燕のため風花のため

短歌や文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)の文学ボランティア活動(春日井建の蔵書整理)を紹介します

文学ボランティア・メモランダム26

2007-04-25 | 文学ボランティア・メモランダム
二葉館に着き、書庫へ行くと、すでに3人の方が作業をされている。今日は、大勢でにぎやかである。久しぶりに、Hさんにお会いする。お会いしていないときに、私のブログを読んでくださっていたらしい。体調とかを気にかけてくださり、うれしく思う。

蔵書の箱を覗くと、革製の洋書が数冊入っている。Hさんに見てもらうと、ドストエフスキーに、ヘーゲル、ゲーテですね、とさっと読んでくださる。さっぱり英語のできない私は、これらをパスして他の本から取り掛かることにする。しかし、この大判の、A4サイズくらいの洋書は、誰が読まれたものなのか、気になるところではあったが。



今日は、歌集・歌書が多かった。


宮柊二の歌集『純黄』は、フランス装のうつくしい本である。口絵に駒井哲郎の版画があしらってある。「黄色い家」とのタイトルのやわらかな黄色の版画。英子夫人のあとがきによると、宮柊二の病状がすすんでいたころで、本人編集ではないのが残念であると書かれている。


『前線』は、平井弘の歌集。解説は富士田元彦。
中を見てみると、ところどころ歌に、1~13までの数字が書き込んである。あと、△のついた歌もある。数字のついた歌は、この歌集の批評を書くための、選歌のような印象をうける。


「短歌周辺」に、春日井建が、亀山桃子歌集『葱花輦』について短い批評を書いているが、「爛漫」「豊饒」などの言葉が多いと結構辛口の歌評である。


『真鍋美恵子全歌集』は、1983年、沖積舎からの刊行。肖像写真、全歌集表紙の写真が掲載。解説は永田和宏。栞では、高安国世、武川忠一、尾崎左永子、河野裕子、佐々木幸綱らが執筆しているらしいが、本には栞がはさまっていなかった。紛失してしまったらしい。永田和宏の解説は、「沼」「卵」の語が多く散見されると指摘した上で、素材の意味するものという視点と、リフレインの多用という文体の分析によって、真鍋美恵子の世界を解き明かしている。


『現代世界文学全集10 ユリシーズⅠ』は、古書店で購入されたものらしい。本の後ろに、「名古屋・松坂屋バス停前 古書竹中書店」というラベルが貼ってあった。確か、間口の小さな書店だったように思うが。


●本日の蔵書整理(整理順)

宮柊二歌集『純黄』 1986年
平井弘『前線』1976年
『定型の自画像』伊藤一彦 1986年
「日本歌人 秋」1968年
「短歌周辺」8月号 1984年
春日井建歌集『夢の法則』1974年
同上
叢書『火の雉子』
『真鍋美恵子全歌集』真鍋美恵子 1983年
『映像の詩学』蓮見重彦 1988年
『現代世界文学全集10 ユリシーズⅠ』1955年
『抒情の軌跡』安森敏隆 1983年
『植松壽樹全歌集』1976年


















歌集『忍冬(ハネーサックル)』書評、紹介記事

2007-04-11 | 短歌
おかげさまで、『忍冬(ハネーサックル)』を多くの方にお読みいただき、とても有難く思っています。深くお礼申し上げます。

また、書評やネット、ブログで紹介をいただきました。
ほんとうにうれしいことでした。心より感謝申し上げます。
現在まで確認できているものを掲載いたしました。もし掲載もれがありましたら、コメント欄へまたは直接ご連絡いただると有難いです、よろしくお願いいたします。



◇「短歌人」4月号、ブックレビューにおきまして、藤原龍一郎さんが書評を書いてくださいました。「澄明な抒情のプリズムを通過させた世界や個人への批評意識が鮮明だ。」という歌評の言葉をいただきました。あまりにもかっこいい言葉で、本当に私の歌集への書評だろうかと何度も確かめてしまうほどでした。貴重な紙媒体の書評です。


岩波現代短歌辞典のビニールカバーの間に、一枚の新聞記事の切り抜きを長い間挟んでいる。それは、以前日経新聞の交遊抄の欄に、櫂未知子さんが藤原さんのことをお書きになったときのものだ。この記事を護符のようにしてきたから藤原さんに書いていただけたのかな、とふっとそんなことを思う。



また、ネット関連では以下の方々からご紹介をいただきました。

◇奥村晃作さんのホームページ

◇加藤孝男さんのブログ

◇西巻真さんのブログ

◇宮川聖子さんのブログ

◇村本希理子さんのブログ

◇吉野裕之さんのホームページ

また、ミクシィでは、青山みのりさん、中岡毅雄さん、長谷川と茂古さんが紹介してくださっています。

中岡さんは俳人。俳人の方から批評をいただいたのははじめてで、歌集を上梓するとジャンルを超えて、読んでいただく機会もあるのだと有難く思う。

ほんとうにみなさまありがとうございます。



光の色

2007-04-08 | 日日雑感
今から別の生き方ができるとしたらどんな風に生きてみたいかと問われたら、機織りをして暮らしたいと答えるだろうとこの頃は思う。それには沖縄のような南の島もいいけれど、やっぱり雪の降るような場所かなとも思う。3、4年前に組紐を半年ばかり習った。糸をあつかう心地よさや難しさというものを体験したからかもしれない。


朝起きると、少し体がだるい気がしたが、出かけることにした。滋賀県立近代美術館で開かれている、志村ふくみ展が最終日なのでやっぱり見たいと思ったのだ。志村ふくみさんは、1924年滋賀県近江八幡生まれ、1990年に紬織りの優れた技術によって重要無形文化財保持者に認定されている方である。

着物が30数点ほど、そのほかに絹の染め糸、ショール、はぎれによるコラージュ、屏風などが展示されていた。

展示室で着物を見ていると、室内空間でありながら、しだいに自然界にいるような気持ちをおぼえる。着物の色がすべて自然界の植物の色だからだろうか。朝の光、水のさゆらぎ、風の強弱、秋の野山のかがやき、みな光の色なのだと思った。志村ふくみさんの著書にある、「色をいただく」という言葉が、頭で理解する前に体にすっと染みこんでくる感じがした。

とりわけ、「茜」と題された作品を見ているうちに、目頭が熱くなって涙がでそうになった。「茜」の色の存在感に圧倒される。この色は生きている、いのちを宿した色なのだと思った。

最初は、ただ、ただ色をたのしみ、二巡り目は、着物として見て、これにはどんな帯をあわせたいかと想像しながら見てまわる。展示室に座って監視している美術館のスタッフに、若い女性が、志村さんに弟子入りするにはどうしたらいいかと尋ねていた。この展示を見て、弟子入りしたいと思い立つ人もいるだろうと思われた。



滋賀県立近代美術館では、最終日だったが、近隣の八幡市立松花堂美術館で、5月6日まで、「志村ふくみ-源氏物語をつむぐ」が開催されている。ご興味のある方は、どうぞこちらへ。

●八幡市立松花堂美術館  京都府八幡市八幡女郎花43 
℡ 075-981-0010
http://www.hot-town.net



帰路、東名高速道路は、渋滞で止まることはなかったが、数珠繋ぎ状態。少し霞むような近江の野山にところどころ咲く桜をたのしみながら、ゆっくりと走った。

フュメドポワソン

2007-04-04 | 日日雑感
先週、覚王山に所用があってでかけたときに、フランテに立ち寄って、フュメドポワソンを買ってきた。ようするに顆粒のシーフードスープストックである。かなしいことに、ご近所のスーパーには、チキンコンソメしか置いてないのである。

和食が多い私は、この時期には、ときどきあさりごはんを作る。
けれど、フュメドポワソンを買ってきたものだから、先週の土曜日は、あさりと海老のパエリア。昨日の朝ごはんには、クラムチャウダーもどき。(きゃべつとかにんじんとか野菜やきのこをいっぱい入れてしまうから)とくに、クラムチャウダーに使ってみると、香りがいい感じがする。

まっ、でもこれに惹かれたのは、「コラーゲン入り」って書いてあったからかも。
なにかと慌ただしい春、フュメドポワソンできれいになりたいー、ものだ。


1、2、3月の文学ボランティア・メモランダムをアップしました。
どうぞ、こちらもご覧ください。