燕のため風花のため

短歌や文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)の文学ボランティア活動(春日井建の蔵書整理)を紹介します

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トークイベント「春日井建を語る」

2019-06-02 | 文学ボランティア・メモランダム
先週まではからりとした暑い日だったが、
梅雨入りも近いのか、曇り空で蒸し蒸しとした日。
13時半からのトークイベント「春日井建を語る」に参加の方が、
11時過ぎにはすでに、ちらほらと来館されている。
盛会になる予感がする。



トークイベント「春日井建を語る」のレジュメには、
水原紫苑さんと加藤治郎さんの十首選がプリントされている。
『青葦』『水の蔵』『友の書』『白雨』『井泉』『朝の水』から、それぞれ選ばれた。


重なった歌はなくて、
水原さんは、春日井建の思想性、精神性が表れた歌を、
加藤さんは、春日井建の文体と韻律に特徴のある歌を選ばれたように感じる。



トークイベントは加藤さんが進行を兼ねながら、
水原さんと意見交換をされた。
水原さんはお着物姿で、季節的にはおそらく一重の紬。
白い塩瀬の帯に、お着物より濃いめの赤紫の帯締めで凛とした装い。
牡丹の花のようで、
二葉館の広間がこんなに華やいだことはなかったように思う。

お話しは、お二人と春日井建との出会いから始まり、
それぞれのレジュメの歌を取り上げながら、
歌の解釈、歌に込められた背景、思想など語られながら、
その合間に思い出に話が及んだりした。

以前、水原さんの名古屋での講演会(葛原妙子と山中智恵子についての講演会だった)に、
一緒に文学ボランティアをしているSさんと参加したことがあるが、
その時よりも自然体で、お話しになっている印象を受けた。
なにより、すでに書かれているエピソードであっても、
直に聴くことで、水原さんの師への想いの深さがせつせつと伝わってきた。
それを拝聴していて、何度か涙が出そうだった。

水原さんのコメントを受けながら、
加藤さんは、春日井建を現代短歌、口語という視点で語られた。
様式美を貫いた春日井建だが、
そうした歌に交じって見受けられる口語、句われ、句またがりなどを丁寧に解説された。

元号が令和になり、私は春日井先生がご存命であれば、
どのような歌を詠われただろうかと、しきりに思っていたが、
加藤さんは、15年の歳月経過、時代の転換期の今だからこその視点で、春日井建の歌を解説されたと思う。「春日井建が口語の世界を切り拓いていたら現代短歌は変わっていた。短歌史は変わっていた。」という言葉にこころが震えた。



そして時折、展覧会監修の大塚寅彦さんが、コメントを述べられたりもした。
三人の雰囲気もとてもなごやかで、同じ時代を共有した風が流れていた。

また会場から春日井建と交流のあった馬場駿吉さんが、
水原さんとの句集を通じてのお話しなどをなされた。
いつだったか、ちくさ正文館店長の古田一晴さんが、
春日井さんは義理堅い人だったとおっしゃっていたが、
ご多忙の中、参加してくださった馬場さんにも、ふとそうしたものを感じた。


最後にご遺族として、春日井郁さんのご挨拶があり、
兄、春日井建を語ってくださる。
かけがえのないものがあるのだという気持ちが伝わってきた。



ゆかりの方、またあらたに春日井建を知ってくださった方、
他にたくさんの方のご参加があり、
回想ではない春日井建を深く感じた一日だった。




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いろ

2019-05-23 | 文学ボランティア・メモランダム
文化のみち二葉館で始まった、
春日井建先生の展覧会のポスターとチラシは、とてもスタイリッシュだ。

写真は、前回没後10年のものと比べると、
自分が知っている春日井先生のお姿なので、とても親しみがわく。



今回のものは、前回の雰囲気にあわせて作成してくださっている。
二枚を並べると、白色をベースにしてあるのは同じで、タイトルの色を変えてある。

タイトルの色は、前回を浅葱色とするなら、今回は薄縹色。
どちらも、春日井建の歌の世界の色だなと思う。
「青」、「白」、そして「銀色」と「黒色」があれば、
歌の世界を彩ることができそうな気がする。


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ご命日

2019-05-22 | 日日雑感
春日井建先生がお亡くなりになって、15年。
いったんは短歌をやめようと思った。
それでもほそぼそと続けたのは、なぜだったのだろうかと時々思う。


2年前から中部日本歌人会の会報責任者を担当させていただいている。
迷いつつお引き受けしようと思ったのは、
あまりにも拙いが、それでも春日井先生へのご恩返しになればと思ったからかもしれない。
昔、この会の第5代委員長だった春日井先生と政子先生のご推薦をいただきながら、
一度も歌会に参加したことはなく、年間歌集に詠草を送ってきただけだった。

昨日から始まった展覧会をみてあらためて、
春日井先生の活動の多さ、広さが迫ってきた。
短歌の魅力を広めるために、普及に努められてきたことがわかる。


二葉館でも、この施設ができた当初のスタッフの方はいらっしゃらなくなった。
僭越ながら、微力ではあるが、
時々これまでのボランティア活動や展示のことをお伝えしている。


短歌を続けてきたことを、静かに問いかけるご命日である。





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「没後15年 春日井建展 ー歌に戻り、歌に生きるー」

2019-05-21 | 文学ボランティア・メモランダム
昨夜からの雨も上がり、昼頃には五月らしい青空。
家の窓から燕がさわやかに飛んでいる。

今日から、文化のみち二葉館で、
「没後15年 春日井建展 -歌に戻り、歌に生きる―」が開催される。
開幕に相応しい一日のはじまりと思う。



これまでの展覧会では、どちらかというと、
第一歌集『未青年』をメインにしての展示が多かったが、
今回は、歌集『青葦』から歌集『朝の水』など、
後半生に焦点を当てての展示となる。

階段を上がりきると目に飛び込んでくるのは、初展示となる揮毫の大きな額。
その端正な佇まいに出迎えられると、
春日井先生にふたたびお目にかかれたような不思議な気分になった。

展覧会のために、大塚寅彦さん、竹村紀年子さん、
トークイベントにご出演の水原紫苑さんと加藤治郎さんの四氏が書き下ろされた解説は、
それぞれの持ち味がでていて、長くはないがとても読み応えがある。

没後10年のときにも、展示された黒革の机は今回もあり、
また、その背後に、オーディオセットが配置されている。
これは、はじめての展示だと思う。
クイーン、ショパンのCDなどがそっと添えられている。
担当スタッフの方のこうした細やかな配慮が有難い。

もうひとつ小さいけれど初展示なのは、三島由紀夫からの転居案内の葉書。
馬込の、庭にアポロン像のある瀟洒な邸宅に移った際のもの。
転居の文面は印刷だが、手書きの宛名にはっとさせられる。



「短歌研究」6月号に、雲嶋聆さんが事前レポートとして、
展覧会や文化のみち二葉館のことも詳しく書いてくださっている。
若く気鋭の歌人のレポートを、春日井先生はよろこんでくださっているのではないだろうか。
ぜひ、こちらも読んでいただけるといいなと思う。

これに少しばかり補足するなら、
今回のトークイベントの水原紫苑さんと加藤治郎さんは、
2002年の創立八十周年記念大会で、春日井先生を交えて鼎談をされている。
『評伝 春日井建』岡嶋憲治著(短歌研究社)に、当時の様子が短いが記されている。
当日は、きっとトークイベントの様子を見守ってくださるにちがいないと思うのだ。



今回の会期は、少し長く設定してくださっているので、
はじめての方もこれまでも来てくださった方も、ぜひお出かけください。


◆没後15年 春日井建展 -歌に戻り、歌に生きる―

文化のみち二葉館 2階展示室
令和元年5月21日(火)~6月30日(日)
10:00~17:00(月曜日休館)
入館料:一般200円


・トークイベント「春日井建を語る」
 対談:水原紫苑×加藤治郎
 6月2日(日)13:30~15:00
 文化のみち二葉館1階大広間
 入場料無料(要入館料)
 当日先着順自由席






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文学ボランティア

2018-02-16 | 文学ボランティア・メモランダム
この冬は本当に寒さが厳しいけれど、今日は幸いにも少し暖かい。

高岳の周辺は、昨年あたりからマンション建築が多くて、ますます高層の建物がふえることだろう。
空へぐっと突き出しているクレーンを見上げながら、二葉館へと向かう。





3月4日(日)まで、「中部の同人誌展―清水信さんを偲んで」を開催。

同人誌「北斗」の創刊に携わり、
文芸評論家としても活躍された清水信さんの没後一年を偲んで開かれている。
その活動は幅広く、角川「短歌」に昭和43年9月より、
「短歌の周辺」と題して、47年12月まで全50回の連載もされていたらしい。

また春日井建らの「旗手」の評なども展示。

書簡では、吉行淳之介よりの手紙に味がある。
充実の展示である。




ボランティアは稲葉京子さんの蔵書の整理。
ラベル貼りが終わったので、書庫の棚へと運ぶ。
久しぶりに体をつかっての作業。


帰りには、久しぶりに高岳駅近くのベーカリーに寄る。
テーラ・テールで、もちっとしたハイジとハードタイプの火水というパンを買う。
パンのほのかな香りをときどき感じながら、家まで。
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半歩遅れの読書術

2018-01-20 | 短歌
今日の日経新聞のコラム、「半歩遅れの読書術」で永田和宏さんが、
春日井建先生の歌集『未青年』を紹介されていた。



<悪>志向する短歌の衝撃
10代で読まなくてよかった

とのタイトルがついていた。
「10代で読まなくてよかった」とは、

「若い頃、もう少し早く読んでいたら、まちがいなく自分の人生が変わってしまっただろうという歌集には出会ったことがある。」
「私がこれらを読んだのは、ちょうど20歳。作品が作られた歳を過ぎていた。もう追いつけない。作者春日井建への嫉妬の感情に近かっただろうか。」


ということであるらしい。

ふつうは、10代で読みたかった、もっと早くに出会いたかったというところ、逆説的な称賛がされている。




このコラムには、以前、小島ゆかりさんも担当されていたことがあり、
その時に紹介されていた、内田百閒の『阿呆の鳥飼』を読んだ。

今日こうして、永田さんが紹介されたことで、
春日井先生の『未青年』を読んでみようかと思ってくださるひとがいるといいなと思う。





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文学ボランティア

2018-01-18 | 文学ボランティア・メモランダム
今年は、二葉館開館13周年。
もう、そんなになるかなと思いつつ、新しい「ふたば便り」をいただく。


戌年にちなみ、狆を抱く貞奴の写真が表紙である。
九枚笹の紋がはいったお着物を着て、毛並みのきれいな狆をかかえている。
ポーズの取り方が、さすが日本の女優第一号の貫禄だなと思う。


今号の「ふたば便り」は、「主税町公園」についても紹介されている。
主税町は、幼年期の岡井隆先生のお住まいがあった場所。
当時の様子が詳しく書かれていて、岡井先生の回想の歌を読む際に参考になるだろう。






ボランティアの作業は、昨年の春頃に寄贈された、
稲葉京子さんの蔵書整理を、今年も引き続き、おこなう。
春日井建先生の蔵書に比べると、大野誠夫の本などが充実している印象がある。


いつも一緒にボランティアをしているSさんと、
今日はもうお一人のSさんと三人。
そのSさんが、岡井先生の歌集を手にとり、装丁が素敵とおっしゃる。
なんだか、不思議とうれしくなった。






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文学ボランティア

2017-06-16 | 文学ボランティア・メモランダム
10日ほど前に梅雨入りしたが、雨の気配がない。
高岳の駅から二葉館まで歩くと、拭っても拭っても汗がでてくる。


お昼を食べたあと、
5月24日から開催されていた、食の文化誌「あじくりげ」展を観る。
「あじくりげ」は、昭和31年に名古屋タイムス社から創刊された文芸冊子である。

私も名古屋に来た頃、お店に置いてある「あじくりげ」をたびたび読んでいた。
「銀座百点」とどことなく似ているなと思って、手にとったものだ。
ただ昨年、惜しくも終刊となってしまったらしい。
創刊号から終刊までの冊子が二葉館に寄贈されての展覧会となった。

創刊号には、江戸川乱歩や尾崎士郎などにならんで、
歌人の青木穠子も寄稿している。


118号(昭和41年3月)には、和菓子特集で、
春日井建先生と瀇先生がともに寄稿されていた。
瀇先生は甘いものがお好きだったようだ。

また、建先生のエッセイは魚の話なのだが、
小さなころ、結婚式でのエピソードがほほえましい。
三三九度で、「オサカナ、これに」と大声で叫ぶ役目を務めた話。
オサカナとは、魚ではなくお酒のことだったらしい。

21日(水)までの展示。
お時間のある方は、ぜひお出かけください。
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『評伝 春日井建』 岡嶋憲治著

2016-07-14 | 短歌
美しい本となって、ああー、お目にかかることができた、と思った。
春日井建先生と岡嶋さんに。





短歌研究社から、『評伝 春日井建』が刊行されました。
著者の岡嶋憲治さんは、歌誌「井泉」で「評伝 春日井建」を連載されていながら、
最終回目前の2014年2月に、交通事故で急逝されました。
9年間、54回連載されていて、ふつっと途切れた日のことは忘れることができません。


こうして手にとると、本当に美しい本です。
装幀は、間村俊一さん。
間村さんが同じく装幀された、岡井隆先生の『木下杢太郎を読む日』と、
花布や栞紐がグレーで、どことなく似てるなと感じました。

春日井先生のお写真の使い方が絶妙。
表紙のカラーと裏のモノトーンの写真。
どちらも壮年の先生のお姿だ。
カバーをめくると、モノトーンで青年期のものが現れる。
また、扉に用いられた先生の幼少期の写真のサイズ感が微笑ましい。




「井泉」に連載時に読んでいましたが、やはり読み応えがあります。
そして、あらためて、岡嶋さんの見識とお人柄が伝わってくる一冊です。
ぜひ、読んでみてほしい本です。
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芸術批評誌「リア」

2016-07-07 | 短歌
昨年、碧南市藤井達吉現代美術館で開催された、
「画家の詩、詩人の絵―絵は詩のごとく、詩は絵のごとく」に出典された春日井建先生の絵について、
碧南市藤井達吉現代美術館館長の木本文平氏が、
芸術批評誌「リア」37に寄稿されている。


モノクロながら春日井建先生の絵の写真も掲載されている。
展覧会のオープニングでお話になったエピソードも交えて、
綴られているので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。


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