十年後に逢いましょう

あなたは今まで、何人の人に出会いましたか？
多分、数え切れないほどの出会いがあったと思います。
そして、その数と同じくらいの別れも・・・
別れた時以来、連絡が取れなくなった人もいるでしょう。

私が昔バイトをしていた喫茶店で働いてたのは、地方から上京してきた学生が殆どだった。
なので、２・３月くらいになると、辞めていく人が殆どだった。

そんなある日、ふと誰かがこんな事を言った。

「せっかく知り合いになれたのに、このままお別れなんて淋しいですね」

バイト同志は仲が良かったけれど、プライベートの連絡まではしてなかった。
私は、長年のバイト生活の中で、こーゆー出会いや別れは数多く経験していた。
バイトを辞めた後、あの人はどうしているのだろうかと思うことはあっても、再びまた逢える可能性は少ない。
この娘も、そんな思いを感じたのだろう。
「今度逢おうね」
という言葉は、実現するのが難しいという事を。

その時、私の頭の中に、一つの考えが浮かんだ。

私　　　　「ねぇ、十年後にまた逢おうか？」
Ａ子（仮）「十年後？」
私　「そう。十年後の今日、この時間、この場所で。
　　　今から予定を組んでおけば、その日は絶対に逢えるでしょ？」
Ａ子「そうですね。
　　　でも、十年後には、この店なくなってるかもしれませんよ（笑）」
私　「その可能性は高いね（笑）
　　　でも、この場所で。
　　　例えこの店が、十年後に空き地になってたとしても、やっぱりこの場所で逢おうよ」
Ａ子「わかりました♪約束ですよ♪
　　　でも、何で十年後なんですか？」
私　「だって五年後なんて、すぐ過ぎてツマラナイじゃん。
　　　十年後の方が、生活も今とは違ってて、再開した時に変化があってオモシロイと思うよ」
Ａ子「そうですね♪
　　　十年後は、ともっちさんは３５歳で、私は３２歳ですね」
私　「そうだねぇ。その頃にはお互い結婚もしてて、子供もいるだろうねぇ。
　　　モチロン、旦那と子供も連れて来るんだよ。
　　　私も連れて来るから」
Ａ子「わかりました。連れて行けるように頑張ります」
私　「私も頑張るよ。約束ね♪」

約束の十年後まで、あと三年。
平成２０年の２月２４日、午後２時。
某所で私たちは再会する。
人数は、おそらく５人くらいだと思う。

もしかしたら、こんな約束をした事自体、忘れてしまってる人がいるカモしれない。
その場しのぎの戯言だと、本気にしてない人がいるカモしれない。

でも、私は逢いに行くよ。
あの時の、そして、今のあなた達に逢う為に・・・