道東を発見する旅 第3の人生

白衣の続き、喪服美人、T先生のこと

白衣の続き

火曜の午後

前回の記事をアップしたのが先週の月曜だった。火曜日の午後、医局で仲のいい医師が話しかけてきた。

「先生は勇気があるというもっぱらの噂ですよ」と言う。多くの人は白2枚、紺2枚なのに、僕が濃紺4枚にしたことで大胆な人だと評判になってるらしい。

「だけど、それだと白衣を着替えるパターンが回りから読まれるやないか!」と自分が答えたら、「それもそうです。自分もそれに気がついたので、昨日は紺を着たけど今日は白にしました」という訳の分からない答えが返ってきた。

水曜のお昼、T先生現れる

水曜日のお昼時に、大学に行くためロッカールームで着替えていたらガチャッと音がして誰かが入ってきた。

愛想のいい声で、「こんにちわ」と挨拶をしてくれる。誰かと思ってチラッと見たらT先生だった。

病院の医者でもっとも有名な人だ。なぜなら関西ローカルの人気番組、探偵◯◯◯スクープに医療担当として時々出てくるのだ。先日も院内を撮影スタッフを引き連れて歩いておられた。

自分の息子でも名前を知っていてT先生のファンだと言っている。

それまでも挨拶を交わしていたのだが、「息子が先生のファンです。一度、一緒に写真をとってください」とお願いしたことがある。未だに写真を撮ってもらってはいないのだが、それ以来、親しく話すようになった。

T先生から「寒いですねえ」と話しかけてきてくれた。見ると濃紺の白衣を着ている。「先生、濃紺の白衣はいかがですか?」、「医者がこんな色の白衣を着ている病院って、あまり無いですよね」と話したところ、「いや、そうでもないですよ。最近はちょこちょこあるようですよ」と気さくに答えてくれた。

そして自分に「だけど、何で紺色なんですかね、先生、どう思われます?」と質問してこられたので、待ってましたとばかり、前回アップした記事の持論を披露した。先生は、「へー、そうなんでしょうね」と優しく相槌をうってくれて会話は終了した。

その日の午後、「そうか、喪服と同じ風景だ」と閃く(ひらめく)。

喪服美人

喪服美人(ヤフー知恵袋より引用)http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q137309378

質問内容

喪服を着た女性って、何故綺麗に見えるのでしょうか?見飽きた嫁さんが、喪服を着ているところを見て「おぉ? 美人かも・・」っと思ってしまったのですが。。。

ベストアンサーに選ばれた回答

色っぽく見えますよね。そんなにしょっちゅう見られる姿では無いですし黒なのでボディラインもスッキリ締まって見えて素敵に見えるのでしょうね。やはり露出が多いばかりの世の中で喪服がキレイな感じや色っぽく見えるのは古くからある喪服でも新鮮なのでしょうかね。

喪服は装飾をとことん排除し、露出をギリギリまでおさえているところに洗練された美を感じます。また、黒は有無を言わせぬ圧倒的に強い絶対色であり、目立つつもりがないのに目立ってしまいます。

その無表情な純黒の衣に身を包みながら、悲しみや無念さにくれるその尋常ならざる心のうちを包み隠しているから、美しく(エロティック)に見えるのではないのかなぁ。

引用終わり

背景とのコントラスト

前回書いたように、誰かが病院に行き、白衣を着て歩いている医者を見ても、風景に溶け込んでしまっているので特に印象に残ることがない。女医さんが美人であったとしても、それほど目立つわけではないのが普通だ。

それが、濃紺の白衣だと喪服がそうであるように、圧倒的な存在感を与えて背景とのコントラストが際立ち過ぎてしまうのだろう。

確かに、白衣だと、そんなに感じなかったのに、最近、美人の女医さんが凄く目立ってしまうようだ。自分も、外来の廊下を歩いていたら、強い視線を感じたので、そっちを見た。

すると、中年の夫婦が2人でじっと自分を見ていたのに気がついた。きっと「あれがここの医者の白衣なんやで」と言っているのだろう。そのくらい注目されてしまっている。

だけど、そのうち、どこでも濃紺の白衣を採用されるようになると、喪服美人からサラリーマンの黒のビジネススーツ姿になり風景に溶け込んでしまうのだと思う。

この冬、自分は黒のコートを着ていたが、ある日、白に紫のラインが入った凄くオシャレなマフラーをして行った。その日の夜遅く、電車で空いた座席に座っていたら、隣にサラリーマンが座らないのだ。きっとあまりにオシャレなので場違いな雰囲気となり回りの風景から浮いてしまっていたのだろう。

この件はこれで一件落着したことにします。


金曜日の朝、再びT先生が現れる

さて、先週の金曜日、午前9時ごろの話である。その日は受付のおばさんが休みだったので、自分は患者さんで混雑している採血室で検体の受付をしていた。その日は凄く患者さんで混んでいたので自分も忙しく働いていた。

突然事務員の人から「先生、T先生がお見えになられています」との声がして、フラッとT先生が姿を見せた。

テレビで有名な人なので、待合にいた20人前後の人が「あ!T先生や」と興味深そうにこちらを見ている。

T先生はそんな雰囲気にも場慣れしておられるのだろう。いつもの雰囲気で、にこやかに僕に向かって「先生、DNA鑑定について説明できますかねえ」と話しかけてきた。

一瞬、返事をとまどった。だが自分は遺伝子欠損症の解析をしていたこともあり、何よりも回りの視線が気になってしまい、「素人向けに話すくらいだったら何とか・・・・・」と答えた。

すると、T先生は「良かった、良かった。◯◯放送のオハヨウ◯◯のディレクターが電話してきますので相手をしてやってください。」と言い、エーーッと叫ぶ自分を残したまま、姿を消した。

すると、自分の近くで仕事していた2、3人の技師さんがお喜びして、ちょっとパニック状態になっていた。

しばらくすると自分のPHSにその人から電話がかかってきた。2、3分喋って結局、月曜日に病院に尋ねてくることになった。

自分の切札

実は、自分には切札があるのだ。大学の自分の部下が「遺伝子相談」の資格を持っているので協力してくれるし、懇意にしている法医学の教授がDNA鑑定の国内における第一人者なのだ。

そんな訳で、金曜日の午後、あわてて大学に行き、2人と相談して資料をもらい専門書を借りて、この週末、猛勉強(と言っても2、3時間だけですが)したのです。

いったい、どうなるのでしょうか、続きは来週書きます。

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