辻雅之の政治経済・日本史世界史、自由自在。

All About「よくわかる政治」ガイドの辻雅之による政治経済、日本史世界史コラム。

独裁者・スターリンの狡猾

2006-01-05 17:01:06 | Weblog
この話終わりませんね。……ヤルタでスターリンは、国連にソ連と、ソ連を構成している15共和国全部の加盟を求めてきました。これも、ルーズベルトにはやっかいな話です。

断って会議を決裂させるわけには行かない。この前言ったとおり、ルーズベルトはなんとしてでもソ連に対日参戦をさせなければいけないわけですから。

スターリンにしても、これは「ふっかけ」だったのでしょうね。彼の国連方面における真の狙いは、国連安保理での、ソ連の「拒否権」確保だったわけで。

国連安保理の常任理事国が戦勝国である米・英・仏、それに中国とソ連になることは確実な情勢でした。しかし、米・英・仏はもろに資本主義陣営。さらに、中国も当時は蒋介石率いる国民党政権。

なにせ蒋介石は上海で共産党員を殺しまくってますからね。そうなると共産陣営はソ連のみ。これでは不利は免れない。

そのため、スターリンは拒否権の創設を強く迫ったわけです。

こうして、常任理事国の拒否権創設と、ソ連以外に白ロシア(今のベラルーシ)とウクライナが別途加盟することが決まったのです。

というわけで、1991年のソ連崩壊以前、すでにベラルーシとウクライナは国連加盟国だったのですね。もっともソ連時代、2国はソ連の言いなりですから、ソ連は事実上総会で3票持っていたことになります。

もっとも、この3票は、やがてアジア・アフリカ諸国が大量に独立・加盟していく中で無意味なものになっていきましたが。一方拒否権は、ソ連の大事な政治的カードとしてたくさん行使されていきました。

それにしても、スターリンという人物は狡猾です。

ドイツが占領していたポーランドの首都・ワルシャワをソ連が包囲したとき、市民はもう勝ったと思い、ソ連軍に呼応しようと蜂起します。

しかし、ソ連軍はうんともすんとも動きません。蜂起していた市民は、ドイツ軍に倒されていきました。

そしてやすやすとソ連がワルシャワを「解放」、ソ連の傀儡(かいらい)政権を作る。いやーもう絶対的に廻したくないタイプですね。