僕がハンバートハンバートを知ったきっかけは、映画『包帯クラブ』です。サイトの「ENTER」をクリックして、しばらくすると流れてくる歌声の主が、ハンバートハンバートの佐野遊穂さんでした。
その声が映画のCMの段階からとても印象に残って、それに「スタッフ」の欄に出て来る「ハンバートハンバート」という名前が、これまた印象的な響きを持っていて、一度ライブに行きたいなと思ったんです。それで今回、チケットを取りました。
CDは買っていませんから曲名は分からないです。全体的な印象だけサラっと。
会場に入って、ドリンクチケットをターキーのロックと交換して、一番端のあたりで全体を眺めていたんですが、客層がとても和む感じだったというか、モーニング娘。ともBONNIE PINKとも、クラシックとも違う、例えて言うなら、まあ明日中崎町に夕方行く予定なんですけども、そのあたりが好きな人達が多いような気がしました。作家さんが作った雑貨が好きな、女性のファッション雑誌はあまり知らないのでちょっと例えられないけど、他のジャンルで言うなら『ku:nel』とか、カメラ雑誌だと『カメラ日和』とか。
そういう、「攻撃的」というのとは対照的な、ほんわかしたファッションの人が多かったように思います。比率的には女性が多かったかな。でも、以外と仕事帰りのスーツを来た、50代くらいのサラリーマンさんとかもいました。
その理由はライブが始まって分かりました。僕は『包帯クラブ』のサントラのイメージしかなかったんですが、実際聞いてみると、フォークバンドでした。というか紹介文の中でもそう書いてあったので、ただ、思ったよりもガチでフォーク寄りで、おそらく昭和40年代にフォークにどっぷりはまった方はかなり懐かしい響きなんじゃないかなと思います。でもアイリッシュカントリーの響きもあったりして、そのあたりは懐かしさも感じました。
個人的に好ましいと思ったのは『包帯クラブ』関連の曲をほとんど歌わなかった事です。昨日のクアトロは満員御礼で、それはほぼ間違いなく『包帯クラブ』の影響だと思います。でも、サントラはほとんど歌わず、MCでも映画について1回、それもちょっとしか触れませんでした。それが逆によかったです。芯が通ってるというか媚びを売らないというか。自分達の領域をしっかり把握している感じがして、そこにとても好ましい印象を持ちました。
そして、佐野遊穂さんの「声」。昨日はここを聞きに行ったようなものでした。素晴らしかったです。
ライブが始まって、最初は「和む」とか「心落ち着かせる」といったあたりの言葉が浮かんで来たんですが、だんだん、それだけじゃなくて、なにかが「疼く」んですよね。
すごく心地良いのに、何かが震えるんです。なんていうかな、すごく温かい日だまりの中で座っているんだけど、時折、太陽を薄い雲が遮って、その雲の影に自分の暗部を見る、というかな。
とにかく、すごく個性的で魅力的な声の持ち主だという事は確認できました。また来年の2月に同じくクアトロでライブをするみたいなので、予定が合えば行ってみたいと思います。