燕のため風花のため

短歌や文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)の文学ボランティア活動(春日井建の蔵書整理)を紹介します

「『未青年』とその時代」記念講演会

2009-02-21 | 日日雑感
また寒さが戻って冷たい風が吹く日だったが、講演会には、たくさんの人が訪れてくださる。講演開始時間がせまるにつれて、予想をはるかに超える聴衆となり、たぶん100人ほどになっていただろう。立ち見の方がでてしまって、申し訳なかった気がする。


講師の荒川晃さんは、黒のスーツにモノクロのストライプのタイというスタイルで登場される。若々しくおしゃれなのは、春日井建先生に通じるところがあるかもとふっと思う。



お話は多岐にわたり、「旗手」の仲間として出会われたきっかけ、そしてそこからはじまった浅井慎平さんら仲間たちとの交流のこと、春日井建が十代に興味をもっていた外国文学の話、『未青年』の作品にも触れながらの一時間半ほどであった。

なかでもやはり十代をいっしょに過ごされた方ならではの、お話と思ったのは、先生が、密航して外国へ行きたいとしきりに言われていたということだ。それを聴き、三島由紀夫が、『未青年』の出版記念会によせたメッセージの冒頭部分、「春日井君、君は今船乗りになりたいさうですが、僕も君の夢に全く同感する。」を思い出したりした。若き日の春日井建の姿が、あざやかにたちあがってくる感じがするし、裏づけとなる話と思う。

また、銅版画家の加納光於との出会いがきっかけで、加納の鎌倉の自宅で、澁澤龍彦、田村隆一らとの交流があったことなどをお話になった。この加納光於との交友関係が思いのほか深いものだったのだなと感じた。


講演のあとに、質疑応答の時間があったのだが、ここでは都築直子さん、野口あや子さん、喜多昭夫さんらが質問にたたれて、講演会終了まで春日井建という歌人をめぐって、熱気にみちた二時間であったと思う。



今回の展覧会、そして講演会の機会をつくってくださった二葉館のスタッフの方がたにふかく感謝したいと思う。できれば、春日井先生の後半生の展覧会もいつか開けるといいなあ、とはやくも思ったりした一日だった。



冴え返る

2009-02-16 | 日日雑感
過日、歌友たちとお茶していたときに、デトックスブレンドというお茶を頼んだ。どんなお茶がでてくるのやらと思っていたら、ローズヒップ、カモミール、ミントなどがブレンドされたハーブティ。けっこうおいしくいただく。



今朝からまたどうも咽喉の調子が悪い感じがするので、この前のお茶の感じに近いものを、ネットでさがす。

先週末はあたたかくなったけれども、実家のほうでは、今朝から雪になっているようだし、春はもう少し先になるのかな。



雪しまく日のまひるを影もたぬものが影なき吾を追ひこす

たちまちに道は真白く閉ざされて雪原にわが軸をうしなふ

夜のしづか雪のしづかの底にゐて訪ひたきものはわが裡にあり  

命なきものの象(かたち)やはらげて白くぬくとく降りくるものを     ※括弧はルビ

立春をすぎて降る雪ことばよりはつか遅れて意味は届きぬ



紺野万里歌集『星状六花』(短歌研究社)より





歌集名は、雪の結晶のひとつに由来していて、雪の歌が多い歌集でもあります。
冬が好きな人、雪の歌が好きな人には、ぜひおすすめの一冊です。


マイチョコ派

2009-02-14 | 日日雑感
きのうテレビを見ていたら、今年も贈りたい相手がいないのでチョコは父に贈りますね、と若くてきれいなひとが街頭インタビューで答えていた。それを聞いて、そういえば、自分の父にチョコを贈ったことはないなあーと思い当たる。舅に贈るという友人もいるので、チョコを贈る相手が、父もしくは舅ってあるんだな。


今年もわたしといえば、マイチョコ派・・・。
ピエール・マルコリーニをいつもは買っているのだけど、直営店ができたので、ジェン・ポール・エヴァンとデルレイをお買い上げ。しかし、ジャン・ポール・エヴァンが、期待したほどは美味しいと思えなくて、やっぱりピエール・エルメ・パリにすればよかったと悔やむ。

それにしてもどちらも、今日14日前に食べてしまっていますが、なにか?

展覧会記事

2009-02-06 | 日日雑感
二葉館のボランティアのSさんから、メールが入る。
今朝の中日新聞に、「『未青年』とその時代」展の記事が載ってますよ、とのこと。

あいにくと中日新聞を購読していないので、風邪気味だったが、夕方、新聞販売店に行って、買ってくる。



春日井建先生のお姉さまが展示をご覧になっているカラー写真が大きく載っている。展示の歌集『未青年』がはっきりと見えて、それをご覧になっているお姉さまのまなざしがしっとりと懐かしむ感じでとてもいいなあと思う。


展覧会は、はじまったばかりだけど、多くの人に見ていただけるとうれしい。



『未青年』とその時代展・春日井建とその仲間たち

2009-02-03 | 日日雑感
2月1日は、展覧会準備のため、二葉館に行く。
前日からの強風が吹き止まないが、この日は気持ちがはやっているせいか、気にはならない。



今回の展覧会は、春日井先生の寄贈蔵書をもとにした展覧会だ。
展示室はさほど広くはないが、蔵書がメインなのでちょうどいい感じではないかなと、展示を終えて思う。



パンフレットの主な展示資料には、春日井建直筆原稿、三島由紀夫の『未青年』の序の生原稿、寺山修司のサイン入り歌集『田園に死す』、浅井慎平写真集『ビートルズ東京』と載っている。


が、短歌史的に瞠目の展示品は、塚本邦雄歌集『水葬物語』とそれに挟まれていた塚本邦雄から春日井建への手紙である。「建に」と書き出された手紙は、まさに前衛短歌時代の輝きを放つ文面と思う。この手紙の用紙は、うすいピンク色のハトロン紙で、「MATAICHI KABUSHIKI KAISHA」と印字されている。塚本邦雄の勤務先である「綜合商社又一株式会社」のものであろうと推測されるのだ。そして、走り書きのように、限定本の№と献呈先の名前がいくつか記されている。岡井、寺山、三島、バロン(中井英夫)のほか、福永武彦、渡辺一夫、加藤周一といった名前が読み取れる。展示の『水葬物語』は、退色しぼろぼろなのだが、塚本邦雄から春日井建に贈られた一冊ということでは、その価値は計ることができないだろう。


ほかにも、同じく塚本邦雄の、『日本人霊歌』と『水銀伝説』、寺山修司の『空には本』、岡井隆の『土地よ、痛みを負え』など、前衛時代を代表する歌集が一堂に展示されている。春日井建に贈られたこれら歌集の数々をぜひご覧ください!




◆◆『未青年』とその時代展・春日井建とその仲間たち◆◆


・期間     2月3日(火)~3月8日(日)
・会場     文化のみち二葉館 2階展示室
・開館時間   10:00~17:00 月曜日休館
・入場料    200円


●記念講演会

・演題     『未青年』とその時代
・講師     荒川 晃
・日時     2月21日(土) 14:00~16:00
・会場     文化のみち二葉館 1階大広間



※なお、この展覧会のお問い合わせ、交通機関などは、ブックマークの二葉館のサイトをご覧ください。 

笹井宏之さんを偲ぶ会

2009-02-02 | 日日雑感
朝日新聞に、穂村弘さんが、笹井さんが逝去されたことを書かれたらしい。

実家の母がそれを読んだと電話をしてきた。
先週、たまたま笹井さんという若いメンバーの方が亡くなったと話していたので、記事を読んですぐにわかったらしい。紹介されていた短歌を、すごいね、と言う。七十代半ばの素人の母にも、笹井さんの短歌のすばらしさが伝わったようだ。
なんだか、せつなくなる。




笹井さんを偲ぶ会が、3月に開かれます。
詳しくは、下記のサイトからご覧になれます。
どうぞよろしくお願いいたします。


http://jiro31.cocolog-nifty.com/comet/