最近の妻の病状(108)
今日(7/27)、3週間ぶりに、義妹が身体が空いたからと迎えに来てくれたので、昼過ぎ、妻の許を訪れる。
今回は、義妹の顔を見るなり、前回の「Tちゃん」ではなく、発病前に言っていた「T子さん」と呼びかけた。義妹は「昇格したわね」と苦笑い。
珍しくこちらが訊くより先に「今日のお昼、カレーだったのよ。小さいスプーンで食べたの。美味しかった!」言ったまでは良かったが、「生まれて初めて食べた」と、相変わらずの頓珍漢ぶり。
義妹の持って行ったスイカも「美味しい」と言って食べたので、「生まれて初めてかい?」と茶化してみたところ、「うん、初めて食べた」と真顔で答えた。
例によってニッバチを10回戦やったが、2桁と1桁の足し算はよくできていた。盛んに指を使っているので、算盤をイメージしているのかと思ったが、そうではなく、数字を指でイメージしていたようだ。
終わった段階で、「七並べはやらないの?」と訊くので、「やりたい?」と尋ねると、「うん、やりたい。七並べ、難しいけどね」と言う。
七並べはただ並べるだけの単純なもので、ニッバチのほうがよほど難しいはずなのだが。
リクエストに応じて1回やったが、手持ちの札が悪かったのか、妻はすぐ破産しそうになったので、助けながらやったら、逆にこちらがビリになってしまった。
妻は7月生まれなので、他の同月生まれの人と一緒に誕生会をやってくれているはずだが、聴きそびれた。もっとも、やっててもやってないというのがオチであろうが。
エレベーターホールの壁に、おそらくは夏祭りでもあったのであろうか、妻が仮面をかぶってスイカ割をしている写真を見つけた。ちょっと目には妻と気付かなかったが、よくよく見ると、着衣と靴から妻と知れた。単なる目隠しではなく、ユーモラスな仮面とは、スタッフの皆さん、よく考えたものである。
妻は、今回の義妹の訪問がよほどうれしかったのであろう。別れ際、いつもの「今日は来てくれて有難う」のほかに「また来てね」と義妹の手を握っていた。
出入り口を出て、エレベーターを待つ間、広間にこちらに背を向けて「指定席」に腰掛けていた妻が、気配を察してか、突然こちらに振り返り、笑顔で盛んに手を振っていたのが印象的であった。
以上