道東を発見する旅 第3の人生

雪解け、ヒトは移動すると幸せになる、自由な日々

雪解け

先週くらいから気温が上がってきた。あちこちで見かけた大きな雪山がどんどん小さくなっている。舗装道路のアスファルトもむき出しになって足を滑らせて転倒する怖れが無くなった。今週の後半は最高気温が5度前後にあがるらしい。

3月になり、一気に春めいてきた。地面が見えてくると自然のにおいが徐々に湧き上がってきている。小さな虫が出てきて雀が鳴いていたりする。

思い返すと、12月の半ばに雪が降り始めてから、真冬の朝のルーチンが始まった。

朝起きると身支度してと外に出る。寒さを肌で感じながら夜の間に積もった雪の深さを確認して除雪機を動かすかどうかを決めるのだった。

仕事が始まる前の1時間、除雪機を動かすと全身がけだるくなる。身体を暖めるために、温かいココアを飲み身体にエネルギーが注入され、けだるさを吹き飛ばして「よいこらせ」と診察室の椅子にもたれこみ患者を迎えるという日が続いていた。

もう朝のルーチンが終わってしまったので散歩か何かするようにしよう。積雪シーズンが去っていく。次のシーズンまであんなに大量の雪を見る事はない。ちょっと寂しい気もしているが、生命のエネルギーに満ち溢れた春が来る!

さて、今回は、真冬が到来した頃に切り抜いた新聞記事を紹介します。

なぜ、自分が新しく違う環境に飛び込んだのか、それは人間に備わった欲求なのだそうです。

移動すると幸せになる (朝日新聞グローブ2021年12月5日より引用)

ヒトは移動するほど幸せを感じるーーーこんな研究結果を、2020年、米マイアミ大学准教授のアーロン・ヘラーらのチームがネイチャーニューロサイエンスに発表した。

研究では、132人のヒトの動きを3,4カ月GPS をつけて追跡調査し、ランダムに心理状態を問うアンケートを行い、さらに一部の人の脳をMRIで解析したそうだ。

その結果、「ヒトは行ったことがない場所に行くなど探索の度合いが高い日にはより幸せを感じる」というデータが示された。

ここから言えるのは「人間には環境を探求する欲求がある」という。

動物は歴史上の様々な時点で、同じ場所にとどまって、そこにあるだけの食べ物を得るかもっと良い食べ物があるかもしれない別の場所を探しに外に出るか、「探索と利用のジレンマ」の決断を迫られてきた。

ヘラーは「私は人類学者ではないので推測だが」としたうえで、人類が長い年月をかけて世界を移動してきた理由に、この探求したい欲求があったのではないかと考えらえる。

さらに「筋肉が鍛えれば大きくなるように、新しい場所に行くと脳が鍛えられ、ストレスへの耐性が高まり、健康が改善される。どれだけ遠くへ、ではなく、どれだけ多様な新しい場所に行くかが重要だ」、と書いている。

引用終わり

感想

いかがでしょうか?

旅行したり、まったく違うことを始めたり、それまで経験したことのない新しい世界を経験しようとすることは、人間の本質的な欲求だそうで、かねてから、自分はどこか遠くへ行きたい、という放浪癖があるのではないかと悩んでいたのですが、この説でそうではなくて本来、人間が持っている欲求である可能性を示唆され安心しました。

自分の半生を振り返ってみると、20代半ば、「今日から自分は本物の医者として働くんだ」、と新品の白衣を着て新しい勤務先の大学病院に飛び込んでからの強烈な思い出、初めてアメリカで生活し始めたときのカルチャーショックの衝撃、そして全く理解できないフランス語がとびかうフランスに住み始めたときの、なぜか懐かしい雰囲気、など思い出します。

その後も、いつの間にか大学教員で偉そうにものを言っている自分に変身しており、キリスト教を教えてもらった病院では家内の介護中心の勤務、それらがあって今の自分があるのだと感謝しています。

島に来て、まもなく1年が過ぎますが、今は心の底から本当の自由な生活を過ごしている実感があります。

自分に対してガミガミ言う人はおらず、また気を遣うべき家族や職場の同僚や部下もおらず、自由気ままに、生きています。たまにある急患対応ではアドレナリン全開で充実していて、有難いことに貯金が増えています。

3月の終わりにはちょっとだけ休みを取って、あまり良く知らない札幌の街を歩き回って、幸せになってみようと思っています。

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