元親の言葉で有名なのは「一芸に秀でよ」とか「天下を心がけ候」ですが、私のマイベストは「臆病は胸の病と書く」から始まる言葉です。
元親の残した言葉はどれも長いので(苦笑)、中々色々なものに使いにくいのですが、元親の言葉を調べていくうちに印象に残ったのは、意外と知られていないこの言葉。元親と言う人の丁寧なひととなりがわかるようです。原文と言うか、要約されたものですけれど、以下の通り。
「”臆病”とは”胸の病”と書く。病であるなら、生まれつき自分が臆病だと思っていても、治るよう努力していれば、いずれ克服できる。また、周りの者も”臆病だから”と見捨てるのではなく、病が治るよう、手を添えてやらねばならない。」
『臆』という字には『胸』という意味があるそうです。司馬先生の「夏草の賦」でも元親は自分の事を臆病だと言っていましたが、恐らくそれはこの言葉からきているのだと思います。子供の頃の元親は人見知りが激しく、武芸を嫌ったと言われます。そういう意味では臆病な子供だったのかもしれませんね…。けれど、武家の嫡男として家を背負わなければならない事を考えるといつまでも臆病ではいられない。現に、元親はこの「臆病は胸の病」と聞いたのはお坊様からでした。そこから、「病なら治るはずだ」と考えて、少しずつだったかもしれませんが克服していったのだと思われます。
元親はそういった意味でも「自分は人を十人見たら十人とも性格を見抜ける」とも言っていたと言い、軍議の場で精神の強さ弱さを量っていたようです。軍談をするとそれが良くわかると言い、それだけ見抜けるのであれば力も精神も強い者だけを集めれば良いという意見もあったが、元親は首を横に振った。多様な者がいるからこそ様々な意見があり、そこから最良と言えるものが生まれるのを知っていたからこそかもしれません。
ちょっと思うところがあって、今日この言葉を打ち出していたのですが………まあ、その後に色々とあって、この言葉が胸に染み入る事がありました…。元親の言葉を忘れないようにしていきたいです、はい。
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