企業向けのSNSは 日本だと、LINEの企業版である LINE Works が知られていますが、グローバルでは「Slack」、「Skype for Biz」、「LinkedIn」などがあります。 Workplace by Facebook はこのグローバル系 企業向け SNS のひとつです。 そういえばあったなあ。 と思ったりして。 すっかり忘れていました。
サービスそのものは2017年から国内で提供されていたようで、紹介記事を読むと結構多くの企業に採用されているのがわかります。
2017/05/18
「破壊的な料金設定」フェイスブック、企業向けチャットやSNSを日本で本格展開
https://www.sbbit.jp/article/cont1/33602
によれば、
BIZREACH
土屋鞄製造所
SANSAN
ORIGAMI
WHILL
SHOWA DENKO 他
300社以上がすでに導入しているとのこと。
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企業で使いやすいSNSとは?
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SNSを使う上で重要なのは、その使いこなし方をいちいち教育する必要がないことでしょう。 その観点で言えば、企業向けだけに特化して開発されたサービスよりはコンシューマー向けのサービスの企業版のほうが望ましく、それもコンシューマー市場でシェアが多い=使っている人が多いサービスが良いということになると思います。
コンシューマ市場では、日本では「SNSと言えばLINE」という位LINEが普及していますが、その次は? と言えばFacebookでしょう。
2019年6月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ
https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/
によれば、各種SNSの利用者数は
LINE 国内:8,000万人 海外: 2億1,700万人
Facebook 国内:2,800万人 海外:23億7,500万人
Twitter 国内:4,500万人 海外: 3億3,500万人
Instagram 国内:3,300万人 海外:10億人
Skype についてはあまり情報がありませんが、
2015年時点で世界で3億人程度だが衰退傾向らしい。
この情報から、国内ではLINEが強いが、海外展開が多い会社ではFacebookのほうがカバー率が高いで郎ことが見て取れます。
また、各SNSは性格の違いがあるので、企業内の交流に何が向いているかは、どういう用途に使いたいかに依存する点も注意が必要でしょう。
LINE、Skypeは端的に言えば ピア2ピアのメッセージングアプリを
ベースにしており、グループチャットやスケジュール管理機能が付加
されている感じ。
Facebookは情報発信のブログがベースで発信された情報に視聴者が
「nice!」や「コメント」を書いたり、引用したりすることで情報を
共有する仕組み。
Instagram, Twitter は Facebookと同じ方向性だけれど、Instagram
は写真中心、Twitterは文字中心にしている。
Facebookはその両方ともあり。
というところが違いではないかと思います。つまり、
チームや個人同士の迅速かつ双方向性の高いコミュニケーションに期待
するならLINEやSkypeがいい
ある程度まとまった情報の発信とその共有・拡散、視聴者の感想や評価
を得たいなら、FacebookやTwitter、Instagramがいい
という使い分けになるように個人的には思っています。
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Workplace by Facebook
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本題の企業版Facebookはコンシューマ版Facebookに似ていますが、仕事用に便利な機能が包含されています。
Facebookのサイトには以下の機能が挙げられています
https://ja-jp.facebook.com/workplace/
これを見て気づくのはコンシューマ向けFacebookが持つブログ的機能はないのかもしれないということです。
① Workplaceチャット
② ビデオチャット
③ グループ
④ 統合
⑤ 組織図
⑥ ライブ動画
⑦ 自動翻訳
⑧ ニュースフィード
① Workplaceチャット
② ビデオチャット
ずばり、チャットであり、チャットはLINEのトークと同じようなものです。
ビデオチャットはテレビ電話であり、LINEのビデオトークと同じようなもの。
ともに最大50人の同時通話ができるようです。
③ グループ
プロジェクトチームのためのワークプレースとでもいうべきもの。
グループウェアにもよくある機能。 社外ユーザの招待も対応。
選んだメンバーが共同作業するための専用ストレージスペースやファイル共有
が提供され、グループのアクセス権も「公開、非公開、秘密」の3種類から選
べます。 コソコソ密談もできるということですね。
④ 統合
これは面白い機能ですが大きく分けて2種類の機能があります。
ひとつは、外部のクラウドサービス(G-Suite, O365, Dropbox など)との連携
ふたつ目はチャットボットと会話することでルーチンワーク(例えば申請処理)
を行える
ふたつ目の機能は非常に面白い機能です。 Webベースのワークフローは使い
方がわからんという問題があるので、チャットしながら進められるのは便利で
しょう。
⑤ 組織図
これがグループウェア譲りの機能。 人を探すときに部署のツリーをたどって
探せる機能です。 組織がフラットではなく組織間の距離が遠い企業だと便利
です。
⑥ ライブ動画
これはいかにもFacebookらしい機能。
動画をライブ配信して、視聴者からリアルタイムにコメントをもらえるという
もの。 誰も反応しないと寒いことになりそうですが、みんなが積極的に意見
してくれたら、とても素晴らしいものになるでしょう。
なんといってもリアルタイムだし。
⑦ 自動翻訳
チャットを自動翻訳する機能。 46種類の言語に対応していると書かれています。
グローバルに展開する企業で国境を意識せずにコミュニケーションするには
とても助けになるでしょう。
⑧ ニュースフィード
これは、グループウェアでいうところの「お知らせ=掲示板」
組織のお知らせボードです。
これらの機能を見てみると、コンシューマ版のFacebookの機能をベースにグループウェアやLINEなどのチャットツールの機能も包含し、ワールドワイドでの利用を支えるための翻訳やクラウドサービス連携の機能が付加されているのがわかります。
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企業版SNSは活用されているのか?
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導入しても全然使われない。 という話をよく聞く企業SNS。 あんなにみんなLINEを使うのに、なぜSkype for Biz を導入しても使われないのか??? WorkPlace by Facebook も含め、うまく使うコツは何なのでしょう?
ひとつ考えられるのは、冒頭に書いたようにSNSによって性格が違うので、使いたい用途、使い手のタイプに合わせて選ばないと駄目。 ということでしょう。
つまり、再掲ですが
チームや個人同士の迅速かつ双方向性の高いコミュニケーションに期待
するならLINEやSkypeがいい
ある程度まとまった情報の発信とその共有・拡散、視聴者の感想や評価
を得たいなら、FacebookやTwitter、Instagramがいい
という性格の違いを見極めて使う。
よくある失敗は facebook タイプのSNSを導入しても社員のうち情報発信をする人(ブログをかける人)はほんの少しであり、皆が使う基盤になりにくい。
LINEが広く使われているのは情報発信は特別な人しかしないけれど、会話は誰でもするからでしょう。
チャットタイプのSNSなら普及するのか?
これは正直、文化のような気がします。 以下の成功事例に書かれているように
情報を得たときに皆が積極的にフィードバック(ポジでもネガでもいいから)
を返すか、それとも、見て内心何か思ってもスルーするだけか。
この違いが多くを占めるでしょう。
スタバを変えたFacebookの「Workplace」 日本市場での可能性は?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/19/news071.html
この事例で描かれたように
ある店長 「うちの店舗ではこのカスタマイズメニューが1日に20杯以上売れる。
でもメニューには載っていない。どうやらInstagramで紹介されて
いるらしい」と投稿
他の店長 「うちも注文されている」「うちは30杯売れている」と続々とコメント
それを見たマーケティングチームは、その日の夜のうちに公式メニューへ追加すると
決定した。
このように、ある話題に対し、皆が積極的に意見を述べたり、自身の体験を共有したりする文化があれば非常に良い形で自動的に改善の輪が広がってゆくことになるでしょう。
いっぽう、皆が見ている場で何か言って批判されたらいやだ。とか、パブリックに発言をしたら、自己顕示欲が強い奴と叩かれるに違いない。とか、意見を述べると後で責任を問われないか? とか考えてしまうようだと。 どんなに立派なツールがあってもだめでしょう。
こちらには銀行での導入事例が書かれています。
銀行は変われるのか?業界を牽引する、革新的コミュニケーション戦略
https://workplace-today.jp/topics/49
興味深いのは、記事の中で
Q 銀行と世間のずれについてどう感じるか?
A 銀行員は、入社したときから「SNSから情報が漏れる、SNSは悪だ」と教わります。
一方、世の中ではSNSがインフラになりつつある。それで仕事が効率化しているし、
コミュニケーションが取られている。
行員にもそこに早く触れてほしかった。そうすることで、やっとお客様と同じレベル
に並べると思ったんです。
というやり取りがあります。
日本では「手段を悪と考える風潮」が強いですが、このあたりはとても興味深いものです。
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