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時の関守

60年生きてきて一番心に残った話し

私は、本がないと生活できないほうなのですが、60年以上生きてきて、とても心に残った文章があります。

とても短い文章です。
作者は当時、突発性難聴を発症し、その病気が難病であること、3分の1しか完治しないこと、3分の1は治らないことを知り、その不安感の中で、電車に乗るのです。

そこで、一人の青年に出会います。

その青年は、小麦粉のにおいをただよわせ、左手は真っ赤で、指の節にはタコができていて、パン職人を思わせました。
その青年の前に、腰の曲がった老婆が立ちます。
青年はすぐ立ち上がって、席を譲るのですが、老婆は譲られることをなぜかためらいます。
なぜなら、青年の右腕が義手であることに気づいたからです。

「あんたさんこそ、不自由なお体でしょ」
すると、青年は「何の不自由なものですか、まだ左腕がありますから」と答えます。
その言葉に、作者は赤面し、ショックを受けます…。

私は何年かぶりに、このエッセイを読んでわかったのですが、その後の作者の心の動きがみごとで、とても心に残ったのです。
作者はその後も、青年の言葉に感動しつつも、ウジウジと悩み続けます。
悩み続けながらも、少しずつ、そして、だんだんと、「先に進め」「生きる勇気を持て」、また、
「自分の弱さの殻をやぶれ」と、自分に言い聞かせます。
そう思えたのは、心の深いところで、「まだ左腕がありますから」という青年の言葉が、響いていたからに他なりません。

私はずっと、わからないながらたましいのことを考え続けてきました。
それは、自由でありたい、自由であれば、弱い自分をかかえていても、不恰好でかっこわるい自分でも、ニコニコ笑って、気にせず突き進むようになれる、そんな自分であれという、心の欲求だったのだと思います。

この青年のように…。
この文章を書いた作者のように…。

本当は、私の要約のような文章より、原文を読むほうが、100倍よいと思います。
原文はPHP「生きる」平成24年12月号に載っています。作者は後藤順という方です。

コメント一覧

pukutaromama
時の関守さん、初めまして。
ブログにコメントありがとうございました✨
『コメント募金とは…?』と疑問に思ってくださりありがとうございます。あちらの記事にコメントを頂き、上限(今のところ150で一旦締め切る予定です)に達しましたら1コメント×10円の1500円分を皆様のお気持ちを代理して私が寄付をする、という活動です。

gooブログは始めたばかりなので、まだまだコメントの数も少なく、150コメント到達にはまだ時間がかかりそうなので、1コメントあたりの単価をあげようかと考え中です😅
1人1日1回までですが、日付が変われば何度でもコメント頂けるので、もし賛同していただけるようであればまたコメント頂けたら嬉しいです。

そして、エッセイの言葉、確かに深く心に残りますね。
自分の物差しでしかなかなか見ることができず、意識していないと人はなかなか『無いもの』に目を向けてしまいます。
改めて自分の『あるもの』に目を向けることで、次に一歩踏み出す先も変わってくるのでしょうね。

長々と失礼いたしました。
dearmadonna
「前に進め!」はエゴの声ですよ。
エゴは自分に都合のいい解釈を好むものです。

こういうエゴの特性を利用して心を操るのが悪魔のお仕事。
なので自分を正しく認識することが極めて重要です。
特に今のようなわけわからん時代にはwww
tokinosekimori-kitaiwahara
@dearmadonna 本当の自分、もしくはもう一人の自分が「前に進め」というとき、私たちは、何かに揺さぶられる経験をするのかもしれません。
dearmadonna
私もよく似た経験があります。
子育てで悩んでいた頃。。。

松葉杖をついた少年が1人で元気よく歩いていた。
15才くらいかなぁ。
よく見たら、彼には足がなかった。
両足とも全くなかった。

強い衝撃を受けましたー(;ω;)

ハートに直接語りかけるのが弥勒のやり方。
言葉を超えた愛がハートいっぱいに広がります💞
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