱々しく、これなら勝てる……そう思った洋一郎之介は、途端に強気に出ます。
「助けてって、何から助けて欲しいんだい? 俺が手を貸せることは何かあるかな? どれ、何でも言ってごらんよ」
 上から目線の洋一郎之介の問いかけに、少しムッとしたその少年は、ぶっきらぼうに答えました。
「労働……労働……。口を開けば、働け働けと。上の奴らは、オイラ達から搾取するだけ搾取して、何も与えてはくれないのさ」
 急に難しい話になり、洋一郎之介の目は3に、口元も何故か3になってしまいました。意味不明を顔で表す洋一郎之介に、その子供も唖然としました。
「お前……。もしかして、働いていないのか? 裕福な坊ちゃんなのかい?」
「働いてはいないけど、とりとめて裕福ではないね」
 洋一郎之介は、自分の家を想い浮かべ、きっぱりと言い切りました。
「裕福でもないのに働かないなんて、アンタすげえな」
 その子供は、急に尊敬のまなざしを見せました。気を良くした洋一郎之介は、誇らしげに言います。
「俺、深川洋一郎之介ってんだ。なんていうか、人生のモットーは“働いたら負け”だよ」
「“働いたら負け”か……。すごい思想だな。けど……なんか深いよ。僕は煙突掃除屋の四四茶男(ししちゃお)。煙突掃除だなんて、完全に負けてるよな……」
 四四茶男は、肩を落として切なく笑いました。顔に付いた煤が、哀愁を物語っています。
「おいおい、暗くなるなよ。働くのをやめたらいいことじゃないか」
 そう言って洋一郎之介は、能天気に四四茶男の肩をバシッと叩きました。
「そんなわけにはいかないのさ……。働かなきゃ食えないんだよ。家主のヤツは、働かねえヤツには、メシを食わせてくれねえんだ。それだって、満足じゃねえやい」
「そんな家、逃げちゃえばいいじゃん!」
「そういうけどよ、逃げたって同じことだろ? それに俺は契約の元にここにいるわけで……。故郷の両親や、妹、弟達が俺の金で暮らしてるわけだし……」
「え? 親? 働いてないの?」
 そう言うと、四四茶男は、カッとなり声を荒げました。
「働いているさ! 働いて……働いて……それでも俺達を育てるのに充分の金がないのさ。だから、俺がこうして……ここで……」
 四四茶男は、ホロリと涙を落としました。慌てて拭うと、手が煤だらけだったので、顔はより真っ黒になりました。
「なんか……色々と大変なんだな……」
 二人は、煙突の中でしーんとしました。しかし、四四茶男がポツリと呟きます。
「はたらいたら……負け……か……」
「そうだよ! 負けだよ!」
 洋一郎之介は意味なく励まします。
「よし、そうだな! おい、ちょっと来てみろよ!」
 四四茶男は、洋一郎之介を誘って、さっそうと煙突を登り始めました。洋一郎之介は、ビクビクと付いていきます。
 煙突を抜けると、美しい街並みが一気に視界に飛び込んできました。
「見ろよ! この景色! 俺は時々、働くのをやめて、この景色を眺めてんだ。街並みを見下ろすんだよ。一番高い場所でね」
 洋一郎之介の心でも、人並みに感動というものは得られるのです。言葉を失うほどの美しい景観に、思わず涙ぐみます。
「すごいや。心のブルースカイって感じだね。自由に飛びたくなるよ」
 洋一郎之介と四四茶男は、顔を見合わせてニッコリと笑いました。

 その時です。シューッという怪しい音が下の方から聞こえてきます。
「やばい! ボイラーの故障だ! 蒸気が噴き出しっ……」
 四四茶男の声と共に、下から駆けあがってきた熱風が洋一郎之介のすぐそばまで。
「あぁ……あつーいっ!」
 ドオオーーーーン
 爆風と共に、洋一郎之介は空中に高く吹き飛ばされました。見上げても見下ろしてもブルースカイの中、微かに見えた四四茶男の手を必死で掴むと……。
 そこは、いつもの洋一郎之介の部屋。ベッドの上でした。
「四四茶男……」
 洋一郎之介は、なぜか真っ黒になっていた自分の右手をじっと見つめました。
「はたらいたら……負け……だよ。四四茶男……」
 洋一郎之介は、力強く拳を握り、胸の前へと持っていきました。それは、どこかで見た誓いのポーズでした。
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マシュマロ☆ラブファイター 第六話(チャキオ)

2012-05-08 03:11:24 | マシュマロ☆ラブファイター
 第六話 「恋愛は爆発だ!」

 今日の不破ふわり(12)は、校庭の片隅で図工の時間の課題である写生にいそしんでいた。しかし、画用紙に描かれているのは、脳内のカゲキ君ばかりだった。
 覗き込んでは呆れるカッチン。
「もう、ふわり~。あんた、またカゲキ君の似顔絵になってるよ(あんま似てないけど)」
 ふわりはハッとする。
「いっけなーい。アタシったら、すぐこれだ」
 そう言って、ペロリと舌を出す。そんなふわりに、更に呆れ顔のカッチン。
「今日までに色塗りしなきゃいけないんだよ。分かってるの? ふわり」
「分かってるよぉ~。この場所がいけないんだよ。つまんないもん!」
「私、今更場所変えないからね。ここが嫌なら、ふわりが一人で探してきてよ」
「カッチンのケチ~。どうせカッチンだって、色塗りまで進んでないんでしょひーーーーっ!!!!」
 ふわりは、カッチンの画板を見て目を剥いた。彼女は既に色塗りもほとんど終わらせていたのだ。
「ずるい! カッチン! いつの間に! 私……もっと良い場所を探すもん! すぐに終わらせてやるんだからぁーっ!」
 そう言うや否や、ふわりは脱兎のごとく駆け出した。

 校舎の裏。とりとめて何も無い場所を選ぶふわり。
「ここを写生しよっと」
 ずぼらなふわりは、校舎の壁に向かって座る。
「壁を描けば、すぐに終わるもんね。きっと間に合うよ。見てろよ、カッチン!」
 ふわりが、いざ筆を手にすると、片隅からヒソヒソした声が聞こえた。気になったふわりが聞く耳をたてる。
「……好きです……。付き合ってください……」
 なぬ~! 12歳で付き合うだとぉ! まだ早いっ!
 と、いきり立つふわりだったが、もちろんそれは口には出さなかった。
「……でも……俺……君のこと、何も知らないし……」
 相手の男の子の声にピクリと反応するふわり。ま……まさか……。
 白目を剥きながら、そっと覗くと、そこにはまさにカゲキ君が、知らない女(ふわりも同じクラスだが、カゲキ君に夢中な為、目に入っていないのだ)から告白されているではないか!
「ちょっと待ったーーーーっ!」
 とは、言いだせないふわりは、一人立ち尽くす。
「どどど……どうしよう……。どうしたらいいの? 神様! ヘルプ!」
 その時。例のブツッという脳内ジャックの音が。そして、
『ふわり! 緊急指令! ファーファです』
「またあ!? 私、今それどころじゃないの! 一大事なのよ!」
『それはともかく、またあなたの傍にラブファントムが転送されているの。よろしく頼むわね』
「んもう! そんなこと言ったって、こんな傷心の状態じゃラブエナジーなんて出るわけ無いじゃない! どうすりゃいいのよ!」
 その時だった。
「俺……付き合うとかよく分かんねえから、ゴメンな」
 というカゲキ君の声。泣きながら走り去る少女。勝ち誇るふわり。
「カカカ……カゲキ君!! なんてダンディーなの! 一匹狼を貫くその精神!! 孤高の虎。クロコダイルダンディー! もうハンパないっつーの!!」
 ふわりがカゲキ君にドキュンとなったその時、トキメキカロリーが満タンとなった。と同時に、雲の隙間から謎の衛星が覗く。そして、怪しげな衛星からキラキラとしたまるで宝石のような光が降り注いだかと思うと、ふわりを包み込む! すると、ふわりの体がパーンと弾けて……。
「オトメスオトメスきゅんるるる~ん! ふわふわラブファイター、マシュマロン! 乙女チック変化!」
 ふわりの乙女チック変化が完了したと同時に、別の衛星からどす黒いビームが流れ落ちてきた。
 それこそ、メルヘンリンチ博士が送り込んできた謎の生命体。そうラブファントムだったのだ! カゲキ君が危ない! ふわりは咄嗟に動き出していた。
「カゲキ君に告っていいのは、クロコダイルと私だけよーっ!」
 ふわりの体はミエナイチカラによって動かされ、指で空中にハートマークを描いていた。そこから色とりどりの絵具を散りばめたようなハートが飛び出していき、ラブファントムにビチャビチャと振りかかる。そのペイントを受けたラブファントムは、ドロドロに溶けていった。

 カゲキ君が近づいてくる。
「ハッ! どうしよう、ふわり! これはまさに告白タイムよ! 名高い画家達が、私とカゲキ君をモデルに不変の愛を描いて応援しているもの! ファイト!」
 と、自分を鼓舞してみたものの、
「シャイでセンチな私には告白なんてとても無理!」
と、その場を一目散に逃げ出す始末。

「こんな洗いそびれてガビガビになった筆先のようなハートじゃダメよね……」
 貯水槽に映る自分に溜め息。その時、いつもの自分の姿じゃないことにやっと気付いたふわり。
「キャッ! こんな格好じゃ、告白どころか課題の提出もできないじゃない!」
 すると、水面がもや~と揺れて、ファーファの姿が映し出される。
『ふわり。御苦労さま。今日もパブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソの絵のように鮮やかな勝利だったわね! その真っ白なキャンバスにあなたはどんな未来を描くのかしら?』
 そう言うとファーファは、お得意のラッパを持ち出し、ゴッドファーザーの愛のテーマをかき鳴らして、消えた。そこにはいつものふわりの姿が。
「私の白いキャンバスに描かれるのは、きっとカゲキ君との幸せな老後ね! 今に見てろよぉ!」
 そしてふわりは、校舎の壁を描いていたはずの画用紙に、意気揚々とカゲキ君の似顔絵を描き始めた。
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