野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

あれから4年

2015年03月10日 | tokoroの日常
東日本大震災から4年が経とうとしている。震災関連の話題は今でもメディアで取り上げられはするけれども、当事者以外には大分忘れ去られた出来事になりつつある。それは福島から帰ってきたボクも例外ではなくて、この4年の間に驚くほど当時のことを忘れてしまった。今思うともっと当時の記録をブログに付けておくべきだった。震災関連の話題というのはどうしても美談に傾きがちなのだが、実際には当時耳にしたくないようなことも多くあった。でもそうした辛いことというのは無意識的に忘れようとしてしまうのかもしれない。あるいは今が辛くないから忘れてしまってもよいと心の奥底では思っていたのかもしれない。4年も経つとそうやって意識も変わってくる。だからメディアではそこからどんな教訓を引き出すかということに焦点が当てられているのだろう。当時は混乱の中で言えないことも沢山あっただろう。当時を検証する動きが起きていること自体は歓迎したい。大事なのは美談ではなく、事実。

福島で震災を経験した身として教訓めいたことを書くとすれば、比較的被害の小さな地域であっても復旧には最低ひと月掛かるということだ。ライフラインとしては電気・ガス・水道が挙げられるが、それ以外にも日用品を買えるかどうかというのが重要になってくる。意外にも電気の復旧は早く、震災から3日程度で通じるようになった。もちろん、電気が通じるからといって安全に使えるようになるとは限らない。福島の親類の家についていえば、玄関の灯りが断線して危うく火事になりかける所だった。安全に使えるかどうかの確認は一つ一つ自分でやっていくほかない。水道は水道管がやられていると時間がかかる。ボクがいた地域は10日くらいで復旧したが、ほかではひと月近くかかった所もある。電線を張りなおすのと違ってどうしても地域差が出てしまうようだ。ガスはプロパンだったので、震災の日から使えたのだけれども、一応ガス屋さんの検査を待ってから使うようにした。ただ都市ガスであったならと水道と同じく復旧には時間がかかっただろうと思う。

でも何よりも問題だったのは日用品が手に入らなかったことだ。まともに買い物ができるようになったのは震災から3週間が経ったくらいの頃で、それまではとにかく商店の行列に並ばないと買うことができなかった。気候の良い時期なら苦労も無かったのだが、何せ3月の福島はまだ寒い。おまけに放射線量も高いと報じていたので、あまり外に長居したいとも思わなかった。でも最初のうちは2時間、3時間待ちが当たり前だった。買い物のしずらさを考えるとやはり普段からの備蓄は欠かせない。親類の家にはそうした備蓄も殆ど無かったので、とにかく何でも揃えなければならなかった。当時使ったものというと
・携帯ラジオ
・電池
・ローソクとライター
・トイレットペーパー
・ウェットティッシュ
・レトルトのご飯
・サランラップ
・紙皿
などがある。上の三つは電気が復旧するまでしか使わないけれども、夜は本当に真っ暗になるので、やはり無いと困る。但しローソクは地震のときは危なっかしいのですぐに使わなくなってしまった。トイレットペーパーも当たり前だけれども、拭いた紙は流せないことには注意しないといけない。まあ山歩きしている人は慣れていると思うけれども。ウェットティッシュは手を拭くだけではなくて、体を拭いたりもできる。ちなみに風呂は水道が復旧してもすぐには入れない。何せ水が少しずつしか出ないからだ。寒い時期だから良かったのだが、ボクは2週間風呂に入れなかった。レトルトのご飯とかは水を使えないことに対処するためで、水道が復旧すればあまり使わない。ただ完全に復旧するまでは無洗米が便利だった。

いずれにせよ備蓄があればそれほど買い物に並ぶ必要はない。当時お隣さんは大半のものを備蓄していて、あまり買い物には並ばなかったという。あと当然ながら飲み水は確保する必要がある。ただ当時は近所の井戸が借りられたので、実はそれほど困らなかった。飲み水以外の水も近くの川から何度も汲みに行って済ませていた。水という点では都会よりも田舎のほうが困らないのかもしれない。

あとはご近所で助け合えるかどうかが大事。ボクはそれなりに皆が暮らしていける今の日本が続くのなら、都会でも助け合いの精神は十分発揮されると思う。日本人が行列に並ぶのは、待っていれば皆が平等に扱われるのだとの確信があるからだ。でも平等に扱われないとなれば、人々は緊急事態にあって殺し合うようになるのだと思う。そういった状況を避けるのもまた緊急事態への備えなのではないだろうか。
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