しつこいようだけど、ほんと今年の韓国映画はすごかった。傑作ぞろい。
タイトル | 順位 | 感想 |
わたしたち | 8 | あんなに仲良かったのに、どうしてこんなことになったんだろう。誰もが経験したであろう、人間関係の難しさや不思議さを、2人の小学生を軸に、実に繊細に描いていく。カメラワークと演出が本当に見事。ちょっとした視線の動きで、こんなにも人の心が描けるだなんて。 |
僕は性格的に「いじめられっ子」になっていておかしくなかったし、高校生の頃に一度ターゲットになりかけたことがあった。
ただ、幸いにも、本当に幸運としか言いようがないけれど、心身を壊されるようないじめに遭うことはなかった。
小学校の卒業と共に引っ越しをして、公立中学校に転校したのだけれど、これまたありがたいことに、すぐに友達ができた。
彼とは今でも仲がいいし、とてもいいやつだと思っている。
とはいえ、「それはちょっと…」と思うところもいろいろあるし、しばらく連絡を取っていなかった時期もある。
向こうも同じように、僕に対していろいろ不満を持ちつつも、かれこれ30年以上にもなる絆を保っていてくれる。
どれだけ付き合いが長くても、お互いのことを完全に理解することなんて無理だと思っている。
でも、根本的に「こいつはいいやつだな」と思えるから、今でも付き合いが続いているんだろうなぁ。
『わたしたち』の主人公2人は、どっちも小学生。
子供は子供なりの理屈があり、大人の事情もそれなりには理解していて、それでもやっぱり学校や塾といった「狭いコミュニティ」にとらわれがちになる。
大人なら他愛ないことと済ませることでも、子供には無理なこともある。
大人なら意固地になることであっても、子供なら素直に謝れることだってある。
今となってみれば後悔することや、苦笑いすることもたくさんあるけれど、あの時の「わたしたち」はそうするしかなかった。
あのとき、自分の背後で起きていたことに気づくすべがあれば…
あのとき、もうちょっとだけ我慢していれば…
あのとき、ほんのちょっとだけ広い心が持てれば…
たくさんの後悔とともに「わたしたち」は生きている。
この映画は、そんな「わたしたち」の昔と今につながる物語です。