アトピーというものに関してもまた、私は全く知識はありませんでした。
かゆみや痛みがあるということ、特に原因がわからないこと、保湿が重要であるということ。
それくらいだったのです。
学生時代に、
「アトピーだったから、今もね、ワセリンは手放せないの」
と、友人が手などに塗っていたのを、大変だなあと思って見ていたのははっきり覚えていますが、それ以上の追求はしませんでした。それほど基礎知識もなかったのです。
娘は、乳児湿疹からのアトピーという診断名に切り替わり、強烈なステロイドやアレルギー薬の服用などもしました。
知識は育児関連の本でしか得ていませんでしたので、それで十分だと思っていました。
ところが、私自身が免疫系の病気になりましたので、アトピーについてもちょいと情報を仕入れてみましょうか、とネットを検索しました。
ネットの情報は確かに不確かなものもありますが、とっかかりとしてはとても有用ですよね。
そんなはじめの一歩すら踏み出さずに何年も経過していました。
すると、アトピーの中には原因があるものもある、という説がいくつかあることを知りました。
え?そうなの?
夢中で読みました。
もう八方塞がりに近かった私としましては、状況や症状から、娘のアトピーは「黄色ブドウ球菌」によるもの、という説を採用してみることにしました。
ま、確かに家族はびっくりですよね。
ある日突然朝起きたら「今日から、黄色ブドウ球菌説採用!」と宣言され、また具体的な手法は特に書かれていないのですが「考えたから」と「帽子なし!日焼け止めなし!」などと宣言されるのです。
寝っ転がってゴロゴロ過ごしてるだけのはずが、突然新たな情報を仕入れた!とデンと腰を据えて話すのですから、一体全体、頭がおかしいと思われても仕方がありません。
まーた、トドママの奇抜な提案と行動が始まったと。
しかし、こう!と決めたらテコでも動かないことを家族は知っているので、仕方ないなあという空気感バリバリの中、娘のアトピー治療は新たな局面に入ったのです。
本説は、シンプルです。
黄色ブドウ球菌の増殖によって皮膚がダメージを受けている、というもの。
メカニズムはアレルギーと一緒です。
細菌そのものが出す毒素による攻撃と、普通にその細菌に対して体がアレルギー反応を起こしているというもの。
いずれにしても対策は、細菌の除去です。
とにかく除去、を試みました。
シャンプー剤にもこだわり、とにかく洗い流すこと、そして衣類はそのほとんどをワンシーズンで処分することにしました。
汗を流し、その汗をお風呂で流す、そして、保湿。1日に3回お風呂、そんな生活でした。
ある程度の効果は見られたのですが、頭打ちになり、あまり進展がないなと思っていた矢先。
破天荒な我が父が、娘を海に連れて行こうと言いました。
この提案は「海に入れば、アトピーなんぞ治ってしまうわい」みたいな、若干根拠に乏しい話でしたが、娘は大喜びでしたので、目的はともかく、楽しませてもらいなね、とばかりにお願いしました。
その際、私は、帽子なし、日焼け止めなし、汗は必ず拭くこと、をお願いしました。
たまたま私が入院していた頃にその海行きは連日決行されました。4日ほど行ったようです。
海に連れて行った結果。
娘は驚くほど焦げて、完全に別人でした。
母が、驚くほど日焼けしているから、驚かないでねと笑いながら電話で教えてくれていましたが、驚かない方法は全くありませんでした。
こりゃすごい!
聞くと、わんぱく娘は日に4時間以上も海の中で泳いだり歩いたり走ったりしまくったらしく、破天荒なおじいちゃんもヘロヘロだったそうです。
よく見ると、父も黒焦げです。
ありがとう。お父さん。
で、これで、実の所アトピーはかなり良くなりました。
さすがに海ひとつでこんなに良くなるとは、と私もびっくりしましたが、よし、という何か確信からの納得みたいな、地に足のついたような感覚の喜びが広がりました。
これを受けて、「海の水ではなくて、太陽の光による紫外線療法だね」と主人は偉そうに分析していました。
あんなに「眉唾もの」扱いをしていたのにー、とじろりと見ますと、「いや、だって、君はほら、いつだって奇抜なんだよー。」と、たじたじに狼狽えています。
もちろん、鬼嫁のトドママは、「今回は君の考えがたまたまあってただけだもん」という言い訳の中ではあるものの「疑ってごめんよ」と言わせるまで論破しました。
こんな塩梅で、医師の国家試験をくぐり抜けた主人に、ど素人の母親が知識で勝利するのですから、熱意と根気と情熱と執念と、とにかく諦めなければ何とかなるもんだなと、経験できました。
だからこそ、今の自分にも何か自分でできることはないかと探せるんだと思います。
今もなお、ステロイド薬を持ち歩いていますし、保湿剤を塗って、という生活は続いていますし、洗濯や衣類のことなどはそれこそ神経質にケアしていますが、正直病気に勝った!と思っています。それほどまでに改善しました。
トドママの勝利宣言を、ここに。えいえいおー!