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震災の中で迎えた桜の季節

2011-04-01 16:30:22 | 東京写真日記
3月28日(月)午前、気象庁は千代田区にある桜の標本木(ソメイヨシノ)を詳しく調べ、今年の「開花宣言」を行った。これは、マグニチュード9の東北関東大震災が発生してから、東京人が迎えた初めての開花記念日である。これから2週間もすれば、あたりに広がる美しい仙境のような桜の風景が、震災後の原発による放射線問題に怯えるこの現代都市をピンク色に彩ることだろう。

世界の800種以上の桜のうち、日本には3分の1以上の種類がある。日本は現在このように悲惨な災害に傷ついてはいるが、それでも大自然は変わることなく自然の時計に従って動いている。数週間前に巨大地震に遭遇した時、日本人が慌てることなく冷静に秩序正しく行動していたことにとても驚かされたが、今この美しく鮮やかな桜の開花を前にして、東京人たちはどんな思いを抱いているのだろうか?

毎年たくさんの花見客が集まる井の頭公園や上野公園では、「桜まつり中止」が発表された。いつもなら花見用に設置されるごみ箱や簡易トイレも、まったく見られない。いつもは枝垂桜をライトアップして華やかな雰囲気を醸し出す浜離宮、六義園、神代植物公園なども、電力不足を考慮して夜間のライトアップ中止を決定した。

これまでも地震、津波、台風など、頻発する自然災害が、美しい日本列島を危機に陥れてきた。人生は短いが、生きることは桜のように華やかで力強く、また誇り高くありたいと願い、死は秋の葉のように静かで美しく、清く、そして潔いものだとする独特の死生観に支えられ、日本の民衆は多くの困難を一つ一つ乗り越えてきた。桜の木の下で、花見の席を見るたびに、私は再生の希望もまた桜のように美しいと感じることができた。

今日(4月1日)から、花見の名所である千鳥が淵には、10日間の特別ブースが開設される。周辺で老朽化のために伐採された桜の木を使って作られた割り箸など、「桜グッズ」が、ここで販売されて義援金になる。桜をめぐる大和民族の死生観が、こうしてまったく新しい形に昇華しているのだ。村上春樹はこう言った。「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」これこそ、今年の桜の季節を迎えた日本に生まれた、最も素晴らしい考え方であるかもしれない。

●お花見特集 http://www.mapple.net/sp_sakura/




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