辻雅之の政治経済・日本史世界史、自由自在。

All About「よくわかる政治」ガイドの辻雅之による政治経済、日本史世界史コラム。

固定為替相場制についての誤解。

2006-01-08 21:10:52 | Weblog
さて、うって変わって経済です。

固定為替相場制、というと、たとえば1ドル=360円と決めたら1銭も動かないシステムだ、と思っている人がいますが、それは誤解です。

金本位制がなくなったあとの固定為替相場制では、変動幅を上下1%とか狭いものに決めて、たとえば円が安くなったら変動幅を保つように日銀が円を買って価格を支えるしくみなのです。

為替レートを絶対的に決めることは困難です。決めても、きっとどこかで「うちはもっと有利に交換するよ」という「闇レート」が出来ます。それは、国際経済の不安定化につながります。

日本の不況が極まったとき、円高基調で輸出業の不振があったので、「日本は固定為替相場制に戻るべきだ」という主張がたくさんありました。「マレーシアもそうしてよくなった」たしかにそうです。

しかし、マレーシアの一人当たりGDPは日本の10分の1くらいです。経済規模が違いすぎます。しかも、マレーシアの通貨と違い、日本の円はドル、ユーロの次に世界で流通しています。

そんな大量の円を固定為替にすることは、なにかあったとき日銀が大量介入をしなければならないことになります。もし急激に円高になったら日銀は大量の円で大量にドルを買わなければなりません。その資金が尽きたら、日銀券つまり紙幣の大量発行へ……となったら、一気に悪性インフレです。

その固定為替相場制の危険がわかるお話を……あ、それは明日にします。ではでは。