ジジイとイオンがまっ逆さまに落ちている。
「あああ……危な……」
モップはこの際、ティージホーキーのことは無視し、イオンだけを王子のようにかっこよく救うことに集中した。
「イオンちゃんを助ける! 助ける……。ホッスルホッスル!」
すると、あら不思議。モップの指先から光が一筋走ったかと思うと、それはイオン……を通り越して、ティージホーキーに伸びた。その光はジジイを包み込むと、シャボン玉のような膜を張り、ふんわりと浮かんだのだった。
「おーっ! すげーっ! 俺の魔法! ってバカ! イオンちゃーーーーん!」
もちろんイオンの方は、相変わらず落下速度を増しながら地面に向かっていた。ギュッと閉じた目からは涙の雫が見えた。モップはパニックになる。
「あああ……。イオンちゃん! イオンちゃーーーーん!」
イオンが地面に叩きつけられる、その瞬間だった。
風のかたまりが、突如下から吹き上げ、イオンは少し浮いた。そして、今度は緩やかな速度の元、再び落ち始め、その下にいたのはダイソンだった。ゆっくりと落ちるイオンを見事にキャッチして、その場に下ろした。
と、ほぼ同時に、モップの元にもティージホーキーのシャボン玉が下り、両手の上で割れた。気づくと、モップはティージホーキーをお姫様抱っこしていた。
目の前では、イオンがダイソンに少々うっとり顔で、御礼を言っていた。すぐそばのティージホーキーも、なぜか少々潤んだ瞳で、こっちを見上げていて、モップの背中はゾクゾクと悪寒が走った。
その時だった。フゴーッという地鳴りのような鼻息。またしても突風が吹き荒れた。
「来たなーーーーっ! ダイソンーーーーッ!」
それはリディアの雄叫びだった。咄嗟のことに、モップはティージホーキーをギュッと抱き締めてしまった。すると、さっきまで殴られたように痛んだリディアの声攻撃を全く受け付けなかった。
何かのバリアが張られていた。ティージホーキーの体が緑色の光で包まれている。そして、それはモップにもかかっていた。
「痛くない……。こ……これって先生の魔法!?」
「うむ。そうじゃよ」
ティージホーキーはモップの腕の中で、得意気に笑った。
「ハッ! イオンちゃん! イオンちゃんが!」
モップは慌てた。リディアのボディーブローのような雄叫びを受けたら、あんなか弱いイオンでは、ひとたまりも無いだろう……。しかし、イオンに目をやって、モップは仰天した。
イオンも同じく緑色の光に包まれていたのだ。しかも、それはダイソンの腕の中で、しっかりと守られて……。
「ダ……ダイソンも……同じ魔法を?」
そう言うと、ティージホーキーは、バツが悪そうに目を逸らした。
「先生! なんでダイソンが先生の魔法を!」
その時、またリディアの第二波が襲ってきた。突風が吹き荒み、飛ばされそうになる。
ダイソンはイオンを腕に抱きながら、囁いた。
「君……俺の胸ポケットから、羽を一枚取り出してくれ」
「え……?」
イオンは言われるままにダイソンの胸ポケットを探り、羽を取り出した。
「それは魔除けの羽だ。それを持っていると、身代わりになる」
「これが……?」
「いいか。それを手にし、安全な場所まで走るんだ。その羽が壊れるまでしか使えない。この突風と攻撃をまともに受けていたら、時間の問題だ。急げ」
そう言うと、ダイソンはイオンを突き飛ばした。イオンはダイソンを不安げに見た後、必死で走り去っていった。
「あああ……危な……」
モップはこの際、ティージホーキーのことは無視し、イオンだけを王子のようにかっこよく救うことに集中した。
「イオンちゃんを助ける! 助ける……。ホッスルホッスル!」
すると、あら不思議。モップの指先から光が一筋走ったかと思うと、それはイオン……を通り越して、ティージホーキーに伸びた。その光はジジイを包み込むと、シャボン玉のような膜を張り、ふんわりと浮かんだのだった。
「おーっ! すげーっ! 俺の魔法! ってバカ! イオンちゃーーーーん!」
もちろんイオンの方は、相変わらず落下速度を増しながら地面に向かっていた。ギュッと閉じた目からは涙の雫が見えた。モップはパニックになる。
「あああ……。イオンちゃん! イオンちゃーーーーん!」
イオンが地面に叩きつけられる、その瞬間だった。
風のかたまりが、突如下から吹き上げ、イオンは少し浮いた。そして、今度は緩やかな速度の元、再び落ち始め、その下にいたのはダイソンだった。ゆっくりと落ちるイオンを見事にキャッチして、その場に下ろした。
と、ほぼ同時に、モップの元にもティージホーキーのシャボン玉が下り、両手の上で割れた。気づくと、モップはティージホーキーをお姫様抱っこしていた。
目の前では、イオンがダイソンに少々うっとり顔で、御礼を言っていた。すぐそばのティージホーキーも、なぜか少々潤んだ瞳で、こっちを見上げていて、モップの背中はゾクゾクと悪寒が走った。
その時だった。フゴーッという地鳴りのような鼻息。またしても突風が吹き荒れた。
「来たなーーーーっ! ダイソンーーーーッ!」
それはリディアの雄叫びだった。咄嗟のことに、モップはティージホーキーをギュッと抱き締めてしまった。すると、さっきまで殴られたように痛んだリディアの声攻撃を全く受け付けなかった。
何かのバリアが張られていた。ティージホーキーの体が緑色の光で包まれている。そして、それはモップにもかかっていた。
「痛くない……。こ……これって先生の魔法!?」
「うむ。そうじゃよ」
ティージホーキーはモップの腕の中で、得意気に笑った。
「ハッ! イオンちゃん! イオンちゃんが!」
モップは慌てた。リディアのボディーブローのような雄叫びを受けたら、あんなか弱いイオンでは、ひとたまりも無いだろう……。しかし、イオンに目をやって、モップは仰天した。
イオンも同じく緑色の光に包まれていたのだ。しかも、それはダイソンの腕の中で、しっかりと守られて……。
「ダ……ダイソンも……同じ魔法を?」
そう言うと、ティージホーキーは、バツが悪そうに目を逸らした。
「先生! なんでダイソンが先生の魔法を!」
その時、またリディアの第二波が襲ってきた。突風が吹き荒み、飛ばされそうになる。
ダイソンはイオンを腕に抱きながら、囁いた。
「君……俺の胸ポケットから、羽を一枚取り出してくれ」
「え……?」
イオンは言われるままにダイソンの胸ポケットを探り、羽を取り出した。
「それは魔除けの羽だ。それを持っていると、身代わりになる」
「これが……?」
「いいか。それを手にし、安全な場所まで走るんだ。その羽が壊れるまでしか使えない。この突風と攻撃をまともに受けていたら、時間の問題だ。急げ」
そう言うと、ダイソンはイオンを突き飛ばした。イオンはダイソンを不安げに見た後、必死で走り去っていった。