私は今、かなりしばらくの間、結婚指輪をしていません。
理由は簡単で、結婚した時と、指の様子が全然違うからです。
出産の時って、指輪などのアクセサリー類は外します。
誰しもが緊急手術になるかもしれないので、指輪を外しておいた方がいいと言われました。
手術の時、指輪なども全部外して消毒しないといけないのだけれども・・というお話でした。
その後、一度はめたことがあったのですが、その時も指なのにボンレスハム状態でした。
そしてどうしても痛くて仕方なくなってきたので、ひとりで勝手に痛がっていたところ、
「外してもいいよ。別にさ。」
と、その様子の方が痛々しいとでも思ったのか、外してもいいと夫が言ってくれたので、外すことにしました。
私の唯一のオシャレアイテムなのになあとも思いながら、寂しい気持ちと共に外しました。
その後も何回も挑戦してみようとするのですが、第二関節に引っかかって入らないわ痛いわで、もうダメかなと思いました。
「指輪が何っていうわけではないじゃないの。」
と、夫が慰めてくれるので、ピーピー泣いたこともありましたが、結局今まで外しっぱなしです。
最近は外して過ごすことにすっかり慣れているので、さして気にしていませんが。
もうちょっと気にした方がいいんじゃないの?と指摘されそうなくらいあっけらかんなものですが。
娘の七五三の時に、家族写真を撮ろうということになったんですね。
それで、カメラマンさんがいろいろと座り位置とかを直してくれている時に、
「あら?ママ、指輪忘れたの?」
と聞かれました。
え?なんで忘れたっていう表現なんだろうと思ったら。
そうなんです。夫はしているんですね。
「あ、はい!忘れました!」
つい咄嗟に、話を合わせてしまいました 笑
それでその場がおさまるかと思いきや、むしろ「あらら、どうしましょう」とむしろ狼狽えていらっしゃるので、
「右手を上に重ねて、隠してしまいますね。まったく、おっちょこちょいですみませーん。」
なんて、超前向き風な解決案を提示して、事なきを得ました。
こんな風にですね、病気によるものなんですけど、私の意に沿わず、夫が完全に尻に敷かれているとか、アゴで使われているとか、私の不甲斐なさが半端ないとか、そういう事態に陥ることは日常茶飯事です。
実態がそうなのですから、その評価は全然間違ってないです。
だから家族には、ごめんね、とは思います。
でも、この時はずっと指輪をつけ続けていてくれた夫に改めて気づくことができて、あたたかい気持ちになりました。
思えば。らーらーと泣いてばかりいた赤ん坊が、女の子として着物なんか着て隣に立ってじっとしているんですね。
紆余曲折ありつつも、私もこうやって写真を撮られる程度には動けるようになったことも、喧嘩しながらも家族やっていることも、全部ひっくるめて夫の指輪は見てきたんだなあと思ったら、込み上げてくるものがあって。
涙こそ止めましたけれども、吹き上がる感情を落ち着かせるのに精一杯の時間になりました。
写真として残せたことに感慨深くなり。
指輪をしていないことに感慨深くなり。
形を残しても残さなくても、それは関係なく感慨深くなるのだなあと知ったある日の思い出です。