道東を発見する旅 第3の人生

タコ飯、蕎麦屋で一杯

寒くなりましたが、皆さんお元気でお過ごしでしょうか。風邪をひかないようにご注意ください。

タコ飯と天ぷら蕎麦

土曜日の午前中、筋トレに行った。トレーニング終了後、すぐジム特製のプロテインドリンクを飲んだ。トレーニングで挫滅した筋肉の回復を促進するためには、終わってすぐプロテインを摂取しなければならないのだ。

その後、電車で家に帰る途中、乗り換えの駅ビルで何かを食べようと思った。4軒ほどある飲食店をのぞいてみる。いつもは海鮮丼の店に入るのだが、たまには違うものを食べたくなり、一番奥にある蕎麦屋の前に行ってみた。新ソバというチラシと「日替わり定食、炊き込みご飯と天ブラ蕎麦、880円」というチラシが貼ってある。

ちょっと高いけど、休日のお昼なので「まあ、いいか」とここで食べることに決めた。自分は蕎麦は好きではないのだが、炊き込みご飯に惹かれ、蕎麦はうどんにすればいいと考えて店の中に入った。

中に入ると、お昼時は過ぎているのに、ほぼ満員だった。一席空いていたところに座り、メニュを見た。うどんがなく蕎麦だけしか置いていない。しまった!と思ったけど覚悟を決めて店員に注文する。自分が「日替わり」というと、融通が効かなさそうな、おばちゃんの店員は、メニュを指差して自分に示しながら「これですね、サービス定食ですね」、と強調して、お茶を置いていった。

お茶を口に含むと、ほんのりソバの味がする。どうやら蕎麦ツユでお茶を入れているようだ。壁にぶら下げてある黒板にチョークで酒の肴のリストが書かれている。数は多くないが、何とも粋な感じの酒のつまみが並んでいる。こりゃ、店主がかなり蕎麦マニアなのだろうか、と思った。

しばらく待っていると、向こうの席でビールのジョッキを飲み干した初老の夫婦が、機転の効かなさそうな中年の女性従業員と何やらもめている。「蕎麦はまだなの?」とおばあさんが叫んでいる。どうやら最初の注文が通ってなかったようだ。そっちに気を取られていると、奥から初老の店主がフラッと出てきて、「お待ちどうさまでした」と注文したセットを持ってきた。

人の良さそうな店主は、いかにもマニアックな雰囲気を漂わせている。よくテレビで、蕎麦に惚れ込んで脱サラし蕎麦屋になったという話をよくやっているが、そんな感じがした。

炊き込みご飯は「タコ飯」だった。しまった!と思った。タコは苦手だ、タコだけ残してご飯だけ食べようか、と思った。タコ飯に蕎麦だなんて、自分には最悪のパターンである。

タコ漁のシーズン

北海道の離島では、雪が降り出した今頃の時期、タコ漁のシーズンだった。島のまわりでタコはいっぱい採れるのだ。おかげで、よく島民からタコをもらった。島の冬は、手に入る食材が限られているのでタコは島民にとって貴重なタンパク源である。しかし、自分はタコは苦手なのだ。

タコは普通にゆでただけでは固くで噛みきれない。色々調理しても一人だとなかなか減らないし、食べるのが嫌になってしまう。もし、そのまま生ゴミで捨ててしまえば、島民に「先生はタコを食わないらしい、そのまま捨てている」と評判がたってしまう。なぜなら、島では生ゴミはバケツに入れて出すから、中身が丸見えなのである。

自分の場合、最初のシーズンで、「先生は、タコを食べるのに苦労しているらしい」という評判がたってしまったようで、次のシーズンにはあまり貰うことがなかったのだが、横浜から移住してきた喫茶店のおばさんは、「ようやくタコを食べきったと思ったら、また貰ってしまったのよ、ほんとにうんざりしちゃうの」と愚痴をこぼしていたことを想い出した。

最良の選択

話が蕎麦屋に戻ります。

最悪のパターンのはずだったのだが、実は人生で最良の選択になっていた。

まずタコ飯のご飯がとっても美味しかった。タコはある程度は噛みきれたけど、それ以上にご飯の味付けが微妙で繊細だった。

おそらく、店主はタコを冷凍して繊維を断裂させ、そのうえで重曹で煮るとかしているのだろう。炊き込みご飯で醤油を入れると具材が固くなるので、さらにひとひねりしているに違いない。

そして、タコ飯以上に感動したのが「蕎麦」だった。そこそこにコシがあり、お汁がとても美味しい。蕎麦を食べてこんなにうまいと感じたのは生まれて初めてだと思う。
立ち食い蕎麦で食べた時の、もっさりした感じがなく、あっさりとして、麺がダシに馴染んで本当に美味しかった。食べ終わった後、しばし感動の余韻に浸ってしまう。

蕎麦が美味しかった訳

蕎麦の美味しさを、自分が発見した理由を考えてみた。「空腹は最高の調味料」という台詞があるけど、筋トレ後という条件が大きく影響している。。筋トレの後、よく感じるのは、ご飯(お米)の甘さだ。ご飯を食べた瞬間、甘味が口の中に広がり、すごく美味しく感じるのだ。身体が糖分(炭水化物)を欲しているのである。昨日もトレーニングの後で、無性に米を食べたくなったので、美味への感受性が高まっていた事が第一にあげられる。

そして蕎麦屋に理由があるのかもしれない。これまで自分は蕎麦はそんなに美味いものではないと決めつけていただけなのだ。つまり、今まで、うまい蕎麦屋で蕎麦を食べようとしなかった事が理由にあげられる。

家に帰って、この蕎麦屋の評判をネットで検索すると、高い評価を受けているのが分かった。だけど中には「味は一流、サービスは三流」というコメントがあった。あの店員のことなのだろう。

蕎麦屋で一杯

昔から、一流作家が「蕎麦やで一杯」と書いている。今まで、なぜそれがそんなに大切な事なのか、またどれだけ値打ちがあるかがさっぱり理解できなかった。だが、この年になって、自分もようやく、それが体感できたので、自分もようやく大人になったのかな、と思っている。

ネットで調べると、蕎麦好きの人は凄く奥深い理論があるようだ。新蕎麦ではダメだ、「ひね」が大事であるとか熟成が大事であるとか、三たて、すなわち挽きたて・打ちたて・茹でたてが大事であるとか、色々書いてある(参考:http://horikoshim.com/stillalive/?p=1814)。

自分は蕎麦については、ズブの素人なので、詳しいことは分からないけど、これから色々勉強していきます。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事