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音楽、漫画、映画のレビュー。たまにアニメのも。あと日々の雑記。

シンレッドライン

2006年02月10日 | 映画
 俺的に、この映画のテーマは「無常観(と書いて“もののあはれ”と読む)」ここまでコレを表現できている映画に俺は今までお目にかかったことが無い。

 ストーリー面は印象に残るもんは無いけど、それでも心に強く残った良作映画のひとつ。ストーリーは、よく言えば詩的で散文的、悪く言えばまとまり無さすぎ。わざとなんだろうけど、あえて主人公格の人間を作らずに感情移入を避けているのは、おそらくほとんどの人にとって「つまらない」と感じさせる原因になったんじゃないだろうか。俺みたいに外人の名前と顔がなかなか覚えられない人間にとっては、その辺はもうマイナス要因でしかない。ヘルメットかぶられたらもう誰が誰かわからん。「主人公がいて、起があって、承があって、転があって、結があって」というオーソドックスなドラマ映画を見慣れている人間にとっては苦痛だろうな、この映画は。狭い座席の映画館じゃぜったいに俺は最後まで我慢してみれん。

 ・・・とここまで悪いところを列挙しておきながら、それでも心に残った映画と思えるのは、上記の点を補って余りあるモノがあるからである。その映像表現が「こんなの今までに見たことが無い!」ってくらい印象的だったからだ。

 人間と自然の対比描写が斬新。
 悲哀と残酷をあらわす死体の山が野犬にとってはエサでしかなかったり
 敵に回りこまれて焦ってる人間の横には、それにはまったく興味ない野生動物がいたり。
 ある兵士が死ぬ瞬間を、表情ではなく、その兵士が最後に見た木漏れ日を映すことで表現したり。

 人間にとってはまさしく地獄としか言いようの無い苦しみとと、それにはまるで無関心な自然との対比が、むしろ戦争の惨さを表現している。

 あとBGMがよかった。ここ一番というド迫力な戦闘シーンで、空虚感漂う寂しくも静かなBGM。やられた。「さぁここで泣いてください!」といわんばかりに演出過剰なBGM鳴らす映画とは全然ちがうなこの辺。

 なによりそれより一番「キタ」のは、語りの部分。「この耐え難い悪は、なぜここにあるのか?何が原因なのか?誰のせいなのか?」誰のせいでもない、という無言の語りが聞こえた。
「正義から悪が生まれ、愛から憎しみが生まれる。それぞれはどこから来たのか?おそらくは同じひとつの心からだ。同じ心の表情の違いだ。」思わず考えさせられる部分だ。この映画を見て「自分は絶対戦争いきたくねぇなぁ」と思わせられたらもうそれだけでこの映画は成功といえるだろう。ただ、この語りのパートは、自分が映画監督なら、もっと違う風にしたのになぁ、と思える部分でもある。どういう風にしたいかを説明すると長いので割愛。

グッバイ!レーニン

2006年02月07日 | 映画
 うおおおおお!!!!!!ここ数年の中でかなりの上位にランクインする名作とめぐり合った!!

 この衝撃を誰かに伝えてぇぇぇえ!と思ったけど夜なのでとりあえずブログにぶつけてみる。

 いいからミロ。特に東西冷戦とかその辺の近代史に興味があるひとには面白く思えるはず。その辺に興味ない人でも面白いと思えるはず。はずです。です。

 舞台はベルリンの壁崩壊後の東ドイツ。熱烈な愛国者である母親(寝たきり)を、共産党はまだ存続し続けているとだましとおすために、事実を隠し続けるお話。

ニートになりたいと思ってる自分には、「西ドイツの」崩壊を伝えるうそニュース番組がすごい心にしみた(笑)「うんうんそうだよなぁそのとおりだよ」って(笑)
  「彼らは無意味な競争社会を頑なに拒み続け、カラーテレビや車よりも価値があるものを見つけました」
 ↑このフレーズすっごく好き。やられた。っていうかこのDVD欲しい!

みんなのシネマレビューからいいと思ったレビューを掲載してみた。↓

9.《ネタバレ》 ストーリーの前半の情報(ピクルスや偽ニュース番組など)を観る前に知ってしまっていたせいか、中盤は少しかったるく感じてしまった所もあったのだけれど、主人公が最後に作った「偽ニュース番組」での演説シーンで、あふれる涙を抑えることが出来なかった。元々母親にまだ社会主義体制が存続していると信じさせるために作っていたニュース番組は、最後には主人公の理想社会―強欲を捨て、他人に対する思いやりを持とう―を(実は観客にも)訴えかけている。この演説シーンを観ていて「独裁者」のあの演説が脳裏に浮かんだ、と言えば怒られるだろうか?確かにナチが台頭する中でのチャップリンのあの主張は非常に勇気あるもので、それに比べるとこの作品での演説はごく控えめで、ささやかなものだ。しかし、世界がグローバリズム化(総アメリカ化)の方向に向かい、誰も彼もが「勝ち組」になろうと醜い椅子取りゲームに明け暮れている現代、その主張は素朴かつシンプルであるが故に観客の心を強く打つ・・・・・・って、おっとっと、いつのまにか文章に力が入りすぎちまったぜい。要はとても良い映画なのでみんな観てねーって事です。蛇足ながら個人的には、大好きなチュルパン・ハマートヴァがヒロイン役で出演していたのが、予想外の嬉しいオマケでした。

「ニキータ」NIKITA  DVD発売元ふざけんな。

2006年02月04日 | 映画
 えらいヤサグレてるタイトルになっちまった。しかし本音だ。

 何がそんなにむかつくかって、DVDなのに特典映像どころか、メニュー画面もチャプター分割も無かったからだ。DVDで出す意味がまったく見当たらない。普通のVHSビデオと何が違う?いや、チャプター・リストが無いから、確実にVHSビデオよりも劣っている。見た後に巻き戻さなくてもいい点便利かもしれないが、それは最初から最後までノンストップで見た場合のみの便利さ。一端見るの中断して電源切をるか、チャプター・バックを一回でもした場合、もう一度一番最初から再生されるというとてつもなくだるい事になる。この場合、停止したシーンで物理的にテープも止まってくれるVHSのほうがはるかに便利だ。また再生させればそのシーンから始まるしね。

 昨日、このDVD見てる途中で、台詞の流れがよくわからんところがあったのでもう一回今のシーン繰り返そうと思ってチャプターバック実行したら、いっきにオープニングまで戻りやがった。もうホント目を疑った。ほとんどラストに近いところだったし、早送り再生して先刻までのシーンに戻るのもめんどくさかった。一揆にみるきがうせた。

自分の「ツボ」と「プレデター」

2006年02月01日 | 映画
 「特にいい部分は無い気がするのに、何で自分はこんなに楽しめたんだろう?」という疑問、つまり自分の中の「ツボ」はどんなんかという事を、昨日と今日のシネマレビューを書きながら自分なりに分析してみた。

 自分のツボはズバリ「戦闘でバタバタ人を倒し、倒される映像」「都市の遠景」と「死の美学」だ。

 「バタバタ倒れていく映像」は、現代映画にはいっぱい出てくる。ハムナプトラみたいにゾンビがうじゃうじゃ出てくるのを倒していくのとか、「スターシップトゥルーパーズ」でやってるみたいな人外奇形虫との戦闘もそうだし、「ウィンドトーカーズ」「プライベート・ライアン」「ブラックホークダウン」のような、銃でドンパチやってる戦争映画はほとんど自分の中で「面白かった映画」として記憶されている。どうやら自分にとっては、この「ツボ」には別に時代設定は無関係であるらしい。銃で戦おうが槍と馬で戦おうが、どっちも面白いと感じる。ポエニ戦争だろうが関が原の合戦だろうが第二次大戦だろうが、派手に戦闘やって派手に死んでいけば「見ごたえがある!」と思ってしまう。
 
 「都市の遠景」が好きな理由はわかりやすい。古代や近未来を舞台とする映画に出てくる「都市の遠景」は、一言で言って「幻想的」なんだ。これがあると一気に映画の世界に引き込まれる。レンガと大理石で出来た巨大都市や、超集積型の超高層ビル。どっちも映像でガツンと見せられたら、問答無用で「わぁ~すげ~」と思える。

 「死の美学」。主人公が、「死ぬとわかっててそれをやる」っていうやつ。これは人によってはまったく理解できないツボだと思う。暗くなるし。「シルミド」や「ダンサーインザダーク」なんか結構きた。

 思い返せば「ラストサムライ」は最強だな。「合戦モノ」「死の美学」と、二つもツボをついてきている。

 

 これらの「ツボ」にひとつも当てはまらず、俺に「面白い」と思わせた映画がある。それは「プレデター」。何でアレがあんなに面白いんやろ?なんか正座してみてしまうわ。たぶん見てる最中、ぽか~んってアホみたいに口あけてると思う。そんくらい面白い。

スコーピオンキング

2006年02月01日 | 映画
 昨日に引き続き今日も、「世間一般の評価は決してよくないけど、個人的にすごく楽しめた映画」の話。あ、ここで言う「世間一般」って言うのは「みんなのシネマレビュー」のことだから。今日のレビューは「スコーピオンキング」。かの「ハムナプトラ」シリーズの番外編という位置づけの映画。

 「期待していなかったけど意外と面白かったDVD」って言うランキングあるの知ってる?
1位:スパイダーマン
2位:24-TWENY FOUR- 
3位:パイレーツ・オブ・カリビアン 
4位:少林サッカー 
5位:あずみ
の順なんだけど。俺の個人的な「意外と面白かったランキング」を作るとしたら、一位は断然「ハムナプトラ」シリーズ。何がそんなに気に入ったのかはまったく自分でもわからん。いわゆる「ツボ」ってやつなんだろうなと思う。特にほかと比べて目立って個性的な面があるわけでもない。普通のハリウッド作って感じ。でもハマル。これはツボだった。としか表現できないな~~。

          「スコーピオンキング」

批判的解釈                好意的解釈

ストーリーが単調            何も考えんでも単純に楽しめる
オチが読めてしまう           安心して見れる
展開に必然性がない          途中でトイレに行っても無問題!

 

 当然自分は「好意的解釈」のほう。こんだけ盲目的なファンはそうはおらんねきっと。

ウィンドトーカーズ

2006年01月31日 | 映画
 巷じゃ酷評されてる映画だな~~。実際見てみてなんでこんなに評価が低いのかはわかった。でも言われてるほど酷い映画でもないというのが正直な感想。

 いかにも「セットですよ!」みたいなショボイ舞台も、日本軍の「さぁ!撃ってくれ」って言い出しそうなナゲヤリすぎな突進も、日本の戦隊モノ番組に出てきそうな爆発演出も、すべてチープだった。でもそこに目をつぶれば悪くないよ。主題のみに目を向ければ。

 「目ぇつぶる部分多すぎやろ!」っていわれるかもしれんな。上記の感想は。でも「プライベートライアン」や「バンドオブブラザーズ」のようなリアル過ぎる映像を見た後だと、どんな戦争映画もしょぼく見えるって!という擁護意見を抱きながら観ていたので、ほかのみんなが我慢できずに突っ込んでしまうような部分をスルーした上での感想を述べることが出来る。「もともと多くは期待していなかった」という監督にとっては不名誉な前提の上に成り立つ擁護論だけど。

 半端に目が肥えるとどんな映画も悪く見えてしまうってよく言われているけど、自分の場合は逆だな(笑)多少のマズさには目をつぶることができるようになった。

 ヤージー役の人の「みんな殺してやる~~!!」っていう狂気の演技を、自分に重ねながら呆然と見つめるニコラスケイジ。このシーンはすごい心に残った。

 
ただど~しても「それはないやろ~!」と突っ込んでしまったのが、ナバホ人が日本軍に変装して、ニコラスケイジを捕虜役にして日本陣地に潜入するシーン。変なイントネーションで

            「ホリョダ!!」
 
 一発でばれるっつの。な~にが「ナバホ人は日本人に似ているので日本軍の軍服を着れば区別がつかない」だ。つかないわけね~だろ。似てねっての。そんな顔濃い日本人いるかっての。

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

2006年01月16日 | 映画
 「コープスブライド」の方を先に見てたんだけど、こっちのほうが面白いと思った。コープスブライドの滑らかな人形の動きと比べると、映像技術的には劣っているんだろうけど、あのカクカクした動きがむしろ良い。素材感がある。

 しかし博士が脳みそを掻き毟る描写はさぶいぼが立った。あのぷるんぷるんの質感と、「シャリシャリ」って言う効果音が。

ファッキン

2006年01月10日 | 映画
 ビデオの延滞料1200円も取られた・・・。三本借りてて、二日遅れの返却。一本あたり一日で200円の延滞料で、200×2×2=1200円・・・。いや~別に忘れてたわけじゃいんだけど。

 昨日も一昨日も、日中は予定が埋まってたので夜中に返しにいきゃいいや、と軽く考えてきたら・・・皆さんご存知の大寒波。路面はガッツリ凍り付いてる。そんな状況で車運転する勇気はなかった。別に近所のTUTAYAとかなら返しに行ってたけどね。借りた店は40キロほど離れてる。(そこのほうが安い)

 1200円はきついな。その店なら、1200円でDVD5本借りて400円のおつりが来てた・・・。

 ちなみにその借りてた3本っていうのは「カランジル」「アメリ」「メメント」。

 アメリは有名作なだけあってかなり面白い。っていうかセンスがいい。映像、音楽、ちょっとした台詞回しに、アメリの妄想ネタ。さすがフランス映画だけあってハリウッド作にはない魅力があった。しかし肝心のメインのラブストーリーがどうでもよかった(笑)というかあんな出会い方ありえん。昔の少女マンガでもちょっとないぞ。

 メメント。時間が逆に流れていくという一風変わった映画。ていうかジョジョ6部に出てきたスタンドの元ネタ。三つまでしか物事が記憶できないというアレ。っていうか荒木のこの映画からのパクリは個人的に許せんかった。流用とかそんなレベルじゃない。ほとんど丸パクリ。ジョジョは好きだけどさー。ここまで丸々やられるとちょっとなー。・・・えと、別のジョジョの感想が書きたいわけじゃなかったんだけど、いわずにはいられなかった。この映画は・・・ちょっと内容が難しくて一度で理解できなかったので、もう一回借りようと思う。

 カランジル。珍しいブラジル映画。なんとノンフィクション映画。ブラジルにある同名の刑務所が舞台。あの国って刑務所が超過密状態で、たまに囚人が死傷者出るような暴動起こしてるのをニュースで見る。これはその映画。あまり事実に手を加えないで作ったらしく、山場までの「起」「承」と、その後の「結」がなかった。淡々としたオムニバスにいきなり「転」の部分だけが投げ込まれた感じ。結構異質のストーリー構成だけど、面白かった。「戦場のピアニスト」でもおもったけど、こういうノンフィクションものってとにかく淡々としてるな。まぁ事実は、起承転結を綺麗に作ってある映画とは違うしな。どうしても映画化すると淡々とした雰囲気になってしまう。加えて主人公(主となる視点)がいない映画なので、余計淡々としてた(とりとめなかった)・・・。むしろこの取り止めのなさを「ノンフィクション物っぽくて生々しい」と言っておこう。あと、みんなのシネマレビューでは、この作品に対するレビューはたったの三件。なんぼマイナーなんだ。

 最近映画の趣味がすごくマニアックになってきたな。普通に白黒映画とか借りてきてるし。

三国武将とかいっぱい名前言える。

2006年01月03日 | 映画
 「アマデウス」っつー映画がすごく面白かった。ほんと、不朽の名作と呼ぶのにふさわしい。「みんなのシネマレビュー」でレビュー人数289人で、なんと平均点数8.61点!普通ならこの点数はでねぇ!音楽家の生涯をテーマにしてるだけはあって、音楽が秀逸だった。もちろんほかにすばらしい面はいっぱいあった。

 これは中世の宮廷音楽家たちを描いた映画である。これに出てくる音楽家で自分でも知ってるのは「モーツァルト」のみ。主人公の「サリエリ」とか、この映画でも観てない限り知ることは永遠になかったなぁ。

 この映画を観て思った事。↓

 作り話から得られる知識って馬鹿にならないと思う。実際にあったことに基づいて作られた物語なんか特にそう。舞台背景になる歴史なんかは、作り話だと割りとすんなりと覚えられるものだ。歴史上の人物も、物語の一登場人物とすればその名を覚えやすい。たとえば三国志なんかがその代表格だと思う、コーエーのゲームか、横山光輝の漫画から入った人が殆どだろう。あととは小説版の三国志くらいかな。いくら偉大なる物語といえども、元の三国志演義なんかは初っ端から触れるには敷居が高すぎるだろう。横山光輝やコーエーの業績は偉大だと思う。

 歴史、芸術、麻雀、スポーツ、車。知識の得やすさももちろんのこと、何かを体験するきっかけとしては非常に大切な役割を果たしているんじゃないだろうか。漫画や映画、ゲームといういわゆる「俗」なものを媒体とすると、いい意味で敷居が下がる。大衆に興味を持たせるきっかけが広まる役割を果たす。「アマデウス」は自分にとってそういう役割を果たした映画だった。

 スラダン見てバスケ始めた人、同学年に超多かったな。キャプテン翼がなかったらJリーグはなかったってセルジオ越後も言ってたな。でもイニシャルDのせいで峠攻める人が多くなったのはうざいな。

七人の侍

2005年12月22日 | 映画
 「七人の侍」をみた。50年前の作品と聞いてびっくり!50年前っつったら終戦間もないころじゃないか。その頃にこんなてまひまかかった作品が作れるなんて!って言う評価しかできないなー悪いけど。やっぱり昔の作品って評価するのは難しいねぇ。どうしても現代のCGとか駆使しまくってるのに比べては見劣りするし。
 
でも別につまらなくは無かったけど。山賊と合戦はじめたところからは退屈せずに見れた。

決して少なくない登場人物一人一人の個性、表情がきっちり描かれていたのは良かった。三時間半たっぷり使って余すことなく。

でも、三時間半ってちょっと忍耐いるぞ。見るのに。

世界の黒澤、世界の三船といわれているけど宮口精二という役者のほうが明らかに輝いていたぞ。

 あと、登場人物の性格や設定の表現が意外と漫画的だった。菊千代(三船敏郎)の野生児ぶりとか久蔵(宮口精二)の達人ぶりとか。なんかベタな漫画のベタなワンシーンに出てくるような感じだった。昔の映画って「地に足の付いた」表現をすると思っていただけにショックだった。なんつーか漫画とかに出てくる人物描写って、ハッタリ利かせてなんぼなところがあるけど、「七人の侍」もそんな感じだった。