穀菜食堂なばな

オーガニックを日常に
昭和の香り漂う路地の奥、尼崎の和風ヴィーガン食堂。

昆布のお話「昆布会」開催しました

2020年09月20日 | ┗イベントのご報告(終了分)

”昆布おじさん”こと、大阪天満橋の昆布問屋「天満 大阪昆布」の喜多條清光社長に、昆布にまつわるお話を伺う「昆布会」
コロナウィルス感染拡大防止のため、ぐっと少人数で開催しました。



時は江戸時代中ごろ。
北前航路が拓かれたのを機に、蝦夷(北海道)の昆布は、京都・大坂へ運ばれるだけでなく、薩摩から琉球を経て、さらには清(今の中国)まで届けられていた。
その道筋を「昆布ロード」と言うそうです。
(昆布ロードで検索すると、おもしろい情報がたくさん出てきます。止まらない危険が!)

当時、甲状腺障害が流行していた清では、ヨードを多く含む昆布のニーズが高まっていました。
そこで、財政が逼迫していた薩摩藩は、琉球を介して清に良質な昆布を密輸出するように。
昆布の密輸によって財を成した薩摩藩は、その資金を元に倒幕へ向かうという、昆布にまつわる壮大なストーリー。

清には幅広の立派な昆布「海帯ハイタイ」が届けられたが、細いものは琉球に残り、それが沖縄のクーブー(昆布)料理になったとか。

沖縄以外でも、昆布ロードの主な交易地では、昆布を使った料理がさかんに食べられているそうです。
大阪の、昆布の佃煮やおぼろ昆布などもそうですね。
(ちなみに私は地元、杭瀬市場の小倉昆布さんの”おぼろ昆布”の大ファン)

こうして日本全国で食べられるようになった昆布は、日本の食のベースになりました。
ところが、昆布の生産量は近年下がり続け、今では以前の半分位まで落ち込んでいるそうなのです。

昆布が買われなくなった理由は、
・昆布の使い方が分からない。
・家で和食を作らない。
・ダシを取ったあとのダシ殻を捨てるのがもったいない。

そのお悩みを解決すべく喜多條さんは、数種類の昆布を1mmに刻んで水出しする方法を編み出されたのです。


これだと、
・昆布の使い方が分からない→水に漬けるだけ
・家で和食を作らない→和洋中、色んな料理の旨みとして使える
・ダシを取ったあとのダシ殻を捨てるのがもったいない→ダシ殻も全部食べられる
問題解決です。

皆さんにも、細切り昆布を1時間ほど水に漬けたものを味見して頂きました。
そのままでも美味しいですが、塩を一つまみ加えるとグッと美味しさが引き立ちます。


だけど、私が一番感動したのは、水出しした昆布出汁は日持ちがするということ!
煮出した昆布出汁は日持ちがしないというのは、いわゆる常識です。
だけど加熱しない水出しだと菌のバランスが崩れないせいか、日持ちがするのです。
今まで暑い思いをして煮出して、冷ましてから冷蔵庫に入れてたのは何だったんだろう。。もっと早く知りたかった。

「水出しした昆布出汁は長持ちする」
先日お話を聞いてから、お茶なども水出しするようになりました。
ルイボスティーも、緑茶も、みんなすっきりしてて美味しいのです。

それから、健康面での効果もあります。
喜多條さんは、以前は体重100kgで血圧120~160だったのが、昆布水を飲み始めて1カ月ほどで正常値になったそうです。
甲状腺トラブルと昆布との関連は無いということも、近年分かってきたそうです。
ほかにも、整腸作用や精神安定作用など、まだまだありそうですね。

さて、ダシを取ったあとですが、そのまま醤油やオリーブ油などに漬けておくと美味しく頂けます。
醤油漬けは、ご飯のお供にぴったりだし、オリーブ油漬けはイタリアン風炒め物やパスタに。
天満 大阪昆布さんのページにも、美味しい食べ方がいろいろ紹介されていました。

昨日の参加者さんともお話してたのですが、長年食べ続けられてきたものには、そうするだけの理由があるのですね。

2013年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、和食の大きな特徴はダシを使うことであり、ダシの味を決めてるのが「うま味」です。
うま味を意味する外国語は無くて、海外でも「UMAMI」と表されているそうです。
まさに、日本の味を代表するものなのですね。

「うま味」は1907年、池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を抽出し、それがうま味成分であるという結論に至ったのですが、長い間、味としては認められず、2000年頃になって、舌に「うま味」の受容体があるのが見つかってからようやく、第5の味覚として認められることになりました。

「うま味」という味覚、そして文化遺産としての和食。
世界が認めた味を私たちは知らない間に、先祖代々食べ続けてきたのですね。
昆布は大切な食べもの。
現代の食生活に無理なくフィットする形で、これからも美味しく健康的な食の柱として大切にしたいなあと改めて思います。

参加者の皆さんと記念の一枚。

ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。

今回ご紹介頂いた「昆布革命」は、農林水産省の #元気いただきます プロジェクトに参加されていて、12/25までの期間中は2袋298円で送ってもらえるそうです。
同梱品も送料無料になるので、この機会にお試しいかがですか?

 

 



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